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メカトロニクス  オリジナルインタビュー

変化の先端でいかに情報を取るか

―サービスも付加されたインターネット通販を目指す―

 

株式会社シロ産業

 

(株)シロ産業
代表取締役 宮本 泰裕 氏

 

 
産業機器のインターネット通販のさきがけとしてサイトを開設、測定機器、包装機材、物流機器を柱にサービスを付加した通信販売を目指す株式会社シロ産業代表取締役  宮本 泰裕 氏にインターネット通販について話を聞く。


御社についてご説明ください

 

宮本 : 当社は1976年に私の父である先代の社長が創業し、機械工具商が半分、天井走行クレーン設計施工が半分でしたので、ものづくりの流通と鉄工所とが半分半分の形でスタートしました。その後、鉄工の部分は外注に切り替えていき、自社工場は閉鎖していきました。機械工具商というのは、ものづくりの会社に対して工具類、備品類、測定器、物流機器、包装機材などを納め、工場の便利屋さん的に製品を扱っていました。
 私自身は、大学卒業後東京の産業機器の専門商社に一年間お世話になり、ある期間コンピュータシステムの部門に携わり、会社におけるコンピュータシステムの使い方というものを学ぶことができました。これが、当社の現在の主力になっているネット通販のベースになっています。
 商社を退職し、当社に入りましたが、その数年後バブル崩壊が始まり、東大阪においてものづくりの会社、事業所がどんどん減っていき、当社の売り上げもどんどん減っていきました。ほかの工具商との差別化を考えたとき、消費財において単品の通信販売が出てきており、工具においてもそれができないかと考えました。工場便覧からのリストをコンピュータに打ち込み、ダイレクトメールを行いました。ある程度の新規顧客の獲得はできましたが、対費用効果から見れば効率の悪いものでした。
 そのあと、パソコン通信を使って商品を売れないか研究しましたが、やはり文字情報だけでしたのでそこまではいきませんでした。そのうち、インターネットが出てきましたので、これは絶対いけると確信しました。たまたま、大阪府の補助金をいただいてインターネットのサイトを作ることができました。会社案内や製品案内ではなく、最初から通信販売の形式を備えたサイトを作ったのが1998年の秋ごろです。初めて注文をいただいたのが翌年の5、6月ごろで、沖縄の座間味島からでした。何百キロと離れた島からも注文がくるのだから、これは間違いないと確信するようになりました。それで力を入れていこうと考えたのですが、当時は訪問して販売するという実際的な売り上げを立てなければならず、仕事が終わって夜の10時、11時からサイトの更新などをずっとやっていました。
 それを続けて、2000年ころから通信販売が動き始めたので、スタッフに入ってもらってインター
ネットの販売を伸ばしてきました。気がつくと、訪問数が減った分その売り上げは落ちていきましたが、
インターネットの売り上げは伸びていき、今は、95%くらいがインターネット経由による売り上げになっています。

 

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インターネット通販でここまでこられたのはなぜでしょうか
 

宮本 : 他社がやっていない時期に始めたということもあり、早くスタートできたことがラッキーなことだと感じています。また、コンピュータの仕組み、システムを理解していたことと、それを取り入れるやり方が分かっていたことだと思います。
 その中でも、データベースを重要視し、そのシステムの使い方というのは当初から意識してやってきました。2000年くらいから、データベースをシステム屋さんに作ってもらい社内の業務の効率化を進めてきました。
 当社の扱い機器は、測定器、包装機材、物流機器の三本立てですが、特徴として商品点数が多いことです。専門的な商材を情報として多数掲載して提供しており、台車だけでも200ページ、点数で1,000点ほどになります。一つのカテゴリーに深く情報を提供しているのが、強みだと思っていす。
 商品情報を多くするために、当社のデータベースはWebを使い外部のSOHOの方に仕事をやっていただくようになっています。今は、家庭の中に入っている女性で優秀なSOHOの方が数多くおられ、仕事を早く安く行うことができます。外部の何人もの方を使い、短期間で安いコストで制作してもらう仕組みをもっていっているのが、これも一つの強みだと思っています。
 今、手伝っていただいているSOHOの方は三人ですが、その方が頭となって仕事を受け、その下に何人もの方が連携でおり仕事を教えてやってもらえるようになっています。リスト作りでいえば、エクセルの表がインターネット上にあり、そこに郵便番号、住所などを打ち込んでもらえればすぐに当社のデータベースに格納できるようになっています。例えば、10,000件のデータ登録を社内でやろうとすれば大変な時間がかかりますが、外部のSOHOを使うと1、2日でできてしまいます。単純だが時間のかかる仕事は、ルーチン的にやってもらうということです。


 

 

通販をSOHOの方にやっていただく考えはおありですか
 

宮本 : ゆくゆくはその方向も考えていきたいと思っています。SOHO店長というようなもので、そのような店長の教育も可能かなと思います。全てWebで受発注が完了できれば、チェックするだけでできますのでそういうことも可能かなと思っています。ただ、商品の知識とかがありますので、一つのカテゴリーについてよく教え、理解してもらうことが必要だと思います。
 そのような形も考えられますが、社内的に店長を育てていくことも考えられます。どちらにしても、プロを育てていくことが必要であると思います。例えば、台車カテゴリーの店長がいて、台車についてものすごく知識があり全国の情報を知っており、ユーザーからの問い合わせに対し提案していけるのが理想だと思っています。
 データベースに多くの情報を蓄えることは、誰でもやろうとすればやれる部分ではあるかも知れないので、それ以上のものは人の知識、専門性といったところで差別化をしていくことがこれからは必要になってくると思います。そういうプロの養成がもう一つの目的と思っています。
 プロを育てると同時に、インターネットのショップは店舗と同じですから、最短に立ち上げて、最速
で収益を生む段階にいかに持っていくかということです。
 今は検索エンジンのキーワードごとでページを作っていますが、私は、その先はキーワードごとに
一つのサイト、店舗だろうなと思っています。『台車』とキーワードを打てば台車のカテゴリーが店舗ということです。今は一つのサイトで三つのカテゴリーを扱っていますが、カテゴリーがもっと専門的な情報を出すことができれば、それが一つの店舗になりひとりの担当がいるというのが理想と思っています。収益がどれだけ上がり、ページにどれだけコストがかかっているか、広告展開はどうするかなどを全部計算できる人材を教育できたらと思っています。

 
  

 

御社のインターネット通販における物流の仕組はどのようになっているのですか

 

宮本 : 当社は新製品についてはユーザーから注文を受けてからメーカーや卸に発注し、メーカーまたは卸から製品を直送するという受発注にしています。リユースのものも販売していますが、それについては提携している倉庫会社に商品を預かっていただき発送をしてもらっています。物流については、専門のところは専門で、絶対的にアウトソーシングを使うべきだと思っていますし、そうしてきました。そうすることにより、身軽であり変化に対応していけるからです。
 東大阪市や大阪市の東においては、まだまだ工場や事業所の廃業が非常に多くなってきていますので、リユースの商品の取り扱い量は増えていくと思います。また、そういう商品を求められているユーザーも多数おられることも実感しています。そのため、リユースの方向性は新製品と平行してやっていきたいと思います。
 リユースばかりでなく、例えば、海外メーカーの商品でモデルチェンジになったため旧版のものなどが売れ残ってしまっている場合もあります。そういう製品を新古機として売っていかなければならない会社も多数あります。メーカーにおいてもそのような在庫処分をしなければならないこともあり、現在そのような情報をニュースとして26,000人の会員様に発信しています。
 中古機や新古機を処理したいというニーズもあれば、その様な機器を必要としている方もおられます。その意味で、当社がサービスとして提供する情報はもっとあると思います。新製品の最新の情報はどんどん出していき、なおかつ、ほかのサービス情報をいただいて提供していくということです。

情報におけるサービスというお話ですが、通信販売において求められるサービスはほかにどのようなものがありますか、またどう対処されていますか

宮本 : 機器を販売した場合、設置して欲しいとか、いらないものを引き取って欲しいなど付随してい
ろいろなことをいわれます。それはユーザーにとって不満足であって、それを満足していただくのがサービスだと思います。例えば神奈川のユーザーから設置の要求があったとき、設置業者を探し回って紹介しなければなりませんが、それを、全国的に設置業者のリストを整理すればどこのユーザーに対してもサービスを提供することができます。リストを集めるのが労力なのかというと、そうではないと思います。ものを売るサイトと、ユーザーが希望される仕事を受け付けるサイトとはセットで考えるべきだと思っています。
 ほかのサービスとしては、例えばゴム製品を作っているところでは端材が出ますが、プレーンなものを喜んで引き取ってくれるところがあります。端材を練り直し、別の商品を作るようなところです。今は、端材を捨てるのにお金が必要です、それを、お金をもらって引き取ってもらえることになれば、端材を出す側にとってこれほど良いことはありません。そこで、端材だけの情報収集と提供のマッチングサイトというのもサービスとして考えられると思っています。そういう仕組みを紹介していくのは非常に面白いと思っていますが、それを見やすく、利用しやすくインターネットで紹介していくことはこれからの課題だと思います。

  

 

インターネット販売の良いところは何でしょうか、また、新しい販売会社もできていますがどのようにお考えですか

 

宮本 : インターネットの仕組みをいかにうまく使っていくことができるのか、ということが、中小、零細規模の会社でも効率的な仕事ができるチャンスだと思います。新しい仕組みというのは、基本的にどんどん出てきます。私が良いと思っていても、すでにもっとすばらしい仕組み、システムが出来上がっているものです。そのため、例えばコンサルの方に最先端の話を聞くとか、インターネットのショップなどにいってインターネット販売の方法の話を聞いたりして情報を入れることが一番大事だと思います。インターネットの同じサービスが10分の1くらいでできたりします。ただ、それをいかに使うかは自分で使ってみなければ評価はできません。今は、試しで使えるものが非常に多く、これはと思うもの
を試してみて良いものは取り入れていくことであり、良い協力業者をいかに見つけるかということだと思います。
 インターネットのメガショップは、ものすごい製品点数と多岐に渡るカテゴリーでやっておられるところもありますが、ワンカテゴリーごとに見ると当社が上回っているものもあります。当社はカテゴリーごとに深く掘り下げた専門店を立ち上げていくという方針でやっていきたいなと思っています。
なおかつ、ものの販売プラス先ほど言いましたインターネット上でのサービスを付加価値としてつけていくという両方を組み合わせた形のものをやっていきたいと思っています。
 ものだけの販売でやっていくと、これからはますます競争が激しくなります。そうなると、大資本のところの方が強い部分があるかもしれません。ただ、インターネットは不思議なもので、小さな規模でも生き残っていける場所がまだまだいっぱいあると思います。競合が少ない商材、商品はまだまだあるということです。

 

 

 ■今後の展開についてお話ください

 

宮本 : 今までの話のまとめ的になりますが、インターネット通販という基本はそのまま進めていくということが一つあります。同時に、独自のシステムを作り、いち早く店舗立ち上げのノウハウをストックしていくことが必要だと思っています。それと、リユース、在庫処分の情報の提供に力を入れていきたいと考えています。取り付け、修理などの業者紹介サービスを一緒に提供できる仕組みを、店舗と併設する形でつけていきたいと思っています。
 インターネットの単品通販は、本とか出されノウハウも書かれているのですが、この業界での、インターネットの通販はまだ始まったばかりで、そこにおけるノウハウというのはぜんぜん蓄積されていないと思います。本当にインターネットの売り方とか、広告の出し方、頁の作り方とかはできてきていないので、それを社内的にいかに蓄積していくかということだと思います。仮説、テスト、結果、そしてまた仮説、テスト、結果というのを、例えばインターネット上の広告においても正確にやっていきたいと考えています。そうすることにより、快適な運営の仕方が社内的な仕組みとしてできれば、スピードは速く、多店舗化というのができると思います。
 インターネット通信販売はこれからもっと変化していくものなので、変化の先端でいかに情報を取れるか、というのが非常に重要なことであり、極力情報を取るようにしています。
 商品の情報は、インターネットの情報だけでなく、展示会とか見本市などに行って、地道に足で稼ぐことも大事だと思います。担当の方と話をすると、思わぬ売り方、イメージが広がってきます。カタログなどで得た情報を流すのと、商品のより詳しい使い方を知って情報を流すのはまた違ってくるものだと思います。

  

 

本日はお忙しい中ありがとうございました。

2008年1月号掲載

 

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