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メカトロニクス  第24回 オリジナルインタビュー

人と機械の最適環境の創造

― 安全なものをつくる、安全にものをつくる ―

 

IDEC株式会社

IDEC(株)
規格安全ソリューションセンター
室長 西原 一寛  氏

IDEC(株)
規格安全ソリューションセンター
規格安全推進グループ
推進リーダー 前田 育男 氏

 

 
2001年に厚生労働省より「機械の包括的な安全基準に関する指針」が通達され、機械の基本安全規格ISO12100が2003年に発行、2004年にはJIS化された。さらに2006年労働安全衛生法の改正によりリスクアセスメントの実施が努力義務化された。これらの法令や規格に基づいて、企業が機械類を設計することが益々重要になった。しかし、具体的に何をどうすればよいのか戸惑っているメーカーも多いのではないだろうか。長年、ものづくりの安全に取り組んできたIDEC株式会社規格安全ソリューションセンター 室長 西原 一寛 氏、同 規格安全推進グループ 推進リーダー 前田 育男 氏に、同社の安全に対する取り組み、安全ソリューションについて話を伺った。

 

 

お二人の所属部門である規格安全ソリューションセンターについてお話下さい

 

西原:当社は設立60周年を機に、一昨年の2005年11月より社名を和泉電気株式会社からIDEC株式会社に社名を変更いたしました。「Think Automation and beyond....」を目指す企業方針を明確にしました。
 我々の部門の規格安全ソリューションセンターは、技術本部の中にあり、認証申請を行っているところと、標準化と安全を進めているところの二つに分かれています。
 認証のところは、世界の各地域で販売や使用していただくためのULやCEマーキングなどの製品認証や適合証明を受けることや、認証の維持管理などを行っている部署です。製品認証は、製品の品質を証明するものであり、より品質の高いものを世の中にとどけることと、色々な国で安心して使っていただくことのために必要なものです。
 規格安全推進については、担当をしている前田の方から説明します。

前田:規格安全推進グループのミッションとして、大きく分けて『標準化』と『ものづくり安全コンサルティング』の二つがあります。
 ご存知だと思いますが、WTO加盟国はTBT協定に基づき、各国の基準、規格類をIECやISOなどの国際規格に整合させなければならず、JISなども例外ではなく国際規格をベースにしています。したがって、機械類をIEC、ISO規格に整合させることにより、世界各国の技術基準に整合させる事が可能となります。
 今まで我々を含む日本の多くの企業は、自社の製品仕様をいかに国際標準に合わせるかといういわゆる受身的な対応でした。それでは日本の優れた技術を活かせません。そこで、日本の技術・仕様を国際標準の場に持っていき、日本からも標準という形で提案していこうとしています。そのように標準化に取り組んでいるところが一つです。
 もう一つは、標準化活動や認証申請で得た国際規格などの考え方、ノウハウ、当社の安全技術などをユーザーに理解していただき、正しく安全システムを構築してもらうためのコンサルティングです。特に、安全に係わる製品は売りっぱなしというわけにはいかないものですから、ユーザーの用途に応じたものを最適化して提供し、そして、最適に使っていただくために、ものづくり安全コンサルティングを行っています。そうすることで、ユーザーにグローバルな安全に対する考え方や安全のしくみを知っていただき、それをベースに安全機器を正しく使っていただくことにより、世の中の産業事故がなくなるよう貢献したいと思っています。

生産システムの分類と位置づけ

 

労働災害発生状況の推移

 

 

安全なものづくりはどのように考えていけばよいのですか
 

西原:日本では国際的に通用する工場安全の考え方も徐々に普及してきています。ISO12100という機械類の安全性‐設計のための基本概念の国際規格がありますが、2004年にJIS B9700としてJIS化されました。2006年には、労働安全衛生法の改正が行われており、さらに世界標準の安全の考え方が取り入れられています。日本では産業事故の件数は減少傾向ですが、重大事故は減っていないという現実があります。当社がこれまでもやってきたことであり、これからもっと大事になることは、『安全なものをつくる 安全にものをつくる』ということです。これはものづくりに携わる全ての人が念頭に置かなければならないことではないかと思いますし、常に訴求し続けています。
 従来日本は、災害ゼロという件数主義の考え方でした。そして、作業者責任であり、教育すれば安全は保たれるというのが生産現場での安全に対する考え方で対応型といわれるものでした。欧米では、企業の責任であり、本質安全を考えて機械を設計しなければならないという考え方です。リスクアセスメントを行って対策を施し、残ったリスクは何かを考えるやり方で、先見型といわれています。現在は日本でも、先ほどの規格なども含め、対応型から先見型に移行中であるといえます。
 2007年問題により、熟練した人がいなくなれば品質の低下に加え産業事故が増えるということが懸念されています。これをできる限り人に頼らず、安全制御や安全機構などの機械の設計で防ぐことが重要になってきます。そういったことも社会ニーズとして増えてくると思っています。
 すなわちこれからは、いままでのようにリスクを残したまま教育により作業者が安全を確保するという考えから、リスクを十分考慮して本質的に安全となるように装置を設計することが必要となってきます。このような話を、先ほど言いましたものづくり安全コンサルティングの中で話しています。やり方はいろいろありますが、装置や業界に応じて最適な手法を提案しています。安全規格の内容に基づいて正しく工場の安全化を行うことが大事であり、そのことを普及させようとしています。

 

生産システムの分類と位置づけ

 

安全セミナー風景

 

 

御社は安全に関するノウハウをどのようにして持たれたのですか
 

西原:当社は、ロボットを使ったものづくりに長年取り組んできており、高い生産性と安全性を両立させないとこれからのものづくりはできないと感じています。一般的には、安全性を高めると生産性が落ちるといわれますが、それでは良くなくて高い生産性を保ちながら安全性を高めていくということを具体化しなければ先のものづくりに対応していけないと思います。当社ではスイッチやリレー等をロボットで作っていますが、ロボット制御セルと呼んでいるものを、1995年から開発に掛り2000年に導入してものづくりをしています。これは第一回のものづくり日本大賞を受けました。自社で高生産性と安全性の両立を具体化したという経験を活かして、『ものづくり安全』を普及しています。
 昔は労働集約型で自動化により流れ作業で物を作っていくというものでしたが、いまは多品種の変量をやっていかなければなりません。人セル生産方式は結局人手がかかりますので、ロボットで行おうというものです。それを我々の生産設備として使っているわけです。ロボットは便利な装置であるとともに、危険を伴っています。それをいかに安全に使いこなすかという蓄積されたノウハウが、我々の持っている強みです。
 当社は、設計も金型も自社で作り、自社の工場でものを作り、機械設備そのものも作っており、ものづくりの根幹を全て自社でする立場にあります。自社における設備の安全のシステム構築、その維持管理をやっており、なおかつ国際標準化の場に委員として参加して提案していくという立場も兼ね備えています。
 まとめてみますと、制御機器設計技術、安全機器設計技術などの『安全設計のノウハウ』を持っていること。ロボットプログラミング、エンジニアリング・システム構築などを活かし『ロボット制御セル開発能力』を持っていること。国際規格・各国安全器各調査分析、国際会議参画などの実績から『国際規格エキスパート』であること。製造者・事業監督者の立場、工場運営の実践などから『国内外での工場運営、ものづくりの実践』を行っていること。という、四つの事柄に対して技術とノウハウを持っている、まれな企業であると言えると思います。その意味で、製品ばかりではなく、それ以外のソリューションも提供できると考えています。

 

A、B、C規格の使い分け

 

リスクアセスメントのフロー 


 
具体的にはどのようなソリューションを提供されるのですか

 

西原:当社はメーカーですから、製品を販売しており当然製品のカタログである『セーフティコンポーネント』もありますが、それとは別に『安全コンセプトブック』というものも作っています。これは2000年に作り、現在3回の改定を行っています。これは、世の中の流れや規格そのものの内容をまとめ解説したものです。どういう装置にはどういう規格に基づいてどのように防護方策が施されるかということなどが述べられています。機械設計、設備設計に係わる方が、安全に対してどういったことを考慮しなければいけないかということが分かる内容になっています。
 機械の安全設計において適用する国際安全規格には、個別機械安全規格はC規格といいますが、それでは追いつかない部分を、グループ安全規格のB規格、さらには基本安全規格のA規格に基づくように構成されています。『安全コンセプトブック』にはそこの部分がなぜそうなっているのかとか、それの考え方の説明をしてあります。実際いろいろな種類の安全機器があるのですが、規格のどの要求事項を具現化し、どういう装置であればどういった機器を使うと良いといった規格に基づく製品の選択のガイドになっています。
 昨年の労働安全衛生法の改正により、リスクアセスメントの実施が努力義務化され、企業責任も問われるようになりました。改正の重要なポイントの一つとして『危険・有害性等の調査及び必要な処置の実施』というのがありますが、これはグローバルな安全の考え方に基づき正しくリスクアセスメントをし、その結果に基づきリスク低減を行うということです。しかし、ユーザーにとってはどうしたらよいのか迷っておられる方も多く、当社へのお問い合わせがあります。そういった声にもお応えするという意味でもコンサルティングが必要であると考えております。
 日本も徐々に、災害ゼロへの考えから危険ゼロへの考えに移行してきており、許容可能なリスクは良くて、許容できない大きなリスクを無くそうという方向になってきています。当社が先取りしてやっていたことに、やっと日本の実情があってきていると考えています。
 そういった意味で今後さらに、製造業が目指すべき安全に対して、当社の考え、ノウハウ、製品を提供していくことが重要になってくると思います。そうすることで、産業事故の撲滅を目指して貢献していきたいと考えています。

 

デモ用機器

セーフティライトカーテン
非常停止用押ボタンスイッチ

 

デモ用機器

非接触安全スイッチ
右下:緊急遮断用スイッチガードとEMO表示
   付押ボタンスイッチの組み合わせ

 

  

本日はお忙しい中有り難うございました

 

2007年11月号掲載

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