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メカトロニクス  第21回 オリジナルインタビュー

半導体実装におけるはんだダイボンディングと
プラズマ洗浄技術

―市場の細かなニーズにも対応し幅広い製品をラインアップ ―

 

株式会社日立ハイテクインスツルメンツ

 

(株)日立ハイテクインスツルメンツ
設計本部 実装システム設計部
部長 小松 龍一 氏

(株)日立ハイテクインスツルメンツ
半導体実装装置グループ
統括主任技師 福田 正行 氏

 

 
開発・製造部門の企業と販売部門の企業が市場情報と開発情報を共有。市場のニーズに幅広い製品ラインアップで対応し、半導体後工程分野の開発・製造で急躍進を続ける株式会社日立ハイテクインスツルメンツ 設計本部 実装システム設計部 部長 小松 龍一 氏と、半導体実装装置グループ 統括主任技師 福田 正行 氏に製品と技術について話を伺った。

 

 

会社の設立および沿革についてお話しください

 

 小松:当社は、三洋電機株式会社から株式会社日立ハイテクノロジーズに事業移管され、社名を株式会社日立ハイテクインスツルメンツとして2003年4月1日に設立されました。それまでの社名は、三洋電機の社内独立カンパニーとして1994年12月1日に設立された、三洋ハイテクノロジー株式会社でした。当社は1982年からチップマウンターの開発・製造を主事業として展開しており、その販売を現在の株式会社日立ハイテクノロジーズ(当時、日製産業株式会社)が担当していました。現在は日立ハイテクノロジーズの100%子会社として、主にチップマウンターの開発・製造部門を担っており、日立ハイテクノロジーズが販売を担当しております。開発・製造部門と販売部門がまとまることで、市場情報や開発・製造に関する情報の共有が従来に比べ飛躍的に高まり、大きなシナジー効果を発揮しています。
 現在の事業領域は、チップマウンタの製造・販売を主とし、それに加え半導体の後工程製品の製造・販売も行っています。事業規模は、マウンタビジネスを100とすると後工程製品の規模はその10%弱程度です。

 

はんだダイホンダについてお話ください

 小松:当社のはんだダイボンダ『SHD300』と『SHD400』について説明します。両装置とも大きな特徴の一つは、2ヘッド構成にあり、二つのボンディングステーションを持っています。パワーデバイスにおけるウエハのサイズは、一般的には最大8インチで、そのウエハを2枚セットすることができます。最近、2チップ、3チップ構成というパワーデバイスが増加しており、たとえばダイオード、MOSFET、IGPDなどの2チップの組み合わせが多くなってきています。
 この場合、従来のシングルヘッドのダイボンダでは、ワークを2回流すことが必要になります。しかしこれでは溶けて固まったはんだを再溶融することになり、品質的な問題や工程数増加の問題が懸念されます。当社の製品は、一度流すだけで良いわけです。
 二つ目の特徴は、リードフレーム(SHD300)はもちろん、ヒートスプレッダーなどの個片ワークを、搬送治具を使うことなく流すことができます。個片ワークの場合、一般的には、治具にワークをセットして流す装置はあるのですが、当社製品のSHD400の場合、加熱搬送シュートの上に直接ワークを流すので生産効率、品質が向上します。例えば、ワークを治具にセットすると、熱伝導が悪かったり、治具との擦れによりゴミが発生したりと様々な問題が発生します。そういった問題が、当社製品には一切ありません。またSHD400には基板認識機能というものがあります。通常、リードフレーム搬送では、パイ
ロット孔に送りピンを挿入し送ったり、位置決め孔にピンを挿入し位置決めするメカニカルな位置決めですが、個片ワーク搬送においてオーバーランの発生が考えられ、上からカメラで画像認識検査し、正しいボンディング位置を探すことができます。またこの基板認識カメラを用いて、ダイ搭載直前に、はんだ有無や、はんだサイズが適正な大きさなのかを確認してからダイを載せることができます。
 最近、ユーザーの設備仕様が難しくなっています。一つははんだ付けの形状的な仕様です。フィレットのエリアが厳しく制限され、高密度の実装が求められています。
 また、はんだ膜厚をある範囲に収めたいといった要望も多くあります。たとえば、膜厚を100ミクロン欲しいとか、チップの傾きは何度以内にしてほしいという、きめ細かい内容です。これらに対応するため、三つ目の特徴として、はんだ膜厚管理があります。ノズルの高さや基板の高さを制御するとともに、供給するはんだ量を正確にコントロールする必要があります。ワークに所定量のはんだが供給されたかどうかの確認が必要です。
 まずリードフレームなどに、はんだ先端が接地したことを検出してから、何mm送るという計測を行う必要があります。さらに場合により、はんだ送りで、はんだがスリップすることもあるので、滑り検出機構を付け、より確実なはんだ供給を確保しています。次に、はんだ膜厚やフィレットの飛び出しを精密に制御するためには、ノズルの長さが、熱膨張によりワンサイクル動作中でも常に変化しているので、これらを制御する機能が必要となります。また同時に基板の高さも正確に検出しなければなりません。
 SHD300、SHD400では、レーザセンサを使ってリードフレームや個片ワークの高さを検出し、それをボンディングノズルの高さ制御にフィードバックさせることができます。 
 四つ目の特徴は、酸化防止に有効な、還元性ガス雰囲気をどうやって作るのかということです。当社の装置には、装置配管の中で水素ガスと窒素ガスのミキシングが可能なように、いろいろなコントローラを設けています。装置内ミキシングのメリットは、還元性を強くしたいところでは、水素ガス濃度を少し上げたり、また酸化を防ぎたいところにはガス流量を多くしたりなどの制御が、ポイントごとに可能だということです。
 五つ目の特徴として外観検査機能があります。平面的な画像検査としては、はんだフィレット形状や、ダイの割れや欠けをボンディング後に検査する機能があります。さらには、はんだ膜厚をレーザで計測する高さ検査もあります。より高い品質を保証したものを、次のワイヤボンディング工程に流すということで
す。
 最後に大きな特徴として安全性ということが挙げられます。当社ではリスクアセスメントという手段を用いて安全性を評価しています。これは装置の危険性を事前に十分評価・検証し、それに対して手を打つことなのですが、これに基づいて安全対策を装置に盛り込んでいます。
 水素ガスを扱っている以上、しっかりとした安全対策を施す必要があります。たとえば、一定のガス濃度を超えないような設定をすることができ、またガスセンサで監視し一定濃度を超えるとガスの供給をストップするようにしています。安全回路についても、二重三重のインターロックをとっています。どこが壊れても安全が保てるように、危険性に配慮して設計しています。

ダブルヘッドはんだダイボンダSHD300/SHD400


プラズマ洗浄装置『SPC-100』についてお聞かせください

 

福田:プラズマ洗浄装置は1998年、液晶制御基板の洗浄という用途で初めて試作機を開発しました。基板電極のメッキ表面の汚れや、酸化膜などの不純物を除去して、実装の品質を上げるための開発でした。本装置は、安定したプラズマを発生させることと、チャンバー内におけるプラズマの密度をいかに均一にするかが重要になります。
 同装置は2機種あり、一つは平行平板式と、もう一つはバッチ式のタイプです。現在、BGAなどの半導体パッケージの組み立て工程で標準プロセスになりつつある装置です。
 特にSiPパッケージでは、必須装置という位置付けになっています。また、安価な材料を使用しプラズマを用い、材料にマージンを持たせることができる有効な手段としても使われています。最近では、さらに用途が広がり、ベアウエハのバンピング工程や、基板のメーカーなどにも広がっています。これまで物理的に不純物を取り除くという用途だけでしたが、最近では酸素を用いて、表面の有機物をアッシングする用途にも使われています。
 プラズマ洗浄装置『SPC-100』は、枚葉式のプラズマ洗浄装置『SPC-100B』と、基板搬送装置の『SPC-100H』の二つの装置から構成されています。先にSPC-100Bを購入し、後から搬送装置SPC‐100Hをドッキングして自動機にすることも可能で、これをビルトブロックシステムと呼んでいます。SPC-100Bは多品種の少量生産、実験・研究用、少ロット生産向きで、SPC-100Hを付けることで大量生産の装置にすることができます。要するに多品種少量から大量生産まで、幅広い生産形態に合わせることができるわけです。
 特徴として、300mm角という有効処理エリアが挙げられ、ほかのメーカーに比べ、比較的大きい処理エリアとなっています。これにより半導体のパッケージ工程、基板の工程だけでなく、12インチのウエハの工程も可能です。さらに12インチ用エキスパンドリング対応としてオプションで500・角にも対応できます。
 二つ目の特徴として、SPC-100Bは高均一な処理が可能です。300mm角の有効処理エリア内の均一性は±15%以下で、業界ではトップの数値と考えています。
 三つ目の特徴は、二つのプラズマ方式の選択が可能ということです。一つはワイヤボンディングやフリップチップボンディングに用いられるRIEという処理で、アルゴンプラズマで基板表面をスパッタリングして、不純物を取り除くという処理です。これはイオンで不純物を叩き出すというイメージです。もう一つは、モールド樹脂の密着性の向上や、フリップチップを接合した後のアンダーフィルの充填性の向上などに用いられるPE処理です。この2種類のプラズマを切り替え、用途に応じて使い分けることができ、最適なプラズマの処理をする
ことが可能です。さらに、本装置はプラズマ状態をモニタリングすることが可能で、プラズマの処理品質をデジタルに管理することができます。プラズマ処理後は見た目で判断することはできませんので、この機能を取り入れています。

プラズマ洗浄装置SPC100



小型プラズマ洗浄装置『SPC-50』ついてお聞かせください

 

福田:半導体の後工程においてセル生産化されているユーザーからの要望で、開発依頼を受け製品化しました。今年の6月から販売を開始しています。
 この小型プラズマ洗浄装置『SPC-50』は小型マガジン一括処理で、特徴は小型卓上タイプということと、従来のマガジン一括方式で課題だった処理の不均一問題を、電極構造を変えることにより高均一を実現しました。
 バッチ処理は一度にたくさんの基板を処理できるメリットがありますが、その一方でプラズマが均一に当たらないという問題もあります。そのため、四方が完全にふさがれているマガジンに穴を開けプラズマが入るように改良しているユーザーもおられますが、一般的には、後工程のラインの中で、プラズマ工程だけ違うマガジンを使いたくないというのが実状です。通常、平行平板は上下に電極を配置しますので、プラズマが上からの流れだけになり満遍なくいきわたらないため均一性が損なわれます。
 当社の装置は、電極配置に工夫を凝らし、発生したプラズマが効率よくマガジン内ワークに照射されるに設計されています(特許申請中)。このようにバッチ処理とマガジン一括処理により、試作から量産まで幅広く対応が可能です。
 プラズマ洗浄においては、処理面積を大きくした場合、プラズマをいかに均一に照射するかが重要です。現在は、中サイズの枚葉式と小型のバッチ処理に主眼をおいていますが、オプションでは、大型チャンバ装置にも対応しており、ユーザーのニーズに細かく応えていこうと考えています。

プラズマ洗浄装置SPC50



今後の展開について伺えますか

小松:はんだダイボンダの今後の具体的な取り組みとして、段取り性の向上が挙げられます。パワーデバイスの出力は大きなものから小さなものまであり、デバイスにより放熱量は異なりリードフレームの大きさ、厚みなど異なってきます。ユーザーとしては、少しでも設備投資を削減したいということで、段取り対応の要望が出てきます。
 ところが、ボンダは高温で使用するため、設定の変更、変更後の確認、試し打ち、試し打ち製品サンプルの品質確認など合わせると、結果的に段取りに1日とか2日かかってしまうこともあります。たとえば、搬送ユニットを入れ替えたとき、ボンディングできる環境条件を確認し、立ち上げるまでには相当な時間がかかってしまいます。これをいかに早く段取りをするかが、これからの課題になります。
 はんだ付けに関しては、残存酸素濃度をどこまで下げていけるかという課題があります。温度が高いため、酸化が進みやすい中でいかに酸素の濃度を下げるかということが重要なパラメータとなってきます。一層のはんだ付け品質の向上と生産性の向上が重要です。
 半導体デバイスは、現在25兆円から30兆円あると言われていますが、その全体の伸び率よりも、パワーデバイスの伸び率の方が高いのが現状です。還元炉を使って生産されているお客様がまだ多くおられますが、これからは、はんだダイボンダに変わっていくと考えています。はんだ特性への可制御性の高さ、ランニングコストの抑制、またスペース効率などが特徴です。
 次にプラズマ洗浄装置の今後の取り組みについて触れます。従来プラズマ洗浄装置は、半導体後工程の用途に焦点を当てていました。例えば、はんだ濡れ性改善、ワイヤボンディングの前処理、アンダーフィル充填性改善やモールド樹脂接着強度改善などです。今後のテーマとしてすでに述べましたが、大型チャンバー対応のプラズマ洗浄装置を開発してゆく予定です。新たな用途開発として各種の基板洗浄を考えています。

 

本日はお忙しい中有り難うございました

 

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