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メカトロニクス  第18回 オリジナルインタビュー.

人で勝負するものづくりの提案力

ネットワークを活かしお客様の第二の頭脳として

 

プラムネット株式会社
設立当初はアパレル業界で現場の要求に応じた機器を、低価格でお客さまにに提供することから始め、現在は自社製品を開発・製造・販売しながら他社の設計・試作も手がける。自社の技術者以外にもネットワークで技術者集団を作り、開発・試作・製品化支援をするプラムネット株式会社 代表取締役 山口  光太郎 氏と、企画・広報担当 渡辺 直史 氏に、会社についてと今後の展開について話を聞く。
2007年5月号

 

プラムネット株式会社
代表取締役 山口 光太郎 氏

プラムネット株式会社
企画・広報担当 渡辺 直史 氏


プラントメーカで培った「ニーズをとらえる視点」


■御社についてお話ください。

 

山口:当社の設立は平成2年(1990年)で、もともとはアパレル関係の機器を製造することから始まりました。
現在の仕事の内容を大雑把にいいますと、「自社製品の開発・製造・販売」と「外部からの試作品の受託」があります。社内で企画、商品化したものについて は自社のブランドで販売しています。具体的にはカメラ関係やレーザ関係の光学機器、洋服のしわをのばすスチーマーなどのアパレル機器があります。試作について言いますと、間口が非常に広く、分野も様々で、要求される内容もかなりの幅があります。お客様も上場企業から街の発明家までと幅広いものになっています。この二つが当社の事業の柱となっています。
私は、最初は冷凍空調プラント関連の企業に従事していましたが、次にクリーニングやアパレル業界に特殊な薬品を売る企業に従事しました。そんなところから、アパレル業界に業務用機器を販売する会社として、「プラムネット」がスタートしたということです。アパレル業界の業務用機器とは洋服のしわ伸ばし用スチーマーや、アパレル用品裁断用のレーザ光の照射装置です。レーザ照射装置は生地を裁断するときの基準線として、レーザー光を使用するものです。
 プラントメーカ時代には、全体と部分が調和しながら、どう動くかを見ることが大事だということを学びました。プラントの中はさまざまな機器で構成されており、プラント全体の設計からはじまり、機器の選定、設置、メンテナンスなどかなり広い範囲で仕事をやるという環境にありました。今は、業界は違いますが、全体の中の構成部分である機器を作る仕事をやっています。機器を作るには、その機器が全体の中でどういう役割を持っているのかと言う観点から、いろいろな構想を思い浮かべ、用途の追求、現状の問題点の解決方法を、考えていかなければなりません。たとえば、工場のラインで、現場は数十万画素のカメラでいいと思っているところに、何百万画素のカメラが入っていれば過剰スペックであり、むだであるわけです。ところが、工場で使うものでは意外とそういうものが多くみうけられます。このような問題点を見つけ出す能力は、全体と部分の関係を絶えず問い直してゆく努力から生まれます。
 具体的な話で言いますと、もともと、アパレル工場の現場で使われていたレーザ照射装置は、建築測量などで使われる二点間の距離を正確に測るような高スペックで、アパレルの現場では使いづらいものでした。現場では高スペックのものは要求されておらず、安くて誰でも簡単に使えるものを要求していましたが、実際そういうものを作るところがなかったわけです。そこで、非常にコンパクトで使いやすいレーザ照射装置を作り、アパレル関係の現場に紹介したところ非常に喜ばれました。
 このように、マーケットのニーズは現場にあるわけで、そういったものを一つ一つ掘り起こしながら、いまも製品の開発をやっています。同じアパレル関係でも、ミシンや裁断機のような大きなマーケットは、大手が手がけています。大手企業がフォローしきれないニッチなマーケットにスポットを当てながら、今後もものづくりに取り組んでいきたいと思っています。


 

スチーマ

レポライン2

 

 

ニッチなマーケットへ向けたユニークな自社製品

■自社製品にはどのようなものがあるのですか

 
山口:いまは、レーザを始めCCDカメラや照明などの光学関係に力を入れています。
CCDカメラは、7分の1インチのCCDセンサを採用し、カメラヘッド部分は直径7.5mm、長さ42mmと大変小型ながら34万画素と高画質な「ハンディミニ」があります。これは、基板の検査、実験・記録、防犯・監視など色々な用途にお使いいただけます。また、光源付きタイプの「ハンディアルファ」はカメラヘッドが直径14mm、長さ100mm、34万画素で、拡大撮影時の光量不足を補い、暗くて狭い場所でも撮影ができます。基板の検査や毛髪・皮膚の検査、金属表面の検査などに最適です。
 CCDカメラのレンズはコードの延長上を向いているものが多いのですが、当社の「ハンディーサイドビュー」はコードに対して直角に向いており、厚さが8mm、縦12mm、横40mmなので狭い隙間にも余裕をもって入っていき、ON・OF可能なチップ型白色LED光源もついています。この種のカメラは現在では製作しているメーカーは、大変少なくなってます。
特殊な照明としては、縫製工場向けミシン用小型ライト「プラムライト」があり、ミシンへの着脱はマグネットで行いフレキシブルパイプにより針の真上に設置できるため、針落ち部分を影にすることなく照射できるものです。いずれも競合相手が少ないニッチのマーケットを選びながら製品開発を行ってます。

 

 

ハンディミニ

ハンディアルファ

 

ハンディーサイドビュー

プラムライト

 

 

あえて「自社の技術を特化しすぎない」という戦略

 

■ものづくりで大切な点は何ですか
 

山口:当社はファブレスですから、製作はすべて外部に委託しています。
 当社にも、電気関係の技術者や機械関係の技術者がおりますが、開発や製品化等ものを作るうえでは、社内だけでは技術的に欠落する部分が必ず出てきます。 そこの部分はは外部にお願いしています。外部の方でも、密接なお付き合いをさせていただいているところが、20〜30社あります。個人の方から、10人程度までの会社が中心です。特に機動力と低コストで物作りが出来る、各分野で特徴のある仕事をされている会社ばかりです。
 当社が考える「ものづくりで一番大切なもの」とは「製品のコンセプト」であり、それがぶれないことだととらえています。たとえば、どのような現場でどう使われているのか、それをどのようにイメージし、基本的な考え方を具体的なアイデアとしてどう出すかということです。当社のやるべき仕事がここにあります。この点を明確にすることは、製品の位置づけと販売予測にもつながってきます。この作業はかなりの集中力が必要です。それから、自社で出来ることと出来ないことを絶えず意識し、出来ない事を外部からサポートしてもらうその方法です。単にアウトソーシングという言葉だけでは言い表せない、人と人とのつながりを重視した関係を、築きあげる日頃の努力が大切です。
 

 

仕様書ゼロからのものづくりを支援する「提案力」の秘密 

■試作することで大変なことは何ですか、また、どのように対応されていますか
 

山口:当社はものづくりの5つの柱として、「企画・アイデア」「デザイン」「設計・試作」「量産」「販売・アフター」を掲げています。当社で不足する部分は、当社のネットワーク集団を活用して対応しており、その水準の高さとすばやい対応、機動力は「現代ものづくりの職人集団」であると自負しています。そして当社の自慢は、社内社外のネットワークを通してわき出てくる「提案力」です。

 計測機器、光学機器、映像機器、レーザ機器などの業務関連機器、新しい素材や希少素材を使った製品、身の回りなど生活関連製品、その他業務用の特殊な機器などを得意分野としていますが、現在は更に、色々な領域の仕事に携わっています。なぜそうなったのかを考えてみましたが、これは試作の仕事をやってきた結果であり、お客様からの要望であるということです。試作に関して言いますと、収益を上げてゆくのが難しい為か、こういう仕事を専門にやる会社が少ないのが現状だと思います。

 ある大手企業から試作を依頼されたときも、「こんなことを考えていて、予算はこれくらいだけどやれないだろうか」という大雑把な内容の依頼でした。スタートは概略図とメモが5、6枚あるだけで、そこからどういうことがしたいのか、どんなものを作りたいのかをお客さまとディスカッションしながら企画、提案にまとめていくわけです。当然仕様書もありませんし、積算もできず、予知できないことも起こりますから大変です。また、どういう技術が必要になってくるかということも、進めていかなければ分からないことです。大切なことはアバウトな面と、緻密な面との、両方持ち合わせていることと、状況に応じてその両面を使い分けて仕事を進める柔軟な対応力です。ここでは、損得の問題より、何が起こるかわからない、新しいことにチャレンジする仕事の面白さが優先されます。何を基準に仕事をするかと言うことですが、損得を考えずにチャレンジしても結果は、そんなにおおきくずれることはありません。何とか想定内に収まるものです。この辺はリスクに対する感性が研ぎ澄まされて、良くなっているのではないかと思うこともあります。大損はしません。仕事の領域が広がって長い目で見ると良かったかなというところです。

 いま受けている仕事の半分くらいは、「他にやってくれるところが見つからない」というものです。それは、精密な機械加工や板金といった難しい部品加工の仕事ではなく、実験装置や研究用の装置、製品化前の試作などが主体で、どこに頼んでいいか分からないというものです。例えばある研究所が、こういう試作を作りたいと協力会社を呼んだとします。大手の協力会社は、社内組織が細分化されていて小回りがききません。また他部門との連携が悪いため対応に時間がかかります。当社の場合は、機械、電気の技術屋2、3人の話し合いで、この仕事はどんな枠組みでやっていけばいいのかその場で話し合い、結論をすぐに出しますから、対応は早くなります。

 試作の仕事は、かなり幅広い領域の技術をカバーできる能力が要求されます。当社の場合は、ものづくりといっても単なる部品加工等の依頼ではなく「お客様と共同で考え、設計し作り上げて行く。」場合が多く、要求されるものも、企画力や提案力が重要で、これがお客様の評価の対象になります。当社の強みは、中小企業だからこそやることができる、ひと味違った「提案力」と思われます。

 何か困ったことがあれば、とりあえず「プラムネットに相談すれば何とかしてくれる。」というイメージを持っていただければありがたいと思っています。

 

渡辺:当社が依頼されて作るものは、どこでも作っていないようなもの、規格外の製品といえます。先ほども提案力ということが出てきましたが、お客様が漠然と作りたいと思っているものを我々が噛み砕いてタイムリーに、低価格で提案していく、当社が望むことは「お客様の第二の頭脳」として活用していただくことです。

 ものづくりの企業はもので勝負しますが、当社は「もの+人」で勝負する会社と考えてます。

 

山口:もちろん最終的には「もの」という形にして、要求されたものをお客様へ提供していますが、形にする原動力は人間だと思います。当社が抱えている技術者の個性と、そのネットワークによる総合力が、当社独自の「提案力」へ繋がっていると思います。

 

 

■今後の展開についてお話しください

 

山口:光学機器関係では、ラインセンサーを使ってびんの検査をするカメラを手がけています。ラインセンサーとエリアセンサーを組み合わせたユニークな商品です。また、紫外線の反射率を計測する安価でハンディな装置を開発しています。これは、塗料等の皮膜が紫外線に強いかどうかを調べるとき、紫外線を吸収しない素材が強いことになります。その紫外線を反射させる傾向が大きいほどその皮膜が強いことになります。紫外線の反射率を調べる高価な装置はありますが、コストの面や現場などで簡単に測れるようなものでなく、どこでも使えるものとはいえません。当社のねらいは、コストが安く、いつでも、どこでも簡単に紫外線の反射率が測れる安価な計測機器です。

 

渡辺:ほかには、一般の人に使っていただくものですが、デザイナーとコラボレートしながらデザイン性を重視した商品をいくつか手がけています。製品としての機能的な特徴があって、デザインも優れているという製品作りを狙っています。今までの商品の中から、デザイン的に優れたものを選び出し、提案しようというところからスタートします。

 

山口:また更に今年から、カメラを使った溶接の解析を行う部門をスタートしました。これもニッチなマーケットと言えると思いますが、溶接の解析を低価格で簡便に出来るようなツールの開発を考えています。例を挙げると、ダイナミックレンジの広い低価格のカメラの開発を考えています。こちらの部門も立ち上げには時間がかかりますが、当社の有望なマーケットとして位置づけ2,3年後が楽しみな部門です。

 

 

■最後に読者の方々へ一言お願いします

 

山口:最初にも、試作を受託して行うことと、自社の製品を販売することの二つがあるといいましたが、両部門を半分くらいづつのウェイトでバランスよく やっていきたいと思っています。

 そうすることが相乗効果を生み、更に訴求力のある「自社製品」や、試作における現実的でありながらもユニークな「提案力」につながっていくと確信しています。

 もし、ものづくりにおいて、何か困ったことや立ち止まってしまうことがあれば、まずは声をかけていただければ、当社はいい相談相手になっていけると思います。ネットワークの一つで「お客様の第2の頭脳」と考えていただき、気軽にご利用していただきたいと思います。

 

 

 

 

 

本日はお忙しい中ありがとうございました

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