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メカトロニクス  第17回 オリジナルインタビュー

インターネットを利用して工場用間接資材を販売

— 広い選択肢が求められているところへ様々なブランドを提供 —

 

株式会社MonotaRO
工具などの工場間接資材をインターネットで販売、営業開始5年目で売り上げ約100億円、顧客約18万事業所の実績を持ち、昨年12月マザーズに上場、今年1月に4.5万のアイテムを収納できる新物流センターを尼崎に開設した 株式会社MonotaRO 代表執行役社長 瀬戸 欣哉 氏に、インターネットビジネス、システム、今後の展開などの話を聞く。
2007年5月号

 

株式会社MonotaRO
代表執行役社長  瀬戸 欣哉 氏


■御社について簡単にご説明ください

 

瀬戸:当社は2000年に設立し、2001年の11月から営業を開始しました。インターネットなどを利用して工場用間接資材の販売を行っていますが、そのサイトのネーミングがMonotaROで、昨年、それを社名にしました。この名前には三つの意味がありまして、一つはものが足りるという意味であり、もう一つはMROがMaintenance, Repair & Operationという意味です。三つ目は、この業界は複雑な流通業界であるがゆえに、お客様が求めている商品が便利で安価に届かないという問題があり、その部分を解決したい、つまり流通の鬼退治をしたいという意味でつけました。
 その意味をお客様にも知っていただこうと、社名も変更したわけです。

 

■なぜインターネットを利用した工場用間接資材の販売を行おうと思ったのですか

 

瀬戸:この事業モデルは10年ほど前に思いついたビジネスモデルです。そのころは米国にいまして、インターネットビジネスの勃興というのを目の当たりにしました。インターネットのビジネスモデルは色々ありましたが、私はアマゾンに非常に魅力を感じたわけです。当時のアマゾンは赤字であったし、経済界の評価は高くはなかったのですが、私は面白いと思っていました。流通業界という立場からインターネットを見た場合、今まで流通にコストがかかっていた、あまり流通できていなかった商品を出すことができたということに大きな魅力を感じたわけです。
 よく、ホームセンターとの比較をされますが、ホームセンターは売り場は広いのですが売れ筋商品に固まっています。たとえばCDを買いにいったとき、ヒット曲のアルバムばかりが並んでいて、欲しいものが無いことがあります。
 基本的に、流通というのは必要悪といってもいい存在だと思うのです。ある商品が、Aという人からBという人に流通のコストをかけずにいったら一番理想なことです。流通というのは本来、流通のコストを下げるために存在するのですが、流通自身が儲けようと思ったときにお客様が求めている選択肢の広さよりも、自分たちが売りたいものを集中させていくことで利益を上げていくという傾向が高いのです。これは必ずしも消費者の利益にそっておりません。
 たとえば、日本における本屋は非常に小さい本屋さんがいっぱいあり、時代小説が読みたいと思っていっても池波正太郎と司馬遼太郎しかないということもあるわけです。ほかのものを読みたいと思ってもそれしかないのでそれを買ってしまう、するとそれがまたベストセラーになってしまうことになります。これはまったく流通の役割を果たしていないことになります。流通というのはお客様の求めるものを持ってこられるから意味があり、それができていなかったものをインターネットというツールを使って商品の幅を拡大したということにアマゾンの価値があったと思います。
 そのころ私はインダストリアルの業界にいましたので、産業資材の中で選択肢の広さが一番求められているのは何かを考えたとき、工具などの間接資材ではないかと思ったわけです。
 間接資材といわれている商品群は何百万とあるわけですが、買う人にとっては一つ一つはめったに買う商品ではありません。製品を比べたり価格を調べたりすることがあまり無いので、言われた値段で買わざるを得ないものです。こういう商品群は、日本においては価格が高く品種が少なく流通しているものです。なぜかといいますと、日本においては金物屋さんとか訪問工具商さんといわれている方がその利便性を実現しました。この仕事は労働集約性が高く、付加価値が高くない仕事で、家族経営的な小さい会社が行ってきました。小さな会社は取り扱い点数も少ないほうがよく、お客様が広い範囲から買いたいと思っても小売商の方は狭い範囲の商品、いわゆるトップブランドばかりを売ることになります。
 そうなりますと、本来商品に差別性が無ければ競争がおこり安くなりますが、トップブランドが強いとその商品は高いものになってしまいます。その結果競争が起こらなくなり、新しい商品を導入しようというモチベーションも低くなってしまいます。売る方が新商品を導入しようとするのは、販売規模を広げようと思うからですが、たとえば、大阪の工具商が名古屋にいっても交通費の分だけ競争力を失ってしまいますので名古屋で販売することはなく、販売規模は広がっていきません。そうすると新商品を導入したいという気持ちがなくなってしまいます。この経済構造の中にいて、高度成長が止まったいま、訪問工具商に頼ってトップブランドが中心になるという流通形態そのものというのは、日本の産業界にとって不利なことだと思います。
 我々の違うところは、インターネットの通信販売ですから大阪に売っても、名古屋に売っても、東京に売ってもコストは同じなわけです。お客様が大手でも中小企業でも一緒です。そうなってくると、我々が色々なブランドを広げていく価値が出てくるわけです。
 これがインターネットビジネスにする一番大きな価値だと思ったわけです。我々の仕事は価値が無ければ誰も買ってくれないわけで、伸びるわけもありません。そこに何らかの価値があると思ったから始めたのです。

 

 

■間接資材のインターネット販売は伸びると思われたのですか

 

瀬戸:市場そのものは非常に広い市場だと思っています。我々が扱っている商品の需要を積み重ねて考えて見ますと、3兆円から5兆円の市場といわれています。当社の売り上げは平均年商100億円のベースになってきておりますが、5年で100億円というのは早いように思われるかもしれませんが、私は遅いと思っています。なぜそう思うのかといいますと、お客様がインターネット販売を使われる理由というのは、値段が安いからというより便利だからです。値段が安いかどうかは、判断が難しい商品ばかりなのです。そのようなものは、お客様にとって重要なのは価格よりも、一定の信用が置ければ短い時間で買えるほうが、便利であればあるほうがよいことになります。
 しかし、インターネットの通信販売は忘れられやすいという面もあります。一回便利な思いをしたからといって、必ずまた買ってくれるという保証は無いわけです。そこにマーケティングの努力が必要になってきます。
 我々のお客様の中心は中小企業などが多く、原料の仕入れ、販売、人件費、エネルギーの確保という四つが大事で、我々の商品の優先順位は低いものになっています。工場用間接資材を安くすることは中小企業にとって実は大きいものであり、簡単に安くすることができるものなのです。ところが、ほかのものは安く求める方法は知っていますが、間接資材を安くする方法は意外と知っておらず、またそれに時間をかけられないものだと思います。中小企業の方は大事な四つについても、コントロールすることができず市況によるしかありません。先ほどもいいましたように、訪問工具商は選択肢を無くしており競争が無いようにしているので、間接資材についても中小企業の方は購買するときコントロールをすることができません。
 我々の商品は選択肢を持たせることを考えていますので商品の値段も違います。たとえば、輸入商品で国産商品の半額というのも多くあります。今まではそのような商品を選択することの機会はありませんでしたが、使われる方が仕事内容とコストを考えて選択していただけます。また、当社は一物一価で価格を出していますので、価格の比較をしてもらうこともできます。
 お客様がここのところをきちんと理解していただければ、当社の製品は二千億、三千億の売り上げになっていきます。しかし、100億円の売り上げしかないのは、利便性ということを選んでいただけていないということで、我々のPRが不足していると思います。逆に、ある発火点まで達したらもっともっと成長できると思います。

 

 

■設立以来大変だったことは何ですか
 

瀬戸:売り上げ的には、営業開始した次の年の2002年度は8億7000万円で、それ以降24億円、46億円、68億円と伸びてきており、2006年度については92億円になります。
 お客様も2002年度の28,000事業所から、2005年度121,000事業所、2006年度で175,000事業所と増えてきています。間接資材というのは1年2年と利用されているうちに購買の頻度が増えてくるものです。その意味では、いまのお客様は2年後の成長の糧となるわけです。このように、表面上の数字は順調であり大変なことは無かったといえます。
 あえて苦労したことを言うとすれば、設立して1年2年は流通関係からの問題がありました。流通を乱すとして当社と関連会社を排除しようという工具の組合の動きもありましたが、我々の訴えで全国規模にはなりませんでした。流通の変化が起こるときは、既成との問題が必ず起こるものです。我々は卸問屋を悪いとは思っておらず、商品によっては卸問屋から買ったほうがよいものもあります。
 工具のメーカーも卸問屋もユーザーのデータベースを持っておりませんので、小売店のフィルターを通しての市場しか知らないのです。工具においてノギスはこのメーカー、ドライバーはあのメーカーのものしか売れない、といわれていますが、それも小売店の情報です。小売店はブランドが三つも四つもあれば在庫を抱えることになるので、一種類の工具に一つのブランドでいいわけです。ユーザーはいいものを欲しい人もいれば、そうでない人もいますがメーカーも卸問屋もそこが分かっておりません。品質の違いや価格の違いなど、商品を広げて売りたくない、発展させたくない人たちが一番下にいるというのがこの業界の憂えるところだといえます。
お客様が求めているのは様々なブランドだと思いますので、我々は色々なブランドを持つべきだと思います。お客様にとってコストも大切ですが、もっと大切なのは選択肢だと思います。

 

 

MonotaRO.comサイトトップページ


 

■MonotaROブランドの製品を出されているのもそのためですか

 

瀬戸:その延長線上の一つです。国内で有名メーカーの下請けをやっているところは、自分たちの名前を出してもらいたくないところもあります。海外のものにしても国内のものにしても、我々にとっては自信をもって売っているということであり、当社ブランドとして責任を持っているほうがお客様にとっても親切だと思います。
また、プライベートブランドを売っていくことによって、知名度が上がるというねらいもあります。

 

 

■1月15日付でアフィリエイトサイトをオープンしましたが

瀬戸:アフリエイトサイトを始めたのは、当社を知ってもらうためで、自分たちだけでなく周りの人に宣伝してもらうためです。周りの人たちにコンテンツをクリエイトしてもらうために、従来的な2〜3%のアフフィリエイトの構成ではなく当社ブランドに関しては10%を設定しました。ウェッブの中での当社のコンテンツをほかの人たちにも発信してもらうために作ったわけです。
 また、当社は3,000円以上買われた方の送料をサービスしていますが、お客様は工場などですから買うときは10,000円以上買われています。3,000円という金額を下げますと主婦の人たちが買いだします、すると、1,000円のものを2,500円で売らなければならなくなり、マージン率も上げなければならなくなり、全体にとって不幸になります。3,000円というラインは、実はお客様にとって便利なものであり、当社としてもあまり利益を取らなくても合理的に商売ができることになります。誰に対して何を売りたいかを決めないと、サービスは果てしなく広がりコストが高くなって誰にとっても便利でないものになってしまいます。

 

尼崎市の物流センター

 

■御社ブランドの製品は安いのですか

 

瀬戸:すべて安いとはいえません。中小企業の方が普通に比べた場合、9割は安いということはいえます。それは、売る側によって価格が変わっていくからです。
 工具商がものを売る場合ロスリーダというものがあり、その事業所で一番使われているものを安く売り、ほかのもので採算をとる方法です。対面商売で刃物がよく使われていると思えば刃物を安くしほかのベアリングを高くし、ベアリングがよく使われていると思えばベアリングを安くし刃物を高くする、一物多価の売り方です。ですから、あるところで多く使われているものに対する値段に対して敵うことは絶対に不可能です。一つ一つの製品に関して日本一安いというのはありえないことになります。
 しかし、通販など価格が表示されているもので、単一のカテゴリーで競合しているものでは当社より安い値段は不可能だと思っています。
 販売価格については、当社ではABC分析をするわけですが、売れているはずなのに売れていないとすれば価格が間違っていることが分かります。自分たちが想定した市場価格と販売価格があり、そこに達していないときは見直しをしていきます。仕入れ価格はできるだけ安くできるようにし、価格はそれに何%乗せるということではなく、市場を相手に価格を決めています。結果的に商品によって利益率は違ってきます。

 

 

■今後の展開についてお話ください

 

瀬戸:先ほども言いましたように当社の製品は二千億円の売り上げがあってもおかしくないと思っていますので、一つの目標として二千億円を目指したいと思っています。
 色々な問題点がありますが、自分たちとして一番行わなければならないのは人に知られることだと思います。逆をいえば、知ってもらいさえすればお客様にとって便利になるという自信はあります。
 お客様が求めているのは、どこで買ったらいいのか分からない商品は、当社にくればあるはずだという状態にしてあげることです。そのためには在庫体制をもっとしっかりしたいということから、物流拠点として尼崎市の物流専門施設を借り2月から本格稼動しました。物流センターの床面積は24,000m2で、商品の在庫は45,000アイテムを収納できます。売り上げが伸びたなら、ここをもっと拡充していきたいと思っています。お客様の広がりと商品の広がり、在庫点数の広がりは連動しているわけです。

 

 

本日はお忙しい中ありがとうございました

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