フリアーシステムズジャパン株式会社 代表取締役 小林 健 氏 |
■フリアーシステムズ社についてお話ください
小林:フリアーシステムズ社は1978年米国オレゴン州ポートランドで設立されました。現在、米国ナスダックに上場しており2005年通期での売り上げは円換算で約600億円、経常利益も約110億円となっています。 事業部門は大きく三つに分かれており、一つは我々が属しているサーモグラフィの部門で、全体の4割強の売り上げがあり、本部はスェーデンのストックホルム近郊にあります。もう一つはコマーシャルビジョンの部門、検出素子を含めた製品を開発するところで、自動車メーカーとナイトビジョンの開発、監視用のセキュリティー関係のカメラなどをやっている部門です。三つ目は空挺用の監視用カメラなど、軍事用や軍事用に転用できるカメラを作っている部門です。 日本においては民生用、産業用のサーモグラフィを販売するために、今年現地法人を設立しました。 歴史的に話しますと、1958年にスエーデェンにAGAという会社が設立され、初めて軍事用赤外線カメラを開発しました。米国において1975年にインフラマトリックス社が、1978年にフリアーシステムズ社が赤外線カメラメーカーとして設立されました。フリアーシステムズ社は、AGAから社名変更したAGEMA社と1997年に、ついでインフラマトリックス社と1999年に合併しました。さらに、研究開発用の赤外線製品、赤外線検出素子のメーカーである米国カリフォルニア州のインディゴシステムズ社と2004年に合併しました。つまり、四つの会社が一つになって今のフリアーシステムズ社を形成しています。 生産拠点および事業部拠点はこの四つがそのまま残っており、アメリカおよびヨーロッパには多くの現地法人の販売拠点があります。アジアに関しては2000年に香港にアジアパシフィックの統括拠点として現地法人を開設しました。日本においては2005年4月に駐在員事務所を設立し、2006年にフリアーシステムズジャパン株式会社として現地法人としての活動を開始しています。
■今まで日本に現地法人をおかなかったのはなぜですか、また、今後の日本の市場をどう考えられていますか 小林:このサーモグラフィ、熱画像という市場を見ますと、2005年のデータでは全世界の市場規模が450億円くらいと見られ、フリアーシステムズ社の市場シェアは60%弱になります。日本は世界の10%ほどにあたる50億円弱くらいの市場規模と見込んでいますが、2005年の当社のシェアは15%強に過ぎません。日本には大きなメーカーが二つあり、今年の7月に一つの企業体となりましたが、ここが70%を超えるシェアを持っています。 そういった中で、日本のマーケットの大きさおよび当社のマーケットシェアの小ささから見て、日本市場を強化していかなければならないということになってきます。10年以上前から代理店経由で少しずつシェアを伸ばしてきましたが、ここで更なる飛躍を目指して現地法人を開設することにしたわけです。 当社の製品群を見ると携帯型、液晶画面が付いた携帯型、小型化、低価格化がこの5年ぐらいで急速に進んできています。そういうことにより、赤外線熱画像の市場の底辺が拡大しています。それに加え、日本のメーカーが持っていない商品を開発することにより利用層を広げることができ、さらにそれを足場として従来の市場も広げることができると考えたわけです。 たとえば、今年の2月に世界的に発売した赤外線カメラ『インフラカム』は、日本の定価は895,000円で、サーモグラフィが100万円を切るという画期的試みとなりました。9月には『P640』という携帯型サーモグラフィで世界初めての640×480画素の検出素子を搭載したものを発売しました。他社が追随できない廉価版から最高機種のものまでを揃えることにより、日本市場で展開できる商品群が整ったことになります。
■今お話にありました『P640』について、もう少し詳しくお話ください
小林:一番のキャッチフレーズは640×480という検出素子の画素数です。今、世界における赤外線サーモグラフィの高機種の画素数は320×240ですから、その4倍画素数が多いことになりそれだけ画質が良く、温度測定精度も飛躍的に向上しております。定価480万円で価格に見合った機能があり、日常の業務で頻繁に使用されているお客様に見ていただければ良さがすぐに理解されると思います。日本市場における320×240画素の高機種の標準価格帯が320万円から420万円程度ですので、機能から見ればP640の価格は決して高くはないといえると思います。 機能的には、小型であること、大型5.6インチのLED液晶ディスプレイを搭載していること、2、4、8倍のズーム機能を持っていることが上げられます。また、『レポータ8』というソフトウエアを標準装備しており、画像分析とレポート生成機能を統合し、赤外線検査の結果を迅速かつ正確に評価します。さらに、カメラのハンドル部分の角度を変えることができますので、カメラや人の向きを変えずにハンドルを変えることによって同じ体勢から色々な角度から見ることができます。前機種の『P65』を継承している機能として、ビデオ録画はもちろん、カラーアラム、音声アラームの複雑な機能も装備しており、レンズも広角レンズ、望遠レンズ、クローズアップレンズの4種類のオプションをそろえています。
■最近も新しい製品を発売されたとうかがいましたが
小林:11月に販売を開始した新製品に、『GasFind IR』というVOC(揮発性有機化合物)ガス漏れ検知用赤外線サーモグラフィがあります。特別に、VOCガスを検知できる波長に合わせています。主に石油化学プラント、ガスプラントなど、ガス洩れに関して重要な要素として位置付けをされているお客様向けになっています。目では見えないガス漏れを、このカメラで監視することができます。価格は1,300万円ほどの高価なものに関わらず、米国では昨年の10月から発売し300台の売り上実績があります。米国ではガス洩れに関して、安全性、環境保全と早期発見による損失を防ぐという三つの要素を考えています。当然、早期発見が三つの要素に関わってきますので、この製品を使うことによって早期発見ができるわけです。 検出素子は320×240で冷却タイプの素子を使っており、測定波長帯は3〜5μmになっています。この製品は米国製であり軍事用との絡みもありまして、米国国務省または商務省のライセンスが必要になりますので、エンドユーザの書類が必要となり入手にやや時間がかかりますが、それだけ繊細なものであり高度なものであるといえます。検出できるガスは、ガスの合成物や量により異なるので一概には言えません。当社としてデモ機を一台保有していますので、お客様に実際に使っていただいて使い勝手を見ていただくのが一番だと思っています。一般のガス洩れ検知は一点一点見るものですが、この製品を使いますと全体が一度に見ることができ、一気に多くの場所の測定が可能になります。 ガス漏れを検知できる熱画像サーモグラフィは、世界でフリアーシステムズ社しか出しておりません。フリアーシステムズ社としても、5、6年ほど前から既存のカメラを使ってガス漏れを検知しようと研究をつづけてきましたが、色々なガスに見合った最適なカメラは開発できていませんでした。それが研究の結果、昨年の10月にガス漏れ検知用専門のカメラとして開発ができたわけです。
■御社の今後の展望をお話ください
小林:日本の赤外線熱画像市場は少なく見積もっても年率で7〜8%の増加を見込んでおります。その中で当社は新規参入ということになりますが、2006年から2008年の3ヵ年計画を立て、代理店向けを含めた売り上げで、3年目には年間12億円を見込んでいます。これは2005年のベースからしますと3倍近い増加になり、市場シェア的には今の15%から30%に近づけることになります。そのためには、現在の代理店を含めた販売ネットワークの強化、直接販売体制の確立、サービスメンテナンスの強化、それと各種セミナー、講習会といった技術的、理論的サポートを進めていきたいと思っています。 現在は5名の人員ですが、設立以後、保守メンテナンスを日本でできるようにサービス体制を整えました。2008年までには倍の10名の人員を考えています。メンテナンスにおいては、考え得るお客様からの要望の8割以上は日本でカバーできると考えています。どうしても検出素子の不良、交換が必要なときは本社に送り返す必要がありますが、それ以外は、ほぼ日本で修理が可能です。 2月に発売の廉価版『インフラカム』は今年の販売実績として200台以上が見えています。これを年間400台、500台と増やしていき、それによって今まで熱画像を使ったことの無い方が使える価格帯ですので、その良さを理解していただく、そうして底辺が増えることにより、その上位機種が増えていくことを望んでいます。 2007年には、『P640』は100台から150台を見込んでおり、『GasFind IR』は20台から30台の売り上げを目標にしています。そのために現在の代理店の強化と共に新しい代理店の発掘も進めており、共に共存経営をしていこうと思っています。
■最後に抱負をお聞かせください
小林:世界で60%のマーケットシェアを持っているフリアーシステムズ社の日本法人ということで、日本の市場に合った製品および日本のお客様に合ったメンテナンスサポート体制、ソフトウエア、各種アクセサリーの充実を図ることによって、間違いなく今のマーケットシェアを増やすことは可能だと認識しています。フリアーシステムズという会社名および熱画像機器メーカーとしての世界市場での知名度を知っていただき、製品の優位性をお客様に理解していただくことによって、日本の熱画像市場において当社を認知していただけるようにしたいと思っています。
■本日はお忙しい中ありがとうございました
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