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メカトロニクス  第12回 オリジナルインタビュー

開発者自身がお客の声を聞いて目標を設定

 

SUNX株式会社
光電センサから始まりセンシングとレーザテクノロジーを核に発展してきたSUNX。高機能センサを扱う部署として小型化、高度化、複合化のニーズに応えてきたSUNX株式会社AiS事業部 事業部長 大野 博 氏、AiS事業推進部部長 森島 俊治 氏、AiS計測グループ課長 今井 寿教 氏に、新しく開発した製品の特徴、開発の苦労について話を伺った。

左から、SUNX株式会社AiS事業部 事業部長 大野 博 氏
AiS事業推進部部長 森島 俊治 氏、AiS計測グループ課長 今井 寿教 氏

 
 

■AiS事業部についてお話ください


大野:当社はセンサのメーカーとして設立して37年経ちますが、センサの中でも高機能の商品をAiS(Advanced intelligent Sensors)事業部が扱っています。SUNXはLEDを使った光電センサを開発して、センサメーカーとして大きくなってきましたが、その中で、ものの有無を感知するだけでなく、大きさ、厚みなどを計測、判別したいお客様のニーズに高機能センサとソリューションを提案する部隊としてAiS事業がスタートしたわけです。
 我々のところでは、センサ以外に電機・電子業界向けの静電気を除去する装置も扱っています。お客様の目指すところは品質を上げたいということで、品質を上げるためのセンサ、品質を上げるために静電気を除去する装置と静電気を測るセンサがニーズとしてあります。このような変位センサ、静電気除去が我々事業部の二つの柱となっています。業種的には電機・電子、半導体、自動車の3業種のお客様が多く、売り上げの80%近くになっています。
 車関係の高品質化、携帯電話や液晶などの技術革新により、高精度、高速性の測定器が求められ、それらに対応したレーザ変位センサの新製品を9月に発売しました。


 

■その新製品についてご説明ください


大野:今回の新製品は超高速・高精度のレーザ変位センサ『HLーC2シリーズ』です。 高速性はサンプリング100kHzで対応していますので、自動車部品や電子部品を非常に早い速度で測りたい、ハードディスクのように速い回転をしているもののブレを測りたいという要望に応えています。
 分解能は、0.025μmの高精度となっていますので、液晶硝子の厚み、隙間を従来以上に正確に測ることができます。また、当社最新の光学技術を使い、直線性±0.03%という高精度化も実現しています。
 カード用コネクタのピンや半導体部品のリード検査には、速く高精度な測定が可能になったことでお客様のニーズに合った製品としてご使用いただけると自負しております。

 

 

■機能や製品技術については、開発の方から説明させていただきます。


今井:新製品の技術的な最大のポイントは、受光素子の「HDLCーCMOSセンサ」です。これは入ってきた光を蓄積して出力する素子で、「HLーC2」専用に開発したものです。この素子の特徴の一つは従来にない高速性で、100kHzというサンプリングを実現しました。もう一つの特徴は、素子のピッチが従来に比べ細かくなっており、0.025μmという分解能を達成しました。
 また、この素子を活かすために光学系のレンズも新たに設計し、小さくきれいなスポットを受光素子上に結ぶことができました。受光素子と光学レンズがうまくかみ合うことにより、今までにない高性能を実現しました。
 投光ビームも従来に比べシャープに小さく絞り込むことで、さらに受光素子上できれいなスポットを結べるようになりました。
 100kHzを実現するために、受光素子自体を高速化しましたが、それを受ける信号処理回路も大幅に回路変更をして新たに設計しなおしました。従来はシリアル処理で演算処理していましたが、今回は、パラレル処理をすることで大幅に処理時間を短縮する新たな技術になっています。
 さらに、センサヘッドからコントローラまで全てデジタル化をしていますので、安定性も増しており高精度の実現に寄与しています。

 

 
■どのような特徴があるのですか


森島:商品そのものの説明ですが、コントローラにはセンサヘッドを二つつなぐことができ、それにより二個所を測ったり厚みを測ったりすることができます。また、コントローラには各種外部機器をつなぐことができます。たとえば、パソコンを持っていけないような現場でもパネル操作ができるコンソール。ソフトをインソールしていただくことにより、より簡単に設定ができるパソコン用インテリジェントモニタ(HL-C2AiM)。またお客様にプログラムを作っていただき独自の処理をしていただくことも可能です。それから一般的な計測機器、これにはアナログ電圧・電流出力も装備されているのでそこに接続していただくことにより、お客様の計測機器で分析していただくこともできます。RS-232Cを用いたデータ通信にてシーケンサによるデータ処理や判断をすることが可能です。
 そのほかに、今までは1種類しか設定を記憶することができませんでしたが、今回は16種類の設定を記憶することができます。これにより同じラインにたくさんの種類のワークが流れる場合でも、ワーク変更時に段取り換えで設定のし直しをしなくても済むことになります。 また、コントローラ自身に測定値を65,000データ蓄積することができる機能もあり、高速サンプリングで一定期間データを取り続け蓄えたものを、後で一つのデータファイルとしてお客様に提供することができます。お客様はそのデータを基に色々な分析をすることが可能です。
 前機種の「HLーC1」に比べ新たな機能が加わっており、お客様が目で見て分かるようにビジュアル化されているなど、お客様からの声を取り入れ非常にフレンドリーに作っております。
今井:受光量波形表示は受光量を受光素子のセル単位で表示します。画面の下のグラフでは一つ目の山が1枚目の硝子の表面、二つ目が裏面、三つ目が2枚目の硝子の表面、四つ目が裏面を現し、2枚の硝子の厚みと、硝子と硝子の間隔が一度に測定されています。(「受光量波形画面」参照) 先ほど言いました65,000件の蓄積されたデータを読み込み、その波形とデータを表示するのがバッファリング表示です。(「バッファリング画面」参照)
 新しい性能の主なところを上げてみますと、30mmの測定中心距離で測定範囲は±5mmです。分解能は0.025μmで髪の毛が約100μmですのでその数千分の1まで測定できることになります。先ほどセンサヘッドを二つつなぐことができると言いましたが、出力ポートも独立した二系統を装備しており、この二つの組み合わせを色々な形で自由にできるということが新しい提案です。これも従来の製品に対してお客様からの要望を受けたものを反映し、さらに使いやすくしたものです。
 変位センサにおいて、発光したレーザ光が物に当たって帰ってくるときに、拡散反射と正反射という二つの反射モードがあります。従来は拡散専用のヘッドと正反射専用のヘッドに分かれていましたが、角度を変えて測ることにより両方に対応できるヘッドにしました。これにより二つヘッドを準備しなければならなかったのが、一つで済むことになりました。
森島:いろいろご説明しましたが、特徴のポイントは、より高精度を達成していくために、高分解能の受光素子を新たに開発したことと、画素数を高速処理できるレベルを目指したことにより、これまでにない高精度と高速性の両方を実現したことです。

 



 

 

 

 

■開発において一番苦労したことは何ですか

 

今井:本質的に測定精度を上げたいという思いがあり、そのためには、新しく受光素子を開発しなければならないことははっきりしていました。しかし、開発するにしても受光素子をどんな仕様にすべきなのか、ということを決めるのに時間がかかりました。それを決めたポイントは、従来の製品のアプリケーションを睨みながら、お客様の要求を満たすにはこのような性能が必要とする経験による見極めでした。しかし、その性能に持っていくためには開発費がかなり必要になるだろうということで、悩みました。
 受光素子が完成して、全体を動かし始めたのですが、100kHzを実現するためのハードウエアロジックのパラレル処理がなかなか安定した動きをせず苦労しました。 全てをパラレル処理で行うことは2次元の画像処理においては一部やられていますが、このような1次元の製品ではどこも実績が無く、我々も過去に経験がありませんでした。しかし、100kHzを実現するためにはそこに踏み込まざるを得ず、安定を得るために試行錯誤を繰り返し、回路をとりかえ、シミュレーションを繰り返し繰り返し行ってようやく実現できました。だいぶ開発期間が延びたので、回りから色々文句も出ました。大野:ただ、どうしてもこの製品として狙ったスピードと精度は妥協したくないという思いがありました。開発計画は遅れましたが、世の中に無いレベルまできたのだからここで終わりにしようという妥協はせず、目標としたところまでやらないとお客様のアプリケーションができないという思いで取り組みました。最後の数ヶ月は開発の者も不眠不休の思いで頑張りました。それがあって、きちんとした製品ができ、お客様にとっても満足ができるものができたと思います。

 

 

■そこまで妥協せずに取り組んだ要因は何だったのですか


今井:一つには、従来では難しかったお客様のアプリケーション、それに対応できるものを創らなければならないという思いでした。また、電子部品のリードも細くなり、生産速度も上がってきているので、従来のものでは追いつかず10倍ほどの速さの必要性がありました。それに対応できる性能の数値を技術として見極めて、それを達成しようという思いがありました。
大野:「HLーC1」の開発メンバーが「HLーC2」の開発にスライドして取り組んだのですが、「HLーC1」にトラブルがあったときなど、営業と一緒に開発者も同行しお客様の声を聞いていました。開発の者は常にお客様の声を聞くように心がけており、先ほどから性能、数値に関して「お客様の」といっていますが、それは開発者が直接お客様から聞いたことです。今回の「HLーC2」の開発に当たっても、開発者自身がお客様の声を聞き、速さ、分解能、精度の目標数値を決めチャレンジしていったものです。今回も開発が終わろうとする1ヵ月前に、性能を引き出すために開発担当から変更を希望してきました。開発がまた伸びる懸念もありましたが、その希望を取り入れ取り組んでもらいました。 会社からの指示ではなく自分たちが決めた目標に取り組むことで、だれからも不満は出ず、全員が真剣に取り組んでくれたのです。このことが何よりも嬉しかったですね。

 

 

■今後の展開をお話ください


森島:世の中のトレンドが進む中で、いまは使われなくても次の世代で精度が上がるものを要求される、そんなところを見越して「HLーC2」を開発したつもりでいますので、3年、5年のスパンで技術が変わっていく中で市場を拡げていくことができると思っています。大野:性能に大きな開きが無ければ前の製品が活きてこなくなります。そうではなく、今までの製品でできなかったニーズを拾い出す製品を作り、ユーザーを増やしてビジネス範囲を広げようというのが基本的な考えです。 「HLーC2」で捉え切れていないユーザーも多くあり、それが今後の目標になります。我々が知らない使い方もありますので、お客様の声を聞いて商品のバリエーションを広げていくことが大切です。新しい事業、新しい製品で事業を拡げていこうと考えていますので、今まで使っていただけないお客様を広げる、今までのお客様が使えなかった用途に使っていただくように持っていきたいと思います。次の製品も早い段階で出していきたいと考えています。
 

 

  

■本日はお忙しい中ありがとうございました。益々の発展を期待しております。
 
2006年12月号掲載

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