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メカトロニクス  第11回 オリジナルインタビュー

チェーンのリーディングメーカーとして

― ニーズをスピーディに商品化する樹脂製品部隊 ―

 

株式会社椿本チエイン

産業用チェーンの老舗として創業90周年を迎えた椿本チエイン。プラスチックチェーンおよび関連周辺機器を扱う部隊として、トップチェーン、ケーブルベヤをはじめ、ユーザーからのニーズを商品化していく株式会社椿本チエイン 執行役員 チェーン事業部 EPデバイス部長 酒井 俊光 氏、EPデバイス部・プラチェーン技術課長 芝山 勝俊 氏、EPデバイス部企画課長 山本 宏児 氏にお話を伺った。
 

執行役員 チェーン事業部
EPデバイス部長
酒井 俊光 氏
EPデバイス部
プラチェーン技術課長
芝山 勝俊 氏
EPデバイス部企画課長
山本 宏児 氏

■御社をご紹介ください


酒井:当社は今年、創業90周年を迎えましたが、動力伝動用チェーンを皮切りにコンベヤチェーン、プラスチックチェーン(以下プラチェーン)などのチェーン事業、また自動車エンジン用のタイミングチェーンなどの自動車部品事業、コンベヤチェーンから派生した搬送システムを取り扱うマテハン事業を行っております。動かす、運ぶ、制御するという分野において、日本ではナンバーワンの総合メーカーとしてグローバルな事業展開をしています。
 特に、スチールチェーンでは国内で63%のシェアーを確保し、世界でも21%とトップのシェアーを占めています。

■チェーンの技術とはどのようなものでしょうか


酒井:チェーンの基本となるローラチェーンは、5つの部品からなる非常にシンプルな構造です。自転車を連想していただくと分かりやすいのですが、チェーンはこの5つの異なった部品で1リンクを構成し、そのリンクを連結しループ状にして使用するのが基本です。例えば500リンクのチェーンがあるとすると、そのうちのたった一つの部品の不良、すなわち500分の1の不良というのは、実は商品としては100%の不良になるのです。従って決まったスペックにきちっと大量の部品を作り込む技術が必要になります。チェーン作りは簡単そうに見えますが、逆にシンプルな構造だけに非常に高度な作り込みの技術を要する製品といえます。
 またチェーン駆動は、その用途に応じた適切な材料の選択が大切であり、そこにチェーンづくり90年のノウハウがあります。

芝山:ローラチェーンは、プレート、ピン、ブシュ、ローラなど5部品から成り立っていますが、それぞれの部品に求められる機能は異なります。材料技術に加えて、品質のカギを握るのが熱処理技術です。
 チェーンは、ピンとブシュが摺動することによって摩耗し、その結果チェーンピッチが長くなり、やがてスプロケットと噛み合わなくなって寿命となります。プレートは引っ張りとか衝撃に強く、ピンやピンを受産業用チェーンの老舗として創業90周年を迎えた椿本チエイン。プラスチックチェーンおよび関連周辺機器を扱う部隊として、トップチェーン、ケーブルベヤをはじめ、ユーザーからのニーズを商品化していく株式会社椿本チエイン 執行役員 チェーン事業部 EPデバイス部長 酒井 俊光 氏、EPデバイス部・プラチェーン技術課長 芝山 勝俊 氏、EPデバイス部企画課長 山本 宏児 氏にお話を伺った。―ニーズをスピーディに商品化する樹脂製品部隊―チェーンのリーディングメーカーとしてけ持つブシュは、スプロケットと噛み合うときに、屈曲運動により摺動する設計になっています。ピンとブシュには耐摩耗性が要求され、直接力が加わるピンには強度が要求されます。ブシュやその周りについているローラはスプロケットに連続してぶつかりますので、耐衝撃性も必要など、それぞれの部品に役割があるのです。

酒井:EPデバイス部の技術者は、このようにスチールチェーンの技術をベースに、多くのプラスチック材料の中から最適な材料を選択してプラチェーンを製造しています。衝撃性、耐摩耗性などそれぞれの用途に応じた最適な材料選択できることが私たちの強みです。
ローラチェーンの構造 プラスチックチェーン


■樹脂チェーンが使われだしたきっかけは何だったのですか


酒井:ビールなどの瓶の搬送には従来スチール製チェーンが使われていましたが、瓶の底やボディにキズがつくなど問題がありました。そこでトッププレートに樹脂を使ったチェーンが使われるようになってきました。プラチェーンが市場に初めて出たのは1963年ですが、ビンから缶へと容器の変遷とともに、スチールから樹脂製へと用途が広がってきたのです。現在はガラス瓶、缶、ペットボトルと、容器の搬送はプラチェーンが主流です。容器を傷つけない、水洗いが可能など衛生的、寿命の長い樹脂が開発されたことなどが、樹脂化が進んできている要因といえます。

■樹脂事業の変遷と現在扱っている製品にについてお話ください


酒井:チェーン事業部の中でEPデバイス部はミニ事業部的な存在ですが、その前身は1994年に発足したNP部です。現在は、プラチェーンとともに、ケーブルやホースを支持案内保護する装置・ケーブルベヤがあり、この二つがメイン商品となります。その他、レールやコンベヤの足などの周辺装置、ブラケットなどアクセサリー部品があります。 ボトラー関係以外でもプラチェーンの用途は広がってきており、ここ京田辺工場では24時間無人運転で生産対応しています。
芝山:プラスチック素材そのものを作っているわけではありませんが、樹脂メーカーとタイアップしながらチェーンなどの機械部品に対応できる材料を採用しています。特に疲労強度、摺動特性などがチェーンには必要になってきます。樹脂も色々な種類があり、求められるニーズに応じてどの材料を使うか樹脂メーカーとやり取りし、多くの種類のものを評価しながらニーズにあった材料を選定していきます。 この材料選定のノウハウと、チェーンとスプロケットの噛み合い技術が、当社の強みであるといえます。チェーン搬送のノウハウを持っている当社は、お客様の現状使っているチェーンを踏まえ材料の選定、適切な構造という形作りを行うことができるということです。

■使われる用途やニーズに応じてそれに見合う材料の選定をされるとのお話でしたが、具体的にお聞かせください


芝山:少し前の話ですが、O-157など食中毒の問題があったとき社会でも抗菌グッズがはやりました。プラチェーンでも抗菌仕様を開発し、食品・飲料メーカーのニーズに応えました。また、プラスチックは一般的には衝撃に弱く欠けやすいものですが、食品工場などでは異物混入を嫌いますから、とにかく割れないプラスチックをという要望に応えて、ハンマーで叩いても割れないプラチェーンも開発しました。 最近主流のペットボトルは、容器そのものが非常に軽く、搬送時に転倒しやすいのですね。その対応として、ペットボトル搬送用に、容器とチェーンのすべりを良くした超低摩擦仕様も開発しました。
 最近の事例ではチェーンにボールを埋め込んだ構造の「オーキャリーコンベヤ」があり、これはボールの働きにより一台のコンベヤで搬送物に様々な動きを与えることが可能になります。さらにチェーンの下に設置したターンテーブルを回転することにより、搬送物を回転させる、つまり搬送物を方向転換することが可能になります。チェーンの下に平ベルトをチェーンの進行と直角に置いて動かすと、搬送物はチェーンに対し直角に移動していきます。このチェーン部分には、ボールをカバーでサンドウィッチした状態のものをチェーンに組み込んでおり、ボールとカバーは常時摺動するため摩耗が懸念されます。そこで、様々な材質を評価をして最も摩耗しにくいプラスチックの組み合わせにしています。

■このような発想はユーザーからの要求からでしょうか


芝山:それが多いです。この事例もダンボールシートを運ぶ設備を手がけられているセットメーカーからの要求で、最初はチェーンにローラが入ったものを提案したのですが、よくよく話を聞き、求められている機能を発揮するにはボールでないとだめだと分かりました。そこから、まずボールを組み込んだものでお客様の要求する機能が発揮できるのか、材質は何が良いのか、など試作・試験を繰り返し最終的には量産の形に持っていきました。

山本:このようにテストを行い、材料を選択する技術はEPデバイス部全体の特徴として上げることができます。従来は技術部、製造部、営業部と分かれていたのですが、いまのEPデバイス部としては技術、企画、製造、営業の部隊が一緒になって、お客様の声を商品に結び付けられるスピードが非常に速くなっています。
 プラスチックのチェーンだけでなく、「プラケーブルベヤ」などでも、お客様の声を実際に反映させるスピードがどんどん加速しています。
 ケーブルベヤは産業機械向けと我々は思っていましたが、最近では自動車の電動スライドドア用に使われるなど、想像を超えたところで裾野は広がっています。
 また、従来のプラチェーンとかケーブルベヤなどのパーツだけではなく、それらを組み合わせた新しい事業も進めていかなければならないと思っています。商品を複合化することにより、お客様に簡単に取り付けていただけるパッケージ化にも取り組んでいます。
「オーキャリーコンベヤ」は今までのパーツとしてのチェーンではなく、一つのコンベヤとして新発売しました。

■他にもニーズから生まれた製品はありますか


芝山:耐熱高速仕様の「KV180、KV250」があります。これは180℃、250℃の高温環境下でも使え、しかも高速運転でも使えるスーパーエンプラ材を使っています。飲料の高速充填に対応や、熱湯、薬品による洗浄・殺菌工程でも問題なく使用いただけます。従来のポリアセタール製のチェーンの許容速度は1分間に100メートルくらいですが、スーパーエンプラでは1分間に200メートルの速度で搬送することができます。
 プラスチックのチェーンはリンクの部分は複雑な形状も一気に成形でき、部品点数もリンクとピンだけで良い場合もあります。そのピンはもともとステンレスを使用していました。あるときお客様から、使い終わったチェーンを廃棄する際に、樹脂とステンレスを分別しなければならないため、ピンもプラスチックにして欲しいという要望がありました。
 しかし、ピンがステンレス製から樹脂に変わると強度が落ち、摩耗も材質によっては良くありません。そこで、ピンの太さ、支持点数などの変更で強度をクリアし、摩擦摩耗には材質を比較評価して最適な材料を選定しました。
 それがさらに発展して、使用済みのチェーンを買い取ってリサイクルプラチェーンとして再利用する循環型リサイクルに繋がっていっています。

酒井:会社全体としても環境に配慮した取り組みが必要という基本的な考え方があります。 スチールに関しては循環型リサイクルのしくみが社会の中にすでにあります。樹脂に関してはそれがありませんでしたので、我々が率先して当社のチェーンを買っていただいたお客様に対して、個別契約をして使用済みプラチェーンを買い取らせていただき、それを材料に再度チェーンに再生してお買い求めいただくというリサイクルシステムを行っています。
 このシステムは簡単ではありませんでしたが、チェーンのリーディングメーカーとして、環境に関しても業界をリードしていかなければならないという意識が、従業員にあるからこそ、実現できたのだと思います。

■今後の展開についてお聞かせください


酒井:我々は、新商品を生み出していく部隊であり、営業から製造まで製販一体となって新商品、新事業の開発にチャレンジしていかなければなりません。商品に関しては先ほども出ましたが、パーツだけでなく、モジュール化した商品を展開していく考えです。 市場としては日本国内を大切にしながら、海外へ目を向け、販売拡大に取り組み始めました。まずアジア・オセアニア地域に力を入れていこうというプランを持っています。競合も多いのですが、細かいところにも気を配ったものづくり、商品づくりをしていますので、品質という面では群を抜いているのではないかと思っています。
 その意味でも我々のものづくりのコンセプトは受け入れられると思います。

本日はお忙しい中ありがとうございました
オーキャリーコンベア プラケーブルベア プラケーブルベアの新製品
TKP形

2006年11月号掲載

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