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メカトロニクス  第8回 オリジナルインタビュー

55周年目を創業元年の気持ちで

— 電源と計測の複合技術で新事業を推進 —

 

菊水電子工業株式会社

ラジオのダイヤル、オシロスコープキット、バリコンなどを開発し菊水電波として設立。オシロスコープ、電源の技術を活かしジッタメータなどの新しい技術開発を続けている菊水電子工業株式会社 取締役副社長 高本 和彦 氏に、55周年の歴史と今後の展望を伺った。
菊水電子工業株式会社
取締役副社長 高本 和彦 氏
■御社の沿革をお話ください

高本:当社は1951年8月8日に法人として設立し、今年はちょうど55周年になります。設立したときは、菊水電波という商号でラジオのダイヤルを作っていました。当時はラジオの需要も拡大してブームとなり、ラジオメーカーのダイヤルに対する需要も拡大してきました。
 ダイヤル製造技術を応用したRC低周波発振器、オシロスコープのキット製品を開発・発売し、さらに完成品の計測器第一号として真空管電圧計を発売しています。これらが当社の計測器のスタートの製品になり、オーディオ機器を作るために必要な測定器をラインアップしていきました。
 その後、真空管電圧計、オシロスコープの開発・発売を続け、ダイヤルから測定器メーカーの菊水へと変わっていきました。さらに直流安定化電源や測定器の新製品を開発・発売し、社名を電波から電子に変えたのが1962年のことです。
 1980年からは計測器自体をデジタル化し、デジタル機器の開発製造を支援するデジタル計測器のメーカーとしてデジタル化へと進んできました。
 トピックス的には1981年には米空軍向けのオシロスコープを入札で一番札を取り、23億円の商談のニュースになったこともあります。
1991年に店頭市場に株式を公開させていただきました。
 2000年以前までは計測の方が売り上げの過半数を占めていたのですが、1995年あたりからは電源の中で直流電源の売り上げ率が伸びてきて、現在は売り上げの65%が電源になっています。
当社の直流電源はメータつきの可変型のものでラボラトリ用電源と呼ばれるものです。この電源においては、競合社はそれほど多くはありません。細かいデータは出ていませんが、決算などから推し量ってトップのシェアをいただいていると思っています。
 売り上げが伸びてきたのは需要が伸びてきたためで、遠因として車のエレクトロニクス化があると思います。車の電装部品において、品質、製造、検査の工程で使われています。
 もう1つの要因として、電子デバイス、最近ではFPDの表示デバイスなどの評価装置、試験装置に使われることが上げられます。
 当社は3年計画で進んでいますが、今年が3年ごとの終わりの年になります。次の3年に向かってさらにエクセレント・カンパニーを目指していこう、という意味も含め創立55周年の今年を創業元年の年と捉えています。

■ラボラトリ用の直流電源でトップのシェアを持っている要因は何でしょうか

高本:1つは市場のニーズに対する商品力があることだと思います。もう1つは計測技術を持っている中でパワー系を作るテクノロジーを持っていることが上げられます。それと、当社の販売網がうまくバランスが取れて延びてきたのだと思います。
 当社は長年培った深いアナログ技術がありますので、今はアナログ&デジタル技術を持っているといえるでしょう。

■御社の製品について話してください

高本:当社は電源の中に直流製品と交流製品があり、直流の中でも直流電源と負荷装置があります。その三つを合わせてパワー系といっており、先ほど電源が売り上げの65%を締めているといったのは、パワー系全体のことです。
 オシロスコープは3年ほど前から生産をやめておりますが、その技術はジッタメータに継承されています。CD、DVDを様々な角度から測定するための試験器が色々ありますが、その中の1つにジッタを測るものがあります。ジッタとはパルスの周期や振幅などが、不規則に変動することです。DVDが正しく情報を読めるかどうかを測定するのがジッタメータです。読み取りのところの光ピックアップを作るときに、ジッタメータで評価をするわけです。その測定器が非常に高周波なものですから、基本の部分はオシロスコープの技術からきています。
 また、今年の5月から「電気用品安全法」が本施行され、中古の電気製品を販売するとき耐電圧試験をしなければならなくなりましたが、その耐電圧試験器においてもトップシェアをいただいております。
 信号発生器において通信用は輸入したものを販売し、ラジオ用のものは自社で製造したものを販売しています。
 以上の計測関係の売り上げが30%ほどになり、残りの5%は修理、部品などとなります。

■新製品についてご紹介ください

高本:この度、電力回生型の直流電子負荷装置を開発・発売しました。従来の電子負荷装置は、入力電力をすべて熱に換えて消費させますが、「PLZ6000R」は電力ラインへ電力を回生して再利用することができます。
 分かり易くいえば、電車などはこの回生を行って電力を戻していることは知られています。それを、この直流電子負荷装置も行っているということです。その電力回生効率は85%以上と非常に高いものになっており、それだけ環境に優しいものになっているといえます。

■前期の売り上げと今期の売り上げの予想についてお聞かせください

高本:3月で締めました前期は連結で76億円の売り上げがあり、おかげさまで当初の予定を上回ることができました。今期は連結で84億円、単独で82億円を予定しています。見通しとしましては、経済動向、当社の現場からの報告などから見ますと、一応予定通りに行くのではないかと思っています。その大きな要因の1つは車関係の設備投資、試験器の増設によるものがあると思います。

■今後の展開はどのようなものですか

高本:どこの企業もそうだと思いますが、コアの事業を伸ばしていくのは当然として、新しい分野とか自社のコアの技術を活かした新しい事業を育てることを図っていくと思います。
 当社も3年前から3つの新しい事業の推進をしています。
 1つはEMC対策の事業推進です。これは車に絞ったノイズの対策で、たとえばスタータを回すと電圧が下がり車の電子機器に悪い影響を与えます。色々な現象が電子機器に与える影響を調べるための試験器を開発しています。たとえば電圧変動試験を行うときは当社の電源と信号発生器を組み合わせたものが必要になります。
 車に搭載する電子部品、電装部品に対し異常な動作をしないように試験をするため、ISOの国際規格があり、また車の各メーカーにも規格が設けられています。当社では車用の電子部品、電装部品、電装機器などを作っているメーカーに、それらの試験器を提供しているわけです。車だけでなく色々な電子機器にも試験の規格がありますが、当社は車の規格の分野に力を入れています。
 もう1つが燃料電池関係の事業推進です。燃料電池から出るエネルギーをダミーとして使うために電子負荷装置が必要になります。燃料電池の評価装置がありますが、それは色々なものが組み合わされた複合製品です。当社は性能判断の基準となるインピーダンス、電子負荷とその関連の測定評価試験のところをやっています。
 それとジッタメータをやっているデジタルメディア(DM)の事業推進です。ジッタメータについては先ほど説明した通りです。この3つはカテゴリーを強いて分けるなら、計測に近い分野です。しかし、今説明しましたように使っている技術の中には電源の技術が入っています。電源と計測の複合の技術といえるでしょう。

■海外の展開はどのようにされていますか

 2004年から海外市場にも力を入れています。過去には米国に現地法人を作って10年くらい活動していたこともあります。その撤収のあと海外拠点はありませんでしたが、2004年8月に中国・江蘇省蘇州に工場、菊水電子(蘇州)有限公司を、10月には米国、カルフォルニア州 サンノゼ市にKikusui America, Inc.(KAI)を設立しました(翌年9月サンフランシスコ市に移転)。
 そして、今年6月上海に100%資本の販売子会社、菊水貿易(上海)有限公司を設立して営業を開始しています。
 これらを拠点にこれからは米国、中国とASEANを入れた東アジア、それと欧州の3大市場に対し積極的に販売をしていきたいと思っています。
 東アジアと欧州はディーラを使っていますが、米国ではディーラではなく現地のエリア担当が営業活動をし、ユーザからの注文は直接当社にくる形のレップといわれる方式で100%行っています。
 欧州は様々な規制もありますが、重要なマーケットと考えています。自動車メーカーもかなり欧州での展開をしていますので、関連会社とともに当社の製品も輸出されておりサービスなどの対応も考えなければなりません。また今後は現地で買っていただけるような体制も敷いておくことが必要なわけです。海外の売り上げにおける前期の実績は76億円の内の12億円となっています。当面の目標としては売り上げの30%を目指しています。
2006年8月号掲載

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