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ミヤチテクノス株式会社
代表取締役社長 田尻 康 氏 |
御社についてお話ください
田尻:当社は1972年東京都荒川区の宮地という場所で宮地電子(株)として設立されました。もともとは抵抗溶接が始まりです。1984年にYAGレーザ溶接機の開発・発売をし、1992年にはレーザマーカ装置を開発、溶接ばかりではなく加工機の市場にも進出しました。
現在は抵抗溶接、レーザ溶接、レーザ加工、それらのソフトウエアからメカトロニクスまでのシステムを提供する4つの事業をおこなっています。 国内における販売が順調な中、米国のユニテック、独国のペコという抵抗溶接機の老舗を買収して、日本、米国、欧州の3拠点を設ける体制を築きました。さらにものづくりがアジア地域に展開されるようになってきましたので、韓国、中国、台湾、タイに販売子会社を作り、中国には製造子会社も作って世界的な展開をおこなっています。
■市場における現状をお聞かせください
田尻:当社の決算は6月ですが、売り上における現段階の予測では、連結で155億円を超える見込みです。年初に150億円を目指すことを公表しましたので、その目標は達成できそうだといえます。その中の日本における売上は70数億円になる見込みです。当社は小さいながらグローバルな企業といえます。 当社の仕事はものづくりのお手伝いをするわけですから、日本の企業が海外でのものづくりを展開するとき我々は製品によってその手助けをしなければなりません。日本の企業は生産体制が確立されていますから、海外進出のときは工場のシステムを日本で調達して持っていかれますが、最近では現地で調達するケースも出てきています。 米国の企業が生産コストを考えるとき、まず中南米などに行きますが、次の段階では東南アジアに進出するようになります。欧州の企業も西欧から東欧に展開をして、最後はアジアに展開して行きます。そういった意味でアジア地域はものづくりにおいては、今後も10年、20年は中心になっていくと思います。 そのときに米国、欧州のお客さまが東南アジアの現地で当社の機器、システムを調達できる体制を整えておこうと考えています。
■課題と取り組みについてどうお考えですか
田尻:これからの当社のポイントがいくつかあると思います。 1つは経営規模をもう少し大きくしなければならない、ということです。先ほど今期の売上は連結で150億円を超えるといいましたが、日本国内だけでは60億円くらいです。それを100億円にすることと、連結レベルを250から300億円にすることで経営の基盤が強くなると思っています。 当社の技術は、物と物をくっ付ける技術と、加工する技術です。ものをくっ付けるためには素材と素材をそのまま付ける技術と、間に何かをかませて付ける技術があるわけですが、当社の技術は抵抗溶接にしてもレーザ溶接にしても中間材を使わない技術です。つまり、環境に対して非常によいということです。当社が提供している製品は、お客様が環境に優しいものづくりをされていることを支えている、といえることが2つ目です。 3つ目は、当社がターゲットとする市場は溶接にしても、加工にしてもマイクロの世界です。技術の進展とともにものは小さくなりますから、世の中はあらゆる部品がマイクロ化していっており、当社の目指している方向は正しいと思います。 環境に優しくて、微細な溶接、加工技術を目指していくことは将来の発展が必ずあると思いますし、もっと自信を持ってビジネスを進めていきたいと思います。
■そのためにはどのようなことが必要ですか
田尻:社員に常々言っている行動の指針は、「選択・集中・スピード」と、「お客さまの目線でものごとを考える」と、「新しい発想」でやっていきなさいということです。 当社は30数年「ミヤチテクノス」というカルチャーを作ってきたわけですが、今はその転換期にきていると思っています。市場環境としては先ほど言いましたように、環境に優しく微細な分野という狙いは全く正しいと思います。しかし競争環境は色々と変わってきています。溶接という産業はそれほどエントリバリアが高い技術の産業ではありません。レーザ技術はもともと米国の技術ですが、その技術は買うことができますし、さらに技術者がいればそれなりの事業は起こせます。それは競争環境が頻繁に変わるということです。そこを我々は認識し、今までの発想でやっていてはだめだということです。
■エントリバリアは低いといわれましたが、それでも御社はそれなりの技術を持っておられると思いますが
田尻:まず溶接についていえば、溶接といっても何と何を付けるか素材は様々なものがあります。当社は30数年の溶接におけるノウハウの積み重ねをもっています。当社のコアの技術に対するお客様の信頼度は高いものがあります。 一方マーキング加工については溶接ほどのノウハウの蓄積はありません。レーザ加工の歴史から見れば当社も浅いほうではありませんが、他社と比べノウハウが断然優れているとは思っていません。
しかし、小さな部品における溶接と加工の工程は案外近いところにありますので、お客様にとって同じ機器メーカーのほうが便利だと思われることが多いと思います。また、溶接で認められた技術、サービスによって、当社への加工技術に対しても期待をもっていただいている場合もあると思います。 微細溶接の分野においては抵抗溶接よりレーザ溶接のほうが多くなってきています。また、レーザ加工は用途が多いので、加工の市場における成長の度合いは大きくなっています。当社として今後それにどう応えていくかということは、長期的な戦略という視点からは非常に大事な部分だろうと思っています。 もう1つは、生産工場の溶接・加工のプロセスをシステムとして引き受け提供していくことが大切です。生産ラインの一部をアウトソーシング的にシステムとして引き受けるようなマーケットが今後成長していくと思います。
■今年の2月24日に「第二次中期経営計画」を発表されていますが、概要を御説明いただけますか
田尻:2003年に先代の社長が就任したとき、赤字の会社を正常な企業にしていくため、3ヵ年の「第一次中期経営計画」を立てました。今年の6月までが第一次ですが、ほぼ目標は達成されたといってよいでしょう。 昨年の秋から私が社長として経営を行っていますが、今年の7月からの3ヵ年を第二次と位置づけ経営計画を立てました。第一次の赤字から黒字にという目標から、次のステップへのコンセプトになっています。 当社は上場していますので、上場企業としての経営を考えていかなければなりません。たとえば、企業規模は今のままで株主配当を高くすることを考えるだけで、株主は本当に満足するのだろうかと考えます。会社の安定が株主、お客様、従業員にとって必要なことであり、そのためには企業規模の拡大が必要だと思っています。安定が得られるところまでの会社の成長を考え、それを推し進めるためには会社を変えていかなければなりません。そのために「成長と新しいミヤチグループの創造」というテーマを掲げました。 では、成長するとはどういうことなのか、成長するために何をしなければならないのかということになります。決算のときに前年より何割かの売り上げが伸びていたとしても、それだけで成長したといえるのかどうかということです。 私は当社のお客様が満足されていないところはどこなのか、必ずそのようなお客様がおられると思いますので、そこを徹底して探るように指示しています。そして製品に対してなのか、サービスに対してなのか、製品とすれば価格なのか、機能性なのか、操作性なのか色々原因はあると思います。製品、サービスに対してお客様の満足度に対応していかない企業は成長が無くなってしまいます。また、成長を目指す企業は、お客様に満足を与えられる企業だと思っています。
■先程国内、連結の売り上げの目標を話されましたが、どのように展開されるのですか
田尻:当社グループの米国ユニテック、独国ペコはそれなりに開発・生産する機能は持っています。 溶接というのは標準機で何でもできるというものではなく、お客様の要望には色々な特徴があり個別のお客様に対応しなければいけない部分がたくさんあります。そういうカスタマリゼーションとかローカリゼーションという個別のお客様に対応する機能は米国、独国に残し、標準品の統合された製品は中国で一貫して生産していく予定です。 レーザに関しては開発・生産ともにしばらくは日本で行っていきます。 国内の販売体制については、当社の製品の購買対象の電子部品などのものづくりの会社は山間部に多くあります。そのため、2005年の始めまでは東京、大阪、名古屋にしか営業所がなかったのですが同じ年に福岡と仙台に営業所を開きました。今年は5月までに松本、広島、新潟、浜松に営業所を開き、さらに年内に3つ4つ営業所を増やそうと思っています。結局、地域密着型にしていかなければ営業もサービスもお客様に満足を得ることができないという考えからです。 海外を考えたとき、例えば日本の自動車メーカーが海外に進出するようになってきており、二次メーカーまたは三次メーカーまでも進出していくということがあります。そのような日本のメーカーの動きにどう対応していくかということが、生産財を提供する側にとっては大きな問題になります。 海外進出のメーカーも国内の二次、三次のメーカーに、国内でも海外でも対応できることを望む時代に移ってきています。グローバルな対応が求められてきているわけです。 その意味では当社はいいポジションにいるといえます。米国、欧州、アジアに拠点を持っていて、日本ではそれなりのポジションにいます。抵抗溶接にしろレーザ溶接にしろ日、米、欧で対応できるのは当社しかありません。
■最後に“成長”を目指すポイントとして今取り込まれていることをお話し下さい 田尻:先ほど溶接はエントリバリアが低いということを話しましたが、それに対応していくには自社開発にこだわりを持って続けていかなければならないと思っています。その中で自社開発を続けると決めたものは集中して取り組み、これは外から補うと決めたものはOEMで購入するとか提携などの手を打っていくことが大事だと思います。自社開発は大切でありそれにこだわりながらも、外から補えるものを見極め早く手を打っていく戦略を平行して行っていくことが大切だということです。それが、いかに短期間でお客様の要望に応える技術製品を提供できるか、ということに関わってきます。 さらに、教育ということに対する投資も大切だと思います。企業という立場からすれば、3つの観点から考えることができます。 1つは従業員全体のレベルを上げる教育ということです。2つ目はプロとしてのスキル・知識を向上させる教育です。専門的なスキルを向上させるための教育、あるいはトレーニングを強化していくことです。3つ目は経営能力を持った幹部社員を育てていくことです。たとえば営業には営業だけでなく経理についても学んでもらうなど、特に幹部社員には幅広く経営予備軍としての幅広い知識を身に付けてもらうことです。 今ようやくカリキュラムができあがったところで、これから実行に移る段階にきています。このように教育に対する投資にも力を入れています。
| ファイバーレーザ溶接機「ML-6500A/ML-6300A」 |
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