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メカトロニクス   第1回 オリジナルインタビュー

コアテクノロジーとソリューションの融合

 ─ 画像処理技術と特殊印刷技術で新たな検査装置を

 

コグネックス株式会社/ナビタス株式会社
特別印刷機械のトップメーカ・ナビタス株式会社は画像処理システムを開発・販売するコグネックス株式会社の画像処理技術を取り入れた検査装置「ナビダスチェッカー」を開発・製造し,発売以来当初目標であった77台の販売を達成した.
当初目標の台数を達成したことで両社はこの程,業務提携を発表し,協力体制を明確にする.両社の提携への経緯,技術,今後の展開についてナビタス株式会社 代表取締役会長 平木 正之,コグネックス株式会社 代表取締役社長 中村 晃(当時)の両氏にお話を伺った.

   ナビタス(株)代表取締役会長 平木 正之 氏  コグネックス(株)代表取締役社長 中村 晃 氏(当時)


ナビタス株式会社についてご説明ください.

平木:当社は1966年にホットスタンピングマシンの専業メーカとして創業しました.その後,プラスチック製品の普及と共に各種2次加工を施す特殊印刷機器,関連機器及び関連資材を網羅した「表面加飾のワンストップショップ」へと業容を拡大し,1989年には店頭市場(現ジャスダック)への株式公開を果たしました.ナビタスは世界のトップレベルの製品を内外のお客様にご利用いただくために,世界各国の優秀メーカと提携しております.
 「ワンストップショップ」としての機能を持つためには,印刷の検査装置も持つ必要があり,画像処理には以前から必要性を感じていました.


両社の関係はいつ頃から持たれたのですか.

中村:2001年から(両社は)協力関係にあり,2年前からナビタスチェッカーを開発・リリース,昨年の暮れに当初目標であった77台の販売を達成しました.これにより,両社はより強固な協力関係に一歩踏み込もうということで,業務提携を発表する運びとなりました.
ユーザのニーズと我々の画像処理を一緒にしたというのは特異だと思います.差別化された商品といえます.それになおかつナビタスの機械精度の技術で,ソフトだけでなくラインまで全て解決してしまうものになっています.今まで見ていた静止画像と動画を一体化して検査することができる技術の確立は,これからかなり市場の注目が集まる製品になると思います.
 印刷現場における色むらとか,インキの乾き具合は,コアテクノロジーである我々は分かりません.でもそういうことも入れてソフト開発しないといけないので,それはソリューションになるわけです.コグネックスではエリアセンサの事業部とラインセンサの事業部を持っており,それはいま融合して製品もできているわけです.そういったところを自分の得意分野である印刷の検査装置の製品として,ナビタスがやろうと思われたのがすごいなと思いました.そしてそれに対応できるのはPatMax(パットマックス)という技術を持っている当社しか今のところはないと思います.
 それはコアテクノロジーのところであって,実際の現場でどういう装置がお客様にいいのかはナビタスの技術があってできるものです.何種類もの機種を作られていますけども,通常だとものを検査するときにはものを静止で置いて検査装置が動くのですが,今回のものは検査装置が止まっていてものを6軸で動かしていこうという装置です.表,裏,斜め,上,下を6軸のロボットで動かして見ていくという1つのアイデアです.


この検査装置を動かすという発想はナビタスのものですか.

平木:そうです.もともと印刷がそういう形で印刷していますから.たとえば化粧品の入れ物もほとんど丸ものですね,丸いものは回転させて印刷していますから,そこに検査装置をつけると回転印刷を検査することになります.
 我々は印刷機を作っていますから,その途中に検査装置を入れてやることができます.印刷が終わってから検査するのか,印刷の途中で検査するのかは我々の思いのままにすることができるわけです.

中村:そういう意味では現場の経験と検査技術が融合した1つの非常にいい例ではないかと思います.我々の検査装置に関しては他社がまねできないものであり,ナビタスからみてもこのソフトが入ったこの機械を他社が作ろうとしたら何年もかかるものだと思います.
 印刷に関するものだけでなく,世の中の製造技術において同じ発想ができるわけです.色々な業界の人がナビタスの作られたものを見て,自分の経験から研究して我々と組んで業界にあったものができますから,製造技術のレベルが上がります.いままでできないと思っていたことができるようになり,非常にエポックメイキングだと思います.
 ナビタスの営業の方からの話ですが,あるエレクトロニクス部品の会社にこの製品を持っていたところ,そこではこのような検査をしようとずっと思っていましたが,実現はできていませんでした.ナビタスが後発で持っていった検査装置が一番進んでいると評価され,「我々が望んでいたことが本当にできるのですね」と喜ばれたそうです.

平木:当社の印刷検査技術では,携帯電話でいえば,隅のマーク,アールがかかっているところの印刷,窓の中の印刷およびそれらの検査が全てできます.筐体全体はもちろん,カメラのレンズ部分の検査など目に見えているところ全ての検査ができます.他社の検査装置では一部分の印刷,検査しかできません.
 いままでの検査は目視検査で,若くて目のいい人が必要となり,今では我が国でそれを得ることは難しいので海外でやるしかありません.メーカはものを作るためではなく,検査のために海外でものを作らざるを得なかったのです.それがこの検査装置を利用すれば,海外でものを作らなくても良いことになります.

中村:その意味では国内でのものづくりを喚起する,内需を喚起する,当然のことながら雇用も促進するという色々な意味での派生効果がでてくると思います.
 これも平木会長がこれをやろうと決断され,技術の方がおられ,私どもの技術を信用していただき,投資もしていただいて一緒に進めてきた結果だと思います.

平木:開発を始めてから2年が経っています.コグネックスは世界マーケットの40%のシェアを持っておられ,技術も非常に高いものを持っておられます.我々も特殊印刷機においては,かなり広い業界に対応し,様々な印刷機を揃えており印刷技術には自信がありました.
 ところが最初のころはお互いの技術の全てをオープンにしませんでした.技術ばかりでなく会社同士の相性などもあり,見合いの期間を長くしようとして,私の方から中村社長に50台でるまで提携の話は外にださないように提案しました.中村社長は,それはいいアイデアだといわれ,50台ではなく77台にしようといわれました.コグネックスは米国の会社なので,ラッキーセブンのダブルの数字をだされたわけです.それで目標台数を77台に設定しました.その数値は昨年の末に達成することができ,明けて今回の発表になったわけです.


ナビタスチェッカーについてお話ください.

平木:いままでお話したまとめとなりますが,印刷や成形後の品質検査を画像処理技術で自動的に行なう検査装置です.検査対象は携帯電話をはじめ,デジカメ,家電製品,自動車部品,電子部品,シート,フイルム,円筒容器など様々なものです.機能としては印刷に関わる抜け,かすれ,ひげ,文字太り・細りなどのほか異物,欠け,傷,打ち傷など.また,高精度の寸法計測や位置ずれ計測,印字検査が行なえます.大きく分けて,高解像度エリアカメラと,ラインセンサ採用のものとがありますが,ユーザの要望に応じて作りますので完全な汎用機というものはありません.
▲印刷・外観全面画像検査装置 ▲コンベヤ搬送型画像検査装置 ▲カメラ移動型画像検査装置


共同開発の話はどちらから出されたのでしょうか.

平木・中村:お互いにですね.

平木:印刷機械があるところではナビタスの機械を見られることが多いでしょうし,画像検査機を意識すればコグネックスの名前は当然知ることになります.
 当社も画像関係の必要性を感じ取り組み始め,スタッフを揃え始めていました.そのスタッフが画像処理はコグネックスのものがいいといいます.我々のような画像処理の素人ではなく,プロがプロをほめていますのでそれに従ったわけです.


共同開発の製品はどのくらいでできたのですか.

平木:コグネックスと知り合う前から,当社独自で開発していたものがありそれを見せました.プロからみれば簡単なものだったのでしょうが,それにコグネックスの技術を加えユーザに納めました.それから2年で77台をユーザに納めたわけですが,常に研究に研究を加えて作っており,今後もそうしていきます.その意味ではこれで完成というものはないと思います.いまでもいいアイデアをもらっていますが,さらにその先の技術を開発していただいています.

中村:技術というものには終着はないと思います.ロボットにしろ,チェッカーにしろ同じですが,スピードをあげる,集積度を上げるなどきりはありません.パットマックスという私どもの最先端の技術ですが,これを3次元にする,非線形にする,カラー化するなど,さらに,AIの機能を入れる,ティーチング機能を入れる,お客様の使いやすさを追求するなど限りがありません.技術ですから限界はないということになり,だから我々の存在価値もあるといえます.

平木:我々機械メーカが検査装置も組み込むことは,ラインの流れの中で検査できるものを作ることができることです.最後で検査をすればだめなものが分かるだけですが,途中で検査をすればだめなものが出た時点で直すことができ,歩留まりもよくなります.
 いままでは印刷上の検査だけをしていましたが,いまでは埃とか傷までキャッチできるようになったので,ナビタスプリンタのユーザだけではなく違うお客様も利用されています.そのときには立体系が必要であるとか,カラーが欲しいなどの要望があります.いままでは印刷の検査だけでよいという怠慢があったことを反省し,新しい要望に対応できるようにもっていきたいと思います.


いままでに77台販売されたのですが,印刷関係以外にも展開されていくということですが,今後の販売目標はどのように設定されていますか.

中村:いま私どもが言っているのは,777台を早急にやろうと申し上げています.いままでは,たとえば子供の言葉と同じで最初は片言のしゃべりですがあるときから急にしゃべりだします,ちょうど77台というのが立ち上がりのときではないかと思います.これまでの77台にはかなりの経験もありポテンシャルも持っていますので,これからは急激に伸びていくと思います.
 平木会長が言われると営業に対してのノルマになってしまいますが,我々が777台と言うのはかまわないと思います(笑い).会長は営業には,自分たちで目標を決めなさいとおっしゃられています.


また今後の展開もお話ください.

平木:我々は現在,画像処理の業界では2年生で,まだ経験が不足している訳ですが,まず,いまのお得意先様を網羅してしまうことを目標におき,他業種・他業界からのニーズにもお応えできるように積極的に技術者を採用しています.印刷機メーカのナビタスから,印刷機プラス検査装置メーカのナビタスを目指していこうと考えています.

中村:我々はコアテクノロジーを提供している会社なので,ナビタスのように市場に密着したメーカが新しい市場を開拓していただけるということは,画像処理のソフトの力が,そのレベルがより市場に認識されるということですから大変うれしいと思っています.技術としてできるとしても,使っていただかないと何にもなりません.使っていただくということはソフトやテクノロジーが実証されるということですから,互いに手をとって進めていこうと思います.それによって日本のものづくりのレベルが上がり,日本経済の発展にも繋がっていくということではないかと思っています.

本日はお忙しい中ありがとうございました.
2006年4月号掲載

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