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実装技術 工場レポート 第2回

SMT・組み立て

インライン型セル生産を進めるSUNX

SUNX株式会社

製造部部長 大野 博 氏

 SUNX(株)の本社工場は愛知県春日井市牛山町に位置し、センサ・計測器・レーザマーカなどのFA用商品を製造している。ロボット製造を夢見た3人が1969年に起こしたベンチャー企業が元となり、ロボットの目となるLEDセンサの開発が事業のスタートとなっている。現在では、光電センサ、近接センサ、圧力センサ、省配線システムのセンサ事業、検査・判別・測定センサ、静電気除去器のAiS事業、レーザマーキングとプロセッシングのLMP事業、ファインマイクロスコープのVOIS事業を行っている。今回は、製造部部長 大野 博氏、製造部マスターエンジニア 平野 秀典氏、製造部生産技術課課長 森 祐介氏、製造部SS製造課課長小川 耕司氏、製造部センサ製造課 兼 AiS製造課課長 長江 一氏にお話を伺った。

 SMTラインは、ヤマハのicubeでの半導体混載実装ラインと富士機械製造の表面実装ラインが設置されている。そして、室内には 非常に多くの製品種類を作り分けるので、はんだ印刷に使われるメタルマスクや、各種電子部品とテープリールのストックが膨大にある。多くのメタルマスクと基板サイズを能率よく使いこなすために、はんだ印刷機の横に種類別のマスク吸着治具と基板サイズ調整用アルミ板が用意されている。また、ここに在庫されている電子部品の品種は約2,000点である。
 SMT工程の取り組み課題は、小型化(min.0603微少チップ)、高速化(最速0.17秒/チップ)、高品質化(高精度実装、Pbフリー対応チッソリフロー、外観検査機・インサーキットテスタなどの自動検査、バーコード管理)、小ロット段取り時間短縮、設備メンテナンスの徹底、などである。
 電子回路基板の接合を左右するはんだ付けは、はんだ印刷品質が大きく関わっているが、このはんだ印刷に携わる担当者のスキルが非常に高いことが見て取れた。同社では担当者を単なるオペレータではなくプロ技能者として位置付け、印刷品質の目視検査や装置メンテナンスまでを担当者の能力として重要視している。前述の治具についても、担当者が使いこなせるから用意しているのだという。
 また、テープリールをフィーダにセットする外段取りも非常に素早く作業を進めており、ここでも効率化のためにスキルが活かされている。

 センサは、その原理や使われ方などが多岐に渡るためニーズに合わせると多品種少量生産となる。同社では6000品番もの品種を抱えており、その中で月産50個未満は全体の76.3%、200個未満になると90%を占める。
 そのようなセンサの生産スタイルは、15年前は1個流し(作業細分化)での製品組み立てだったが、現在はセル生産(自己完結型生産)方式を採用している。同社では、ものづくりは人が主体であり、人を最大限活かすために仕組みや設備を整える必要があると考えている。それには、設備の稼動率を追及しない(必要のないものを作らない)、高額な設備投資を止める、ピッキングシステムなどでポカミスをなくす設備を整えるといった改善を進めている。
 ピッキングシステムとは、ピッキングセンサの付いた部品箱の部品を取ると次の部品箱のセンサのランプが点灯し、ランプに誘導されて部品を間違えずに取り出し組み立てすることができるシステムである。価格が数百万円のレーザマーカは1日に数台作る程度である。構成する部品点数は200〜300点になるため、1台作るのに4〜9時間かかる。
 作業者が200〜300工程を覚えることはできないため、ピッキングシステムを導入し、取る部品を間違えるとセンサが反応して間違いを教えてくれるため、不良率をゼロに近づけることができる。

ヤマハ製半導体混載マウンタ 富士機械ライン 富士機械ライン
製造指示書(これに書かれた番号をもとに保管してある部品を探す) 保管部品に付けられた番号 スクリーンマスク
ものすごい速さでテープを交換 ピッキングシステム マイクロスコープによる目視検査工程
工具もピッキングシステムで管理 セル生産での製品組み立て セル生産での製品組み立て
 
 ものづくりは売れるスピードに合わせて生産することが大事であり、同社では受注を受けてものづくりを進めている。そのため、以前は下1桁が0になるキリのいい生産数で生産計画を立てていたそうだが、現在は現場に貼ってある生産計画表を見ると受注量だけを製造するようになって、生産数のばらつきが大きくなり、端数のものがほとんどである。このように同社では多品種変量生産を進めている。

 現在、同社が新しいセル生産の形を追求して開発しているのが、『インライン型』SMTセル生産のモデルラインである。
 従来のセル生産といえば、実装生産ラインでの電子回路基板製造後に、部品の手付けや組み立てをする工程のことを指しているものであり、もちろん同社でセンサや計測器を製造する際にも取り入れられている手法である。従来手法のウィークポイントはSMT工程と組み立て工程のタクトタイムを同期させることの難しさにある。
 計画生産であれば従来のセル生産も効率化につながる方法であるが、同社では製品生産の指針を生産計画ベースから販売ベースへと切り替え、販売された数量だけ生産することで効率化を図ろうとしている。この場合、従来の生産方法と大きく異なるのは、生産計画が後工程を起点とすることにある。この考え方には、『仕掛品』の概念が通用しないことになり、SMT工程と組み立て工程をダイレクトに組み合わせ、1個流しをシンクロする一貫生産型のセル生産が必然となっているのである。
 モデルラインの具体的な構成を紹介する。SMTラインはDEKのはんだ印刷機、ポップマンのバルク実装対応マウンタ、松下電工の小型リフロー装置で構成されている。
 はんだ印刷機選定のポイントは機能ではなく装置サイズを優先した結果だという。そのため装置にはメタルマスクの性能を十分に引き出すオリジナルの治具を設置し、安定した印刷品質を確保している。
インライン型SMTセル生産ライン

ポップマンマウンタ DEKはんだ印刷機
松下電工セル型Pbフリーリフロー炉 バルクフィーダ

 マウンタにはテープフィーダとバルクフィーダがセットされており、高速実装を必要としていないが多種類の電子部品をセットしておくためにフィーダを3方向からセットしておける構造になっており、装置の小型化を実現している。さらに段取り替えの手間を減少させるバルクフィーダはテープフィーダ1列分の幅に8種類の部品をセットでき、また外段取りの手間もほとんどない。部品の補充は、部品メーカーがあらかじめ1000個の個別包装した樹脂性バルクスティックから行う。
 リフロー装置は、今年1月のインターネプコンでも紹介された長さ1.7mの4ゾーンを基板が往復するリターン方式で、コンベア速度の可変によりプロファイル設定をする特徴的な装置である。プロファイルの実測データを確認したが、担当者が狙った通りのプロファイルを実現できているようであった。
 この後に同社製マイクロスコープによる目視検査を経て、手はんだ、加工、組み立て、検査、梱包までがインラインで行われる。
このモデルライン構築は全体予算1,000万円程度を目標としているが、ライン全体の稼動率を前提に実稼動を想定すると多少のスリム化が必要とのことである。
今回の取材でバルク実装の推進がますます急務になっていると感じた。多品種変量生産に対応するには、インライン型SMTラインが必須であり、卓上型SMTラインが理想である。
売れた量だけ生産するプル型生産の工夫はラインだけに留まらない。生産に必要な部材から出荷に必要な梱包材まで、すべての材料がこの製造フロアに集まっていて、取引先はここに納品するのである。
 これについては、製造指示を受けた担当者が部材のチェックを行うことで過剰在庫を防ぎ、在庫実数を数値のみで管理しないことで発注者の勘に頼った納入のブレを改善することにある。また取引先も常に納入数と頻度を把握できるため、両者が適正な在庫状況を保つことが可能になった。
 部材はその場で工程順に割り振られた番号によってトレイに分別され、一つのラインに必要な分がすべてワゴンに乗って供給される。こうして生産に必要なものすべてが現場に揃うことにより『見える化』を可能としているのである。

 現場には、技術指導のための『塾』コーナーが常設されている。その中でも初歩的な『セル生産 初期・レベルアップ塾』では、実際のセル生産ラインと同じ設備を用意して、部品の組み付けや手はんだ技術など、セル生産対応への作業者教育を行っている。
 この段階で、作業者はペースメーカーによる適切な作業スピードを体感しながら技術を身に付け、また工程がもつ意味と役割を理解した上で歩留り向上のためのテストを受ける。
 同社はグローバル企業を目指して、企業スローガン『Sensing the Future』のもと、高付加価値商品の開発を引き続き目指すとともに、省エネルギー性、環境に配慮した商品の研究開発、および設計を進めている。工場内で『SUNXはCS No.1を目指して、商品とサービスの向上を継続的に推進します』という品質方針を何度も目にしたが、同社ではCSNo.1を追求しグローバルに展開されている企業のニーズにグローバルな生産体制、販売体制で世界に貢献する優良企業を目指している。
チップ部品の入ったバルクステック
ピッキングシステムでのセル生産ライン(レーザマーカ) 部品ワゴン セル作業 塾エリア

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