■パターン設計からフレキシブル基板の 短納期試作一貫生産へ
当社は1960年に、染色業が地場産業であるここ和歌山で、捺染用の型を作る会社として現会長である私の父が設立しました。その後、日本ではプリント柄は下火になり、さらに日本の繊維産業の業態も変化する中で、捺染の彫刻型製造も曲がり角にきていました。その頃、私は東京のサラリーマンに区切りをつけて和歌山に戻り、当社に入社したのですが、まさに転換期で新たな事業を模索していました。そんなとき、機械メーカーの方から、彫刻の仕事でエッチングやめっき、フィルム製版の技術をもっている当社なら、プリント基板を作ることができるのではないかとアドバイスを受けました。そして、大阪の大手電機メーカーを紹介していただき、プリント基板の製作を始めたのが1981年のことです。 当初は両面基板加工用の機械を購入することができず、安い片面の基板を作っていましたので、1日中生産したところで売り上げはたかが知れており、一生懸命仕事をしたのに購入資材の支払いの方が多いときもありました。6年くらい経ってもまったく利益が出なかったので、現会長が電機メーカーに仕事を断りにいきました。そのとき、その電機メーカーからFPC製造への転換を勧められ、FPCに携わっていくことになったのです。 当時はまだFPC専用のCADはありませんでしたが、フォトファブリケーションで使えるような原版を作れるCADに改良して、FPCのパターン設計を細々と始めました。その後、取引先の電機メーカーが一眼レフカメラ用のFPCを手がけられ、当社もその仕事を行うようになりました。カメラ用の基板というのはかなり高度で、マイコンも載っていて非常に複雑です。しかもカメラの中に収めるわけですから3次元設計になっており、図面も6、7枚並べ、関数計算し、座標変換をしなければなりませんでした。その内に当社のレベルも少しずつ上がり設備も増設していったので、パターン設計から試作まである程度一貫生産ができるようになりました。FPCを始めてから4、5年経ったときのことです。 その後、取引先の電機メーカー以外のところからもFPCの試作の仕事をいただくようになり、FPC試作が当社のビジネスモデルになっていきました。さらに、試作をやるからには基板設計からやろうということになり、徐々に設備を買い揃えCADも増やしていき、FPC両面基板の設計を始め、かなりのレベルで設計ができるようになりました。ノウハウや技術を蓄え、FPC基板設計から試作まで一貫生産の体制ができ上がったのが、今から10年くらい前のことです。 しかし、FPC業界は一本調子に伸びてきたわけではなく、市場が縮小することもありました。すると、FPCの大手メーカーは当社に外注していた試作の仕事を引き上げ、仕事が減ってしまいました。そこで当社は、基板を実際に使用されるお客様即ちセットメーカーへの直接営業をし始め、北海道から九州まで独自で営業を行うことにしました。その後、カメラが内蔵された携帯電話が爆発的に売れ、FPCの需要が急激に伸びました。そのおかげでFPCの試作が大きく伸び、さらにデジタルカメラやDVDの普及もあって当社の試作ビジネスは一段と飛躍しました。そして3年前の2004年12月に、ジャスダック市場への上場に漕ぎ着けたわけです。
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| 一眼レフ用多層FPC |
■基板製造から基板検査機ビジネスにも進展
経営の軸が基板一つだけでは弱いのではないかと考え、『基板を作る』会社ではなく、マイコンを使って設計し、基板の上に部品を搭載して、ソフトを入れて機器を動かすという『基板を使う』会社になりたいと、当初から思っていました。そんなとき、和歌山のある企業から機械を電子化したいという話があり、電子機器の開発を行うことになりました。機械があってこれから電子化していこうというだけですから、一から始めたい当社にとっては望みどおりの仕事です。その会社の機械が国内外でよく売れて、当社の売り上げも伸びてきました。しかし新規の会社で無理な投資もあったのか、数年後に倒産してしまいました。その2、3年後、同じような形態でまた取引先の倒産にあい、二度の倒産で1億円を超える負債を抱えてしまったのですが、逆にそれらの取引を通じて基板の作り方、部品の調達方法、部品の実装、配線パターンの設計などすべて勉強させてもらいました。 そんなことがあって、当社もいわゆるエレクトロニクス機器の会社になったわけです。電子の技術者も揃い、これからは自分たちでエレクトロニクス機器を作って売っていこうと決めました。FPCの一貫生産の中で、基板の検査機を作ろうということになり細々と始めたのが今から14、5年前のことです。そして、それが現在のもう一つの柱となっています。 基板検査機には、治具を作って検査する方法と、多品種少ロットに対応する治具を使わないフライングテスタなどがあります。最近ではさらに、非接触で電磁波を使って調べる検査機もありいろいろなタイプが出てきています。 当社でも数年前から、電流を実際に基板に流して良否を判定するいわゆる導電検査機に加え、実装後基板の機能検査機、たとえばPDPに使用されるCOFやTCPのファンクション検査装置をいち早く開発しました。また、出荷前に人手に頼って検査をしている項目、例えば金めっきの変色や、レジストインキのずれや溜まり、シルク印刷のかすれやずれなど電気的には大きな問題がなくても、将来不良問題として発生しかねないようなポイントを検査するいわゆる最終外観検査装置分野に参入し、実績を積んできています。人間の目に頼っていた最終検査を機械で行うことにより、人間を単調な仕事から解放していく意義を強く感じて更に開発に力を注いでいるところです。
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| 最終外観検査装置A300D |
■めっき技術を活かしたバンプ付きFPC 治具によるLCD・有機EL用検査システム
バンプ付FPC治具『マニュアルプローバー』は、長い間温めてきて一昨年に実ったものですが、基板上のパターンの先のところにバンプめっきを施し、このバンプ付き基板そのものを検査治具として使うというものです。これにより、高精細基板の電気試験を可能にしました。当社は高いめっき技術をもっていると自負しており、ファインめっきの技術で各パターンの先に突起(バンプ)を作ることができます。それを治具として使い、たとえば小型の液晶や有機ELなどに電気を流し、点灯状態を見る点灯検査装置に使用する治具として販売しています。つまりバンプ付きFPC治具を、ソフトウエアとハードウエアを抱き合わせて商品化しています。この点灯検査システムの売り上げが伸びてきており、さらに伸ばしていきたいと思っています。中小型のディスプレイは今後さらにいろいろな機器で使用され、ニーズが膨らんでいくと思いますので、この新商品に大いに期待しているところです。そしてFPCを作っているということを活かして、今後は検査機部門とFPC部門を融合させて、さらに市場ニーズに対応した様々な検査システムを開発していきたいと思っています。
やはり我々の企業は人材に尽きると思います。当社は300人強の従業員がいますが、まだまだ規模が小さいので、一人一人のスキルが大変重要ですから、そのスキルを伸ばしていくことに意義があります。そういう意味で、人材育成にも力を入れています。人材育成をしてもすぐにはお金になりませんが、着実に進めていくことは大事だと思っています。それは会社自体が苦しいときでも進めていかなければならないことで、先ほども述べたように、当社では本当に会社が苦しかったときでも電子技術者を必死で集める努力をしてきました。そして、それが今やっと花開いたというところです。苦しいときでも人材育成を惜しみなく行えるような会社になりたいと思っています。まあ、いうほど簡単ではないとは思っています。 今は、FPCの短納期試作だけではお客様に満足していただけません。今後は、基板の設計と部品実装をさらに伸ばしていき、サービスの真ん中にFPCの短納期スタイルを据え、いろいろなワンストップサービスを提供していきたいと思っています。検査機は年々基板の微細化・高密度化が進んでいるので、検査用治具が複雑化してきています。多様化するお客様のニーズを先取りした検査システムを提供し、少しでもプリント基板メーカー各社の検査工程の負担を少なくする方向に向けて開発を強化していこうと考えています。
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| FPC・プローバー・検査装置 |
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バンプ付FPC
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2007年6月号掲載 |