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2010年7月21日 (水)

東北大学とソニー、100W出力の青紫色超短パルス半導体レーザを共同開発

~次世代大容量光ディスク記録・ナノ加工用光源の実用化に道~
東北大学
ソニー株式会社

東北大学とソニー株式会社(以下、ソニー)は、共同研究の成果として、レーザー光のピーク出力を従来の世界最高値から一気に100倍向上させた青紫色超短パルス半導体レーザ(※2)を開発した。
 開発に成功したのは、波長405nm(1nmは1mの10億分の1)の青紫色領域で、3ピコ秒(1 ピコ秒は1秒の1兆分の1)の超短時間幅、100Wの超高出力ピーク出力、1GHzの繰り返し周波数を持つ、光パルスを発生できる半導体レーザ。新開発・独自構造の窒化ガリウム(GaN)系モード同期型半導体レーザ(※3)と光半導体増幅器(※4)を高度に制御することで、従来の青紫色パルス半導体レーザー出力の世界最高値の100倍以上にもなる100W超のピーク出力を実現している。
 これまでも、固体レーザ(※5)や波長変換素子を組み合わせた高機能・高価な先端科学研究用途の超高出力・超短パルスレーザ装置は存在したが、光源装置自体が大型で、レーザの安定動作のために専門技術者による操作が必要だった。今回開発した半導体素子の組み合わせによる半導体レーザシステムは、将来、こうした装置を大幅に小型化できる技術で、用途の大幅な拡大が期待できる。
 今回開発した超高出力・超短パルス半導体レーザ光源では、高強度レーザ光のもとでのみ生じる2光子吸収(※6)と呼ばれる非線形現象を利用することが可能で、レーザ光をレンズで集光した際、レンズの焦点付近でのみ、レンズの焦点スポット径よりも小さな領域で化学変化や熱的な変化を起こすことができる。この性質を応用することで、無機・有機物質のナノメートルオーダーの3次元微細加工や、次世代大容量光ディスク記録など、幅広い分野への応用の可能性が広がるものと期待できる。
 ソニーでは、本技術の次世代大容量光ディスク用途への原理検証として、プラスチック材料の内部に、3マイクロメートル毎に直径300 ナノメートル程度の空孔をあけ、これをレーザ光で読み取る実験に成功している。
 今回の研究成果は、材料・デバイスの基礎に立脚して産学連携共同研究プログラムを推進する東北大学の超短パルスレーザー基盤技術とソニーの半導体レーザ素子基盤技術との融合で得られたもの。今後は、さらなる高出力化や多機能化など基盤技術の育成を進めるとともに、システムの小型化・安定化など実用化技術の開発を進める。
なお、今回の研究成果は、米国の学術論文誌Applied Physics Letters に掲載された。( Appl. Phys. Lett. volume 97, issue 2, page 021101 (2010);doi:10.1063/1.3462942 (3 pages), Online Publication Date: 12 July 2010 )

■注釈の説明
(※2)超短パルス半導体レーザ:レーザ光をパルス状に発生させる(短い間隔で明滅を繰り返す)ことができて、かつそのパルスの時間幅が非常に短い(今回の場合は3ピコ秒)半導体レーザーのこと
(※3)モード同期型半導体レーザ:超短光パルスを発生させる半導体レーザの一種で、共振器内をピコ秒オーダーやそれ以下の時間幅の光パルスが往復するような動作形態の半導体レーザ
(※4)光半導体増幅器:半導体で直接光を増幅できる光増幅器。構造は半導体レーザに似ているが、端面の反射防止加工などによって光増幅機能を高めている
(※5)固体レーザ:レーザ媒質にルビーなど固体結晶を用いたレーザ。超短パルス固体レーザの代表例であるチタンサファイアレーザでは、チタンを添加したサファイア結晶を用いる
(※6)2光子吸収:代表的な非線形光学現象の一つ。非常に強い光と物質が相互作用する場合には、物質の応答は光の電磁場に必ずしも比例せず、多彩な現象が生じる。2個の光子を同時に吸収して、光子のエネルギーの和に相当する固有状態に遷移する現象を2光子吸収という。この現象を利用して、強力なレーザ光をレンズで集光すると、焦点位置付近でパワー密度が極めて高くなることから、無機・有機材料をレーザ光で加工する場合、焦点位置を変えることで3次元的な加工が可能になる

※概念図は下記リンク先をご参照ください

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2010/07/press20100720.html

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