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2010年3月 8日 (月)

【インタビュー】これまで培った技術・ノウハウを活かしつつ、 心機一転の製品展開を

株式会社エクセル

 リフロー登場の最初期に、専門メーカーとして設立された(株)エクセル。社として研究会を発足させるなど、業界に果たした役割は計り知れない。これまで培った技術とノウハウ、製品群を最大限に活用しながら、新しい社長を向かえ新体制下で新たなスタートを切った同社のこれまでの歴史と今後の展望を、代表取締役の佐藤俊二氏に伺った。

★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★

Ex
代表取締役
佐藤 俊二 氏

■製品と技術の特性を裏付ける研究会を発足

 当社は、1983年に前の社長(現・会長)が設立した会社です。当時、リフロー炉は加熱方式を模索している最初期にあたり、その中で、前社長と某メーカーが共同でいち早く熱風方式の開発に取り組み、同方式に関する技術の特許を取得しました。熱風加熱するという考え方は当時では常識外のもので、まだどこも手がけていなかった方式でした。 
 その後、時代の進展と共にクリームはんだなど、色々な新技術・新製品が出てくるようになります。そこで当社は私的な研究会として、SMT全般に関わる技術並びにSMT産業全体の進歩と発展を図ることを目的として『SMT研究会』を立ち上げました。開会に際して、シャープ(株)、TDK(株)、オムロン(株)、(株)村田製作所、(株)忍足研究所、日本アルファメタルズ(株)、大阪大学などの企業や団体へ参加を呼びかけてご賛同・ご参加いただき、現在も定期的に継続しています。この研究会において、『次世代リフローの主流』や『搭載されるチップの展望とはんだ付けの変化』などテーマを設定し、ご参加いただいている各社・各団体にもその課題の研究をしてもらい、そこで出てきたデータを元に当社が製品化をする、という流れが確立されました。当社がかつてハニカムリフローを開発した際も、温風を整流にすると、基板のばたつきや温度の伝達力がどう改善されるのか、それぞれの部品に対してどう影響するのかなどといった部分に研究会のデータを活用することで、製品の確かな裏付けが取れたわけです。ですからSMT研究会は、当社のコア技術を技術的に裏付ける上で、今も昔も重要な存在なのです。このような活動によって会社の規模が次第に拡大し、営業やメンテナンスのために人員を増やしていきました。なお当社は創業当初からOEM方式を採っており、我々でアイデアを具体化して、製造については主に(株)島津製作所の協力工場などに委託をしています。

■特化した製品作りを心がける

  現在扱っている製品は特殊仕様の硬化炉や窒素リフローとエアリフローで、リフローはそれぞれサイズが3種類ぐらいで、中でも主力は7ゾーンと9ゾーンの製品です。現在の納品先のメインは中国の日系企業で、7ゾーンは主に携帯電話やPCメーカーに、9ゾーンは主に自動車メーカーに導入していただいています。
 当社は、従業員数など企業の規模はそれほど大きくないため、『リフロー装置なら何でもやる』という姿勢は取っていません。色々手がけて力を分散させるのではなく、得意な分野、中でも特に難しいと思われる分野に、資金を含め力を注いでいきたいと考えています。具体的にいえば、部材をあまり使わないで省エネを実現する製品や、携帯電話、PC、カメラなどで使用されるFRP素材向けのリフロー装置などに特化した製品展開をしていこう、と考えています。
 現在、取り組んでいる製品の課題は特に三つあります。まずFRPの問題です。当社では熱風方式の装置を作っているわけですが、風で薄いFRPが動いてしまい、はんだの仕上がりが悪くなってしまいます。これは、当社だけでなく同様の方式を採用している他社も悩みとしてもっている問題点で、まずはこの点を何とか解決したい。次に、はんだ付けする際のエネルギー効率への配慮です。CO2削減に配慮しながら、どこまでエネルギー効率を高めつつ、どこまで装置の省エネ化を進めていけるかという点。そして三つ目は、世間では大きくなっているリフローのゾーン数を逆に小さくしていきたいという点です。これについては、鉛フリー対応で6ゾーン、10%ほど小型化した試作品が先頃でき上がり、9月には広告ベースに乗せたいと思っています。本製品についてもSMT研究会の各企業・団体が実際に試験を行ってくれる予定です。当社独自の調査で生産量が従来比30%増という結果が出ていますが、それを今度はユーザー側のラインで評価していただくことになります。

■新体制で営業力を特に強化

 前社長が体を壊してしまい、業績が伸び悩んだこともあり、昨年8月に私が社長に就任しました。併せて、主に高圧ガスの販売を手がけている商社の(株)巴商会が、当社の経営に参画することになりました。もともと当社が巴商会から窒素発生装置を購入していたという縁がありましたが、とにかく同社が、当社並びにこれまで前社長を中心に培ってきた技術力の高さと確かさを認めていたことがその理由として挙げられます。その技術を活かした製品開発とメンテナンスをしっかり行っていけば、この会社は伸びるだろう。また営業的にきちんとプレゼンテーションができて、マーケットにも合致すれば、技術を十分に活かすことができる。この両輪を上手く回すことで絶対に再生可能だということで、支援を得るに至ったのです。
 当社がその再スタートを切るにあたって、私は色々な点での見直しを始めました。まずは営業の強化です。これまでは技術力があるということで、営業もいささか『待ちの姿勢』だった面がありました。当社では台湾系企業にも納品しているのですが、そこで改めて気付かされたことがあります。それは、先方が考えている『リフローに対する要求』と、当社が考える『リフローはこうあるべきだ』という理論面が少し違っているという点です。向こうはまずコストありきだ、というところから入ってくる。当社はこれまで、技術ありき、という姿勢でやってきて、極端に言うと、売る側としては先方の要求に技術面が見合わないとあまり売りたくない、とまで思ってしまっていたところがありました。もっている技術がすべて、という姿勢で営業をしてきたことによって、世間と乖離してしまった面があったのです。我々がもっているノウハウがすべてではない。ユーザーが求めているものは色々あるわけですから。それに合わせた製品開発を、実はこれまでしてこなかったのです。これからはさらにプラスアルファでノウハウを提案するなど技術的な商売をしていかないと、いずれは淘汰されてしまいます。ですから、その意味でも特化した分野でしっかりとした研究施設をもち、そこで技術を培って製品への搭載を提案していきたいと考えています。
 また、そのようなオーダーメイド的な製品を作る際にはぜひ私どもの工場での試験試作をご提案したいと思っています。今後はそのための試験施設も完備していく予定です。

■今後の展望

 また、昨年、今年と中国への納品実績が特に伸びているため、今年8月から上海に技術員を常駐させるなど営業の力の強化・刷新を図っています。販売面では、ある日本企業と総代理店契約を結び、中国での展開にさらに力を入れていく他、台湾系の代理店とも契約を締結しました。これで中国系企業・台湾系企業にも本格的に営業活動をかけていく体制が整いました。ただ海外においては、日本で作った製品を希望する価格で売るのが難しいため、中国向け商品を海外生産できるように、交渉を進めている最中です。またその場合は製造内容を移築することになるわけですから、協業なども視野に入れています。なお、海外生産する場合は品質が安定するまではきちんと国内で検査をして、検査と保証にしっかり対応するつもりです。
 また、装置以外で手がけているのが、フランスのメーカー製のリフローのカーボンボードで、この原版を輸入し、それを加工して国内で販売していく予定です。キャリアボードという、リフローに基板を流す時に使用するもので、従来のFR4をカーボンボードに変更すると従来品に比べて5~8倍の寿命があるのです。現行品の耐久性を鑑みると、30%ぐらい安くなります。契約と製造ラインは確保しており、これから本格的に販売していきます。今後、これを重要な柱の二つ目にしていこうと思います。初期投資としては通常のものと比べると、20~30%高いのですが、1年ぐらい替える必要がありません。特に大量生産に適している製品です。
 このように当社は、これから様々な製品展開をしていきます。まさに新たに再スタートを切るといえ、私としてもこれからの成長が楽しみです。

001
最新機の『ER600FC』

002
『ER700C/FSV』

エレクトロニクス実装技術2008年8月号掲載

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