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2010年3月 2日 (火)

パラジウム系水素分離(透過)膜の超薄膜加工技術を確立

~最小膜厚5μm、最大幅200mmにより水素透過量が従来の3倍に増加、水素分離膜の小型化、省貴金属化によるコストダウンを実現~

田中貴金属工業株式会社

田中貴金属工業株式会社は、水素分離(透過)膜に使用されるパラジウム系圧延箔の超薄膜加工技術を確立し、サンプル提供を開始する。本技術により、最小膜厚5μm、最大幅200mm のパラジウム系超薄膜が製造可能になり、クリーンエネルギーの源として期待される水素の、製造装置や水素精製装置に用いられる水素分離膜の大幅な小型化や、省貴金属化によるコストダウンが可能となる。
水素は、自身のエネルギー消費に伴う排出物が水であることから、環境に優しいクリーンエネルギー源として注目されている。たとえば、空気中の酸素との化学反応により発電を行う燃料電池用の燃料として利用することにより、環境に優しい発電システムの構築が可能である。水素製造装置では、装置の小型化、並びにコストダウンが課題とされ、国内外様々な機関で研究開発が継続されている。一般に水素製造は、「改質器(※1)+PSA(※2)」、「改質器+選択酸化(PROX)触媒(※3)法」、「改質器+Pd(パラジウム)膜法」が検討されている。「Pd 膜法」は、ピンホール等の内部欠陥の無いPd、またはPd 合金の薄膜が水素のみを透過させられるという性質を用いた、パラジウム系水素分離(透過)膜をフィルター(隔膜)として利用し、水蒸気改質ガスに代表される不純物を含む水素ガスから高純度水素を得る方法です。「Pd 膜法」は、コンパクトな設備で超高純度9N(99.9999999%)の水素ガスが得られるという特徴から研究開発が進められているが、イニシャルコストが掛かり、透過速度が小さい等のデメリットが指摘されています。今回、同社は、コスト並びに性能において劇的な改善を図ることができる、パラジウム系圧延箔の超薄膜加工技術を確立した。
本技術では、従来厚さ15μm 程度が限界とされていた加工から、厚さが1/3 である5μmの厚さの加工を実現させ、幅200mm のロール状での提供が可能となる。これにより、従来の3倍に水素透過量を上げることができ、さらに薄膜化によって使用されるパラジウムの減量が可能となる。めっき法等により薄膜化する技術の検討もされているが、欠陥残留の問題の解決が非常に難しいため、圧延法を採用することにより、緻密な膜が形成され、欠陥の少ないPd 膜製造が可能となる。
例えば、昨今普及し始めている家庭用燃料電池の出力は750W-1KW 程度ですが、燃料電池1KW 分の出力を得るためには、水素ガスが毎分10L 程度必要となります(※ただし作動条件による)。従来技術の水素透過膜(Pd15μm)でこれを供給しようとすると、220cm2 の面積(Pd
重量で4.0g)が必要になる。これが本技術の水素透過膜(Pd5μm)を利用することにより、1/3 の73cm2 の面積(Pd 重量で0.4g)で対応出来る様になるため、結果的に大幅な装置縮小化、並びに劇的な貴金属量の減少が可能になり、次世代水素エネルギー供給のソリューションとなることが可能である。
本技術は以下の用途に適用することができると考える。
・ 半導体プロセスガス水素精製用
→化合物半導体、LED、SiC などの製造のための水素ガス高純度化
・ 改質ガス向け水素精製用
→ガス改質ガス、メタノール改質ガス、石炭改質ガスなどからの水素の取り出し
・ その他産業用水素ガス精製用
→高純度ガラス製造用雰囲気ガス、金属熱処理用水素ガスなどの水素ガス高純度化
など
【超薄膜加工技術を用いたPd 系水素分離(透過)膜の特徴】
● 板厚最小5μm、板幅最大200mm まで対応
● 合金溶解から圧延まで一貫加工に対応
● 2 元系、3元系など幅広いパラジウム合金に対応可能
● 不溶性介在物混入を最小限に抑制した高清浄プロセス

【用語解説】
※1 改質器:化石燃料を水素リッチ(一酸化炭素と水素他)なガスにする反応装置。
(メタンガスの場合の反応式 CH4+2H2O→4H2+CO2)
※2 PSA (Pressure Swing Adsorption)法:水素リッチな改質ガスを圧縮機によって加圧し、吸着槽で高純度の水素ガスと分離精製する方法
※3 選択酸化(PROX)触媒:固体高分子形燃料電池に使用される改質ガス中に含まれる微量一酸化炭素を、酸素によって選択的に二酸化炭素(CO2)として酸化除去するための触媒。

http://www.tanaka.co.jp/index_img/100302topics.pdf

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