【インタビュー】老舗の技術力で確かなものづくり
株式会社大和製作所
窒素リフロー炉の老舗メーカーとして、20年以上の長きにわたり設計・製造を手がけてきた(株)大和製作所。確かな技術力を基に、自社製品の環境対応や要素技術の研究開発など、意欲的な製品開発を続けている。電子装置部部長の澤田良敬氏に、同社の歴史と今後の展望について伺った。
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電子装置部 部長
澤田 良敬 氏
■精密加工技術を活かした窒素リフロー炉
当社は1936年に設立され、一昨年に創業70周年を迎えました。主力事業は、製鉄・運搬機用の変速機や、ポンプ、搬送装置などの産業機械です。この分野で培った精密加工技術を基に、1988年、セラミックやアルミ基板用の熱板式小型窒素リフロー炉を開発し、同時期に電子装置部を立ち上げました。
この小型窒素リフロー炉は、はんだ付け時の熱によるはんだの酸化を防止し、ぬれ広がりを向上させるために窒素ガスを封入するものでした。まだ4ゾーン加熱で、炉内をガスで密閉するために全室にシャッタを装備していました。この当時、窒素リフロー炉はそれほど市場に普及しておらず、製造メーカーも数えるほどしか存在していませんでした。展示会では、来場者から10円玉を借り、それにフラックスを塗って窒素リフロー炉で加熱すると、10円玉が酸化還元されてピカピカになる、というデモを行ったこともありました。
■フロン規制と鉛フリー化
鉛フリー化以前の共晶はんだ付けでは、窒素リフロー炉はあまり使用されていませんでしたが、高温はんだ付け領域においては従来から必要とされていました。当時、高融点はんだを使用していたのはごく少数のユーザーのみでしたが、酸化が促進されるとはんだのぬれ性などの阻害要因が出てきました。そして、はんだに混入したフラックスが炭化すると、洗浄しても落ちにくいという問題も発生しました。
当時、フラックス洗浄には主としてフロンが使用されていましたが、フロンがオゾン層を破壊することが明らかになり、1988年、『特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律』が制定され、1996年までに15種類のフロン類が全廃されました。当然、フロンで洗浄した電子部品は海外に輸出できなくなるわけですから、はんだメーカーはこぞって無洗浄はんだを開発しました。しかし、クリームはんだに含まれるフラックスの種類が替わると、フラックスの酸化還元力も落ちるという問題が発生したのですが、それを回復させられるのが窒素リフロー炉だったのです。これ以降、他のリフローメーカーも窒素リフロー炉に参入してきたため過当競争となり、当社がシェアを広げるまでには至りませんでした。
昔はニッチの高温はんだ向けに製造していた窒素リフロー炉ですが、現在では、全リフロー装置のうち実に半数以上が窒素リフロー炉になっています。その起爆剤となったのが、1990年代後半からの鉛フリー化問題です。2001年頃から、はんだメーカーが鉛フリーはんだの商品化を始め、2003年には鉛フリー化対応のための設備更新がピークを迎え、当社の窒素リフロー炉も売り上げを伸ばしましたが、それと共に国内外で競合他社が増えていきました。
■カスタム対応で海外へ展開
半導体製造装置としては、前工程で使用されるシリコンウエハ対応のはんだバンプ形成用窒素リフロー装置を手がけています。最初は4インチ対応でしたが、現在では12インチまで対応しています。
また、後工程で使用されるBGA・CSPのアウターボール用の窒素リフロー装置も製造しています。本製品は、リフローサイズは従来の1/2とし、ワークを3列搬送します。このため、トラバースしたり、収納したりする装置や、洗浄機と接続するためのバッファ装置が必要になりますが、当社ではそれら周辺装置も含めたトータル設計を行っています。また、インライン化に際してユーザーごとのカスタム対応も行っており、これらは当社の一番の特徴であると思います。
さらに、基板メーカー様には、基板用のはんだバンプ形成用窒素リフロー炉もラインアップしています。低酸素濃度対応や、特殊な水冷冷却方法による急冷却など、様々な機能を装備しています。
納入先は、国内外で半々くらいです。現在は中国に営業拠点をもっています。半導体関連は、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、SMT関連では中国からの引き合いが主流です。特に、中国のEMSメーカーからは大口の引き合いがあるのですが、やはりコスト的な要求が厳しく、競合も激しい状況です。
今後は、ベトナムや、タイ、フィリピンなどのASEAN諸国にも市場を広げていきたいと考えています。これらの地域には代理店を置き、販売活動を広めていく予定です。ただ、今後SMT関連では生き残り競争が厳しさを増してくると予想しており、ユーザーがどれだけ生産拠点を拡張するか、設備投資を行うかということが大きく影響するでしょう。
そこで、SMT関連のリフロー炉は、海外に生産拠点をシフトすることでコストダウンを図り、輸送や梱包にかかるコストを低減しています。国内はもちろん、海外でも品質管理やアフターメンテナンスをきちんと行わなければユーザーの信頼は得られないので、これらをさらに徹底することで海外での販売力を上げていきたいと考えています。
当社にとってもっとも大きな市場である中国は、北の蘇州を中心とした高付加価値製品を実装する市場と、南の深センを中心とした生産型の市場とに大きく分かれます。さらに今後は、内陸部に工場が増え、所得格差も平均化してくると思われますので、中国のさらなる発展の余地はまだまだあると考えています。
海外への展開は、『パートナー化』が重要だと認識しています。当社単独でユーザーに対応することは難しいので、営業、メンテナンス、技術開発を含め、代理店、外注先、提携先とパートナー化していくことが、きわめて重要です。パートナー化することは、ある意味では責任分担というリスク回避と、開発分担という経費軽減にもなっています。
■品質と安全を重視した開発を
ここ数年のSMT関連のリフロー炉を振り返ると、フラックス回収機構などの環境対応を謳った製品が目立つようになりました。以前のフラックス回収機構は、入口と出口の排気ダクトで回収する、あるいは冷却ゾーンで凝結したものを回収していましたが、現在では加熱ゾーンから直接フラックスをバキュームするようになっています。当社装置の場合は、水冷機内蔵による特殊なフィルタで回収し、これをユーザーが清掃、交換します。この回収率さえ高めていけば、将来は排気ダクトレス化となり、CO2削減にも貢献できると考えています。
半導体関連では、アンダーフィル硬化炉、フリップチップリフロー炉、クリーンキュアオーブンなど、これまで消極的だったプロセスの装置にも積極的に参入していこうと考えています。このため、要素技術の研究開発に一層力を入れていこうと考えています。
ウエハ用のはんだバンプ形成用窒素リフローでは、市場である程度のシェアを確保しています。4インチから手がけている実績と、これまで培ったノウハウを基に、ウエハ薄化対応、反り対策、フラックス回収などのユーザーの声にも応えていきたいと考えています。
さらに、これまでSMT関連装置では比較的手薄だったLAN対応化も強化したいと考えています。半導体関連装置で培ったネットワーク技術を活かし、ユーザーが現場に行かなくても、オフィスからLAN経由でモニタリングして、生産状況や稼動率を監視できるサポート体制を構築したいと考えています。
また最近では、CEマーキング、UL規格、SEMI規格などの各規格に準拠した装置でなければ採用しないというユーザーも増えてきているので、規格認定の取得作業も始めています。
このように、SMT業界や半導体業界の双方で勝ち残っていくためには、一歩先を見た開発が必要だと感じます。窒素リフロー炉の老舗として長年培ってきた技術を基に、ユーザーの信頼を得るための『品質』と、先に述べた規格・基準の認定という『安全』、そして『環境』をテーマに、ユーザーに貢献していきたいと思います。
鉛フリー窒素リフロー炉『NRY-520S-5Z』
鉛フリー窒素リフロー炉『NRY-650S-8Z』
エレクトロニクス実装技術2008年7月号掲載