【インタビュー】位置決め・印刷精度を重視した 大型基板用はんだ印刷機を展開
デックジャパンリミテッド
先端電子材料の転写技術とサポートを世界的規模で提供するデック社。全自動はんだ印刷機に加え、645×610mmまでの大型基板のはんだ印刷が行える高精度汎用型全自動はんだ印刷機を国内でリリースした。同製品の特徴と今後の展開について、カントリーマネージャー 沼崎 邦治 氏に伺った。
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カントリーマネージャー
沼崎 邦治 氏
■世界的に高いはんだ印刷機のシェア
当社は1968年に英国で設立され、当初はハイブリッド用厚膜印刷機を開発し、欧州、米国に販売していました。1982年ごろDOVERグループに買収され、全世界に販売を開始しました。実装技術が表面実装に変わってくる中で、SMT実装基板用はんだ印刷機を開発し、表面実装のマーケットに参入していったわけです。
マーケットも欧州、米国が主だったのですが、電子部品や電子材料の製造が東南アジアにも広がり、今は東南アジアが三つ目のグループとなっています。東南アジアは六つの地域に分けており、日本と韓国の北アジア、台湾、台湾系の中国、中国本土、シンガポールを拠点とした南アジア、そしてインドとなっています。
はんだ印刷機におけるマーケットシェアは、欧州、米国で60%強、東南アジアは中国で40%となっています。日本は競合も多いのでシェアの確保が難しく、数字はそれほど取れていません。デックジャパンはデック社の日本事務所ですが、その責任分野は北アジアです。今までは韓国に力を入れていたのですが、日本も販売拠点とするべく、今後注力していくつもりです。
製造拠点は英国と中国にあり、品質管理は、中国も英国と同じISO9000に準拠しています。英国で作られた機械は欧州、米国に納め、中国で製造した機械は東南アジアに納めています。しかし、開発部門は英国にありますので、ハイエンドの機械は英国で製造し世界に納めています。
■技術とサービスでマーケットを捉える
当社が大型基板のSMT印刷機を開発・販売し始めた当時、同じような印刷機は少なく大手メーカーに納入していました。メーカーの要求に合わせて変更、改良を重ねる中で技術力が向上し、さらに次に要求される機械の開発を行うことで技術の蓄積がなされました。大手メーカーへの納入実績を伸ばしていった背景には、技術とともにサービスの面があったことも挙げられます。今では、ワールドワイドで拠点を有しているため、メーカーの生産拠点がどこであっても対応することができます。
現在、週2回サービスに関するミーティングを行っています。東南アジアではシンガポールを拠点として、英国の工場の技術者と各地区のサービスマネージャーが、機械、モータ、ソフトウエアの問題などについて討議し、各地区にフィードバックします。同時に、新しいマーケットの情報を仕入れ、機械操作が難しい地区に合わせて改造するための打ち合わせも行っています。このようにして、技術トレンドに対する要求に応えるポイントと、稼動中の機械のサービスサポートをうまくマッチさせていっています。
当社技術のもっとも大きな特徴は、位置決め精度です。そして、世界各地の納入先で装置の校正ができることが大きなポイントです。
位置決め精度が高いというのは、印刷の繰り返し精度が高いということです。普通は、マスクを固定し基板を位置決めして印刷するのですが、当社製品は基板を固定し、マスクを位置決めして印刷します。印刷ごとに基板とマスクの間にカメラが入り、基板の上部のマークとマスクのマークを読み、マスクをステッピングモータで位置決めするわけです。基板を動かす方法では基板をサポートする台が重いので、機械を移動したり、長期間使用しているうちに位置決めが正確でなくなってくることがあります。一般の印刷機とは、機械の設計が根本的に違っているのです。
また最近は、欧米にラインで納入していたものを、ラインごと東南アジアに移して使用する傾向があります。国をまたいで搬送すると、精度が狂う可能性が大きいため、精度を現場で確認して校正するための治具も搭載しています。校正は、ユーザー側でもトレーニングさえすればできるようになります。社内においても社員のトレーニングを行い、据え付け、調整、改造が行えるようにレベルアップを図っています。現在中国では、印刷機関係だけで50人ほどのエンジニアがおります。
■汎用型大型基板用はんだ印刷機を国内で展開
日本においては、特徴のある印刷機を展開しなければならないと思っています。今回力を入れるのは、645×610mmの大型基板をファインピッチで印刷できる高精度自動印刷機『Photon V(i フォトンヴィアイ)』です。大型基板用の専用印刷機が、汎用機としてリリースされるのは初めてになります。基板を固定しマスクを回転させるという当社の基本概念はそのまま引き継いでおり、大型基板においてはさらなる効果が表れます。大型基板をサポートしている台を、X、Y方向に動かして精密位置決めをすることはかなり難しく、当社のように、上にあるマスクをX、Y、θで調整することは理にかなっているわけです。基板印刷のハンドリングの範囲を拡大し、普通の基板から大型基板まで対応できるため、各サイズの基板に関して、少量小ロット、量産、多品種の製造に適応できます。
操作性に関しても、オペレータが操作を理解しやすく、簡単なタッチパネル方式となっています。操作効率が良く、わずかな技術で最大の装置能力を引き出します。
オプションで検査機能も搭載することができ、はんだがマスクから何%基板に転写されたかを2次元検査によって測定します。数値の設定により、たとえば80%とすればそれ以下の場合はどうするかを機械が問いかけてきます。RETRYのボタンを押すと、もう一度刷り直しをします。これは、精度が良くなければできないものです。
■印刷機以外の製品と今後の展開
印刷機本体以外では、全自動基板バックアップシステム『Grid-Lok(グリッドロック)』があります。これは、当社の傘下にある米国OVATION PRODUCTS社が基本特許をもつ、基板の裏面部品搭載時でもエアの特殊機構により、部品を傷付けることなく下面から支えるサポートシステムです。
このシステムを使うことにより、段取り替え時間が大幅に短縮されます。基板を選ばず、当社以外の印刷機にも適用することができます。マグネットにより固定しますのでレイアウトが簡単にでき、空圧でピンを押し上げ基板を止めるため油漏れもなく、メンテナンスも容易です。ユニットの高さは、ユーザーの機械ストロークに合わせて提供しますので、ほとんどのSMT実装機、検査機、印刷機に対応できます。
国内のユーザーからも評判が良く、ピンでバックアップする他の製品に比べ部品の損傷がなく有効だという声も聞かれます。当社では、はんだ印刷機にもオプションで搭載していますが、Grid-Lok単体でも販売していく予定で、需要は大いにあると考えています。
その他の製品として、接着剤を印刷するための『パンププリント』があり、3mm厚ほどのプラスチックのステンシルを使っています。はんだを印刷した後接着剤をディスペンスしますが、ディスペンスの時間がかかる分ラインが止まってしまうため、接着剤を印刷しようということで開発されました。これによりタクトタイムとコストを大幅に下げることができます。また、当社のはんだ印刷機以外に他社の印刷機にも対応しています。
今後の展開としては、メインであるはんだ印刷機を伸ばしながら、半導体のバンプ印刷やボール搭載分野、太陽電池、燃料電池の製造機器などもリリースしていきます。また、国内で実績があり汎用性の高い全自動はんだ印刷機『HORIZON』クラスをさらに普及させることと、大型基板のマーケットに向けてはPhoton Viを推し進めていきたいと思っています。さらに、関連品としてGrid-Lokの展開を図り、そこからユーザーの拡大を図っていきます。テクノロジーが発展、変遷していく中で、ユーザーと協業しながら事業を推進していきたいと考えています。
エレクトロニクス実装技術2008年8月号掲載

