【インタビュー】サーボループ部品の共振特性測定に対応する4チャネルタイプのシンプルなサーボアナライザ「FRA5014」
株式会社エヌエフ回路設計ブロック
エヌエフ回路設計ブロックでは、サーボループ用部品の共振特性測定をはじめ、各種サーボ特性測定や電気化学インピーダンス測定などを行うさまざまな分野で、高精度かつ正確な測定を提供するFRA5014を市場投入している。
FRA5014は、リモート制御専用で、パラメータの設定や読み出し、コマンド入力など、操作はPCを利用するようになっているため、非常にシンプルな形状をしており、生産ラインやシステムへの組込み用として最適な4チャネル入力のサーボアナライザだ。
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事業推進本部スタンダード商品統括
五味 裕人
■応用が広がるサーボアナライザ
エヌエフ回路設計ブロックでは、用途や目的にあわせて選べるように周波数特性分析器(FRA)をシリーズで販売している。今回紹介するサーボアナライザFRA5014もそのシリーズの一つで、周波数特性分析器もサーボアナライザも同じ機能を持っている。
歴史は20年以上前に遡り、当初はNF(ネガティブフィードバック)回路の特性を測る装置として登場した同社の主力製品の一つである。
サーボアナライザは、水力発電所の発電機と水圧の関係を自動制御する装置の制御特性を測定する測定器として特注で製作され、発電機の故障を未然に防止するために、その装置が設計どおりの制御特性になっていることを検証するために用いられていた。この測定の基本的な考え方は現在も変わっていない。
当初は、サーボアナライザでメカニカルな機械系の特性を測定するために使用されていたが、NF(ネガティブフィードバック)回路がここ30年ほどの間にさまざまなシーンで応用されるようになったため、現在ではなくてはならない測定器になっている。
代表的な応用例としては、スイッチングレギュレータがあり、出力電圧の制御特性の測定に用いられている。また、CDやDVDなどの光ピックアップの位置制御やフォーカス制御もサーボで行っているので、その制御計測に使用されていることでも馴染みがある。
変わったところでは、交流インピーダンスの測定にも利用されている。燃料電池や電気二重層など、部品のインピーダンスを測るためのインピーダンスアナライザが登場しているが、同社のサーボアナライザにもその機能の一部が搭載されている。
■多彩なラインアップを持つ周波数特性分析器
サーボアナライザは、正弦波スイープ発振器と電圧計、位相計で構成されており、正弦波スイープを被測定対象に印加して、その応答特性として利得や位相をDFT(デジタルフーリエ演算)のすぐれたノイズ除去特性を使って、高精度に測定する装置だ。入力レンジを常に最適化するオートレンジング機能とフローティングされた入出力回路を装備しているため、入力信号レベルや被測定対象のGND電位を気にすることなく、ダイナミックに変化する周波数応答を短時間で高精度に測定できる。
同社では現在、周波数特性分析器やサーボアナライザとして、全体で5シリーズ6機種を販売しており、それぞれ測定する対象物や測定周波数帯域に合わせ、カバーしているエリアごとに対応している。
最上位機種はFRA5097とFRA5087で、FRA5097が0.1mHz~15MHz、FRA5087が0.1mHz~10MHzと、高い周波数帯域までをカバーしている。多機能・高精度・高性能を武器に、開発部門や研究室をはじめさまざまなシーンのさまざまなアプリケーションに対応している。
ミドルレンジのFRA5022は、ラボラトリでも生産ラインでも使用できる仕様となっており、測定周波数は0.1mHz~100kHzをカバーしている。いずれもチャネル数は2チャネルだ。
高性能・高機能のシリーズとしてユーザーの評価は高いが、実際にユーザーが生産ラインに採用したいという場合、これらの製品が持っている機能では多少オーバースペックになってしまう場合もある。
そこで、生産ラインなどの組み込みに特化したサーボアナライザとして登場したのが、FRA5014だ。
■生産ラインに特化したFRA5014
FRA5014とFRA5022の違いはチャネル数と、操作部、表示部の有無になっている。FRA5014は4チャネルタイプのため、測定ポイントを最大4つ同時に測定できる。そのため、詳細な測定・分析が可能になり、生産ラインや検査工程での作業時間を大幅に短縮することができるようになっている。
「本体には同じ回路が4つあり、それぞれにA/Dコンバータが用意されているため、データをサンプリングして同時に分析できます。電池などのように、時間とともに特性が変わるものを測定するときなどに最適です」と五味氏は語る。研究レベルでは、2チャネルの測定を細かく繰り返し行う必要があるが、生産ラインの場合には短時間で同時に複数ポイントの測定が必要になるための対応だ。
入力耐圧は、他の機種同様コネクタを筐体からフローティング(絶縁耐圧30Vrms)させているため、グラウンド電位から浮いた場所の測定も可能である。 FRA5014は、生産ライン用に特化しており単独では操作できないため、USB、GPIB、RS-232のいずれかでPCと接続しコントロールすることになる。
これは生産装置に組み込んだとき、ホストコンピュータで制御することを想定したもので、測定開始や測定条件の設定、測定データの取り込み、グラフ表示、データ保存など、一連の操作は通信回線を利用してPCやシーケンサなどの外部コントローラで行うリモート制御専用になっている。
サーボアナライザの競合製品としてFFTアナライザやネットワークアナライザが考えられるが、それらの装置の設定は複雑で意外と難しいものがある。例えば、FFTアナライザでは周波数や周波数分解能の設定のほか、信号源をランダムノイズにするかインパルスにするかなどによって分析結果が変わってくるが、サーボアナライザではその必要がなく、周波数レンジを設定するだけで済む操作のシンプルさも大きなメリットといえよう。
さらに、PC用のアプリケーションも同社では提供している。製品とともにLabVIEWのライブラリが一式付属しているので、使い慣れているユーザーであれば、導入も簡単だ。また、LabVIEWのほか、分析器の画面も専用のアプリケーションが用意されているため、操作・測定・データ表示を容易に行うことができる。
■DFTを活用し、広いダイナミックレンジの測定を実現
サーボアナライザの競合製品であるFFTアナライザで、サーボアナライザという名称で販売している製品もある。しかし、FFTアナライザでは、ノイズの混在したサーボ系で、減衰特性をきれいに測れないことが多い。
場合によっては減衰特性の小さいところを詳細に解析できないと、全体の特性を悪化させている原因を突き止めることができなくなってしまう。この減衰特性を正確に測れるかということが重要で、同社ではFFTアナライザと異なる方式を利用することで、最大120dB(FRA5087/FRA5097では140dB)の広いダイナミックレンジを実現している。
そのためにDFT(デジタルフーリエ変換)を活用しており、ノイズに埋もれたデータの中から測定対象の信号だけを取り出せるすぐれた能力を引き出している。
通常の測定器では、ノイズよりレベルの小さな信号は測れないが、DFTではノイズの数百分の1から数千分の1でも取り出すことが可能だ。例えば、基本の発振器が1kHzを出力している時に、その数千倍のノイズがあっても、測定したい1kHzの信号成分だけを取り出すことができる。
しかし、その場合は周波数が正確にわかっていなければいけないが、内蔵した発振器が発振している周波数と一致する信号成分だけをピックアップするように分析することで、この能力が発揮されることになる。したがって、「実際に測定すると、測定時間が桁違いに早いです。FFTアナライザの場合、ノイズが多ければ何度も測定して平均化するという方法もありますが、DFTでは多くの場合で平均化の必要がなく、測定が1回で済むことも大きなメリットです」と五味氏。
またこの場合、本来あり得ない信号を測定物に注入して、その応答を測定することになるので、注入する信号は小さいに越したことはない。ノイズ成分は変わらないため、相対的に信号が小さくなれば、測定は困難になるが、サーボアナライザなら他のFFTアナライザより小さな注入信号で、機器に与える影響を最小限に抑えたまま短時間できれいなデータが取れることになる。
FFTアナライザのダイナミックレンジは96dB程度であるが、同社のサーボアナライザでは分析部のオートレンジやDFT処理により140dBを実現できる。ダイナミックレンジが広いことで、急峻な共振特性を持っている測定物の共振点のポイントを正確に測ることが、サーボアナライザなら可能だ。
「実際に、FFTアナライザを使ってCDプレーヤのサーボ特性を測り、一昼夜かけて平均化してもノイズの除去に満足できる結果は得られませんでした。しかし、サーボアナライザで同じ測定をした結果、数分間できれいなデータが測定できました」と、五味氏は短時間測定の効果に胸を張る。
15MHzまでの測定が可能な周波数特性分析器 FRA5097
■USBポートを利用してデータの授受を効率化
FRA5087/FRA5097は、測定結果をUSBメモリにセーブすることができるほか、PCと接続してリアパネルのGPIBもしくはUSB経由でデータを転送することができる。
また、画面のイメージもビットマップファイルとしてセーブすることができるほか、CSVファイルに変換するソフトも用意している。この機能を活用すれば、MS-Excelに展開してデータを管理することも可能だ。
FRA5087/FRA5097の画面上では、カーソルを使って最大や最小を探す機能も装備している。ビットマップファイルとして保存した画面のイメージには、ピークサーチの結果も表示されるので、解析結果を確認することが容易である。
このように、サーボ系の測定に関して多くの機能と、高い性能を誇る同社のサーボアナライザだが、そのメリットは一度使ってみることで実感できる。同社のホームページには、製品貸出用のサイトが用意されており、そこから貸し出しを申し込めば試験的に使ってみることができるので、アクセスしてみることを薦める。「一度使っていただければ、当社のサーボアナライザのメリットやその良さを必ず理解していただけると思います」と、五味氏は自信をのぞかせる。
エレクトロニクス電子計測技術2007年12月号掲載






