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2010年2月15日 (月)

【インタビュー】人を楽しませるロボット創りを

― 人工知能テクノロジーを身近に適用 ―
株式会社ニルバーナテクノロジー

 ロボットづくりはアクチュエータやセンサを使ったハードウエアからなされることが多いが、インタラクション技術、ロボット技術に関する種々の技術を保有し、ロボットの人工知能技術をベースに、ロボットに関するソフトウエア・ハードウエアの開発・販売を行っている株式会社ニルバーナテクノロジー 事業企画部 部長 山際 和眞 氏に、同社の技術、展開について話を聞く。

★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★

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事業企画部 部長
山際 和眞 氏

■御社についてお話ください

山際:当社は、人工知能を応用したマルチメディアインタラクションおよびロボットの高度な研究開発成果を、社会に普及させることを目的として、2001年に設立されました。
 現在の社長 中津は、設立の当初から参画し翌年に代表取締役に就任して現在に至っています。もともと、日本電信電話公社で音声認識をはじめとする通信技術の基礎研究、応用研究をしていました。その後、ATR知能映像通信研究所の代表取締役になり、芸術と技術の融合を目指したマルチメディア要素技術の研究とマルチメディア技術を応用したシステムの研究を行っています。
 そのあと、当社を設立する流れになっていきます。代表取締役就任と同じ時期に、関西学院大学理工学部の教授になり、研究をしています。そういった意味では、当社は、少し変わった大学発のベンチャーということになるかもしれません。
 事業内容を一言でいえば、ロボットの研究・開発受託といえます。当社がもっているのはロボットなどに応用できる人工知能技術であり、お客様からのロボットをこう動かしたいという要望を実現するために、制御ソフトウエアや、アプリケーションソフトウェアのシステムを開発します。

■ロボットの人工知能とは具体的にどのようなものですか

山際:当社は、ロボットの研究で培われた知能技術を使い、ユーザーフレンドリーなシステムソリューションの提案を行っており、人工知能テクノロジーをより身近に感じていただきたいと思っています。要素技術の基礎研究から行っていますので、お客様に合わせたOSやコンピュータ環境に柔軟に適用することも可能です。
 人工知能の中には、たとえば個人を特定するような認識技術があります。カメラ画像・動画とセンサ・マイクなどを使って相手を認識し、個人を特定するもので、お客様に違和感を与えず、自然な動画像から個人を特定することが可能です。この認識技術を応用して、相手を特定した施設内での案内ロボットシステムなどに使っていただくことが可能です。
 その他ロボットに関しては、ロボットの行動する環境や目的に応じ、最適な行動を自律的に決定するためのアルゴリズムなども研究・開発しています。簡単な例では、ロボットが移動時に障害物を回避する行動を自らの試行錯誤により学習し、最適な障害物回避の行動を習得することが可能となります。それらの応用と組合せで、ロボットの動作や会話を決定させる意思決定システムがあり、人の指示が無くても、各種センサ、カメラなどの情報を基に、ロボットが自律的に次の行動に移るための判断を可能にすることができます。
 また、開発途上ではありますが、ロボットのシステムを開発する上で、必要とされるようなシミュレーションシステムなども開発しております。これは、実空間とシミュレーション上の仮想空間の同期がとれた3Dシミュレーションシステムになっています。先ほど話したような知能技術と物体の3D化技術を駆使したものになっており、ロボットシステム以外にも、教材システムなどで応用システムを開発するようなことも行っています。
最近では、元々実体のあるロボットシステムに使われるような、これらの技術を、ITシステムなどで活用できないかといったご相談をいただくことも増えてきております。

■今までに作られた製品にはどんなものがありますか

山際:現在、当社はロボットの研究開発の受託業務が中心となっておりますが、製品として次の二つを作っています。
 一つは、2004年に二足歩行ヒューマノイド型ロボットとして開発した『太極(Tai-chi)』です。太極拳の動きをスムーズに再現できることから命名しました。モーションエディタという独自に開発したロボットの3Dシミュレーションソフトウエアにより、自由な動きを教えることができます。
 大きさが、身長40cm弱で 重さ2・程度、バッテリー動作で連続して15分程動作するものです。いろいろと、二足歩行型ロボットとして基本の動作を行うとともにエンタテインメント的にも、ロボットの動きの面白さを表現できるように、関節の数は21個としており、その動きの面白さから発売当初はマスコミなどでも広く取り上げられたりしました。基本セットのラジコンプロポ操作のほかに、オプションによりBluetoothによるPCとの通信や、音声認識機能によるマイクでの操作も可能です。
 もう一つは、2005年の愛知万博の『NEDOプロトタイプロボット展』でデビューした中型コミュニケーションロボット『CANDY05』です。
 コンセプトは、15年後(2020年)のキャディさんロボットで、現在の人のキャディさんがゴルフプレイヤーとコミュニケーションをとりながら、ゴルフコースを回るといったことを、ロボットが行うことで、ゴルフコースの地形データや、環境情報、プレイヤーの情報などを総合的にロボットが分析し、より的確なアドバイスをプレイヤーに案内することができるといった内容になっています。
 たとえば、プレイヤーの「カップまでは?」という問いにも、ロボットが「あと150ヤードぐらいです。フェアウェイ上ですので、今の風の向きと強さから、○○様の今日の調子だと5番アイアンが適当と思われます。このホールはあと50ヤード先から登坂状態ですので少々強めでも大丈夫です。」どと、アドバイスができるといったイメージです。

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小型二足歩行ロボット『太極(Tai‐chi)』


■『太極』は、どのような使われ方をするのですか

山際:『太極』は、2足歩行ロボットの研究用として開発されたロボットでして、開発キットとして購入者の方が自ら組み立てなどを行い、動作のプログラミングなどを行っていただけることから、2足歩行ロボットが、どのように構成され、どのように動作するのかを学習していただくのに適していると思います。
 動作のプログラミングは、プログラミング知識がない人でも、簡単にロボットが動作を行わせることができるように、パソコン用ソフトのモーションエディタをパッケージングしています。

■ロボットの展開はどのような分野をお考えですか

山際:ホビー向けロボットやユビキタスロボットといった実体を持たないロボットが、市場としては形成されつつありますが、多くの人がイメージするような自らの意思で人の代わりに業務をこなすようなロボットが出現するまで、まだまだ技術開発を行っていく必要があると思います。ここ数年の間は、ロボット開発で確立された技術を、他分野での展開も視野に入れビジネス的には展開していくことになりそうです。
 しかしながら、用途を限定したりすることで、特定の場所では、多くの人のイメージするようなロボットをご覧いただけるようになってくるとは思います。それは、多く人が集まるような特定施設で、ロボットのエンタテインメント性とIT技術を融合したようなものになり、ロボットに仕事をさせるといったイメージよりも、人を楽しませたりしながら、人とコミュニケーションをとり情報の伝達をするようなロボットになると思います。
また、ロボットの市場としては現在確立されている、産業用ロボットがありますが、この産業用ロボットでも、当社が蓄積しているようなロボット開発技術でお役に立てることも出てきつつあるのではないかと思っております。
 特に、最近の傾向として、多品種変量生産型のロボットに代表されるような、従来の産業ロボットに比べ、ロボットに、より複雑な仕事をさせる場合で、その仕事を人がロボットに教える技術や、人の腕や手と同程度の大きさのロボットを開発する技術などで、お役に立てると考えております。ロボットに動作を教えるといった面では、シミュレーションソフトウェアの開発技術やノウハウが活かせると思いますし、小さなロボットでは、不確定の物体を認識して、多様な作業を行わせる制御技術など、セル生産などで人と協調作業するようなロボットも、人とのインタラクション技術が活かせるのはないかと考えております。

■今後の展開についてお話ください

山際:当社独自のプロダクツを出していきたいと思っております。しかし、人とロボットが共存していくには安全性が重要な課題になってきます。FAなどで使われるロボットは、危険帯には入らない、停止が確認されてから近寄る、操作はエンジニアがする、などとなっていますが、社会に入り込んでくるロボットはそういうわけには行きません。そこで、安全などに対する評価が必要になってきます。国や大手企業も今、ロボットの評価に対しての検討を行っていますが、なかなか、多くの評価を行っていかないといけない状況で、高価で希少性の高いロボットを実際に評価に使うのは難しいでしょうから、当社では、強みを活かしたロボット・人工知能の技術と3DシミュレーションやIT技術などを駆使したロボットの評価ソフトウエアを数年内に出していきたいと考えています。そうしたソフトウェアシステムを提供することで、ロボットの安全性や技術評価のスピードを上げていけるのではないかと考えております。その後、当社もそのシステムを使うことでサービスロボットを開発し、世の中に提供して行きたいと思っています。ただ、他社のロボットに比べて、当社の特徴でもある、エンタテイメント性は追求したいと考えています。仕事ができるということもあるでしょうが、人と触れ合うときに、いろんな意味で優しさが出るような、やはり可愛げがあるロボットにしていきたいと思っています。
 ビジネス面では、まだまだ未成熟なロボット市場ではありますが、ロボット関係はむろんのこと、他業界の企業や研究機関の方々などからもいろいろなご協力をいただきながら、市場創出の一端を担っていきたいと考えておりますので、当社の技術などご興味がある方は、お気軽にお声をかけていただければと思います。


■本日はお忙しい中ありがとうございました。

メカトロニクス2007年11月号掲載

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