【インタビュー】常に『一歩先を行く開発』と『オンリーワン』の製品づくりを目指す
株式会社タムラFAシステム
1999年、鉛フリーはんだ対応リフロー装置をいち早く開発し、瞬く間にシェアを拡大した(株)タムラFAシステム。開発の原動力となった秘訣はどこにあったのか。また、その座に甘んじることなく、常に一歩先を行く開発とオンリーワンの製品づくりを目指し続ける同社の企業姿勢とはどのようなものなのか。代表取締役社長の中野氏と常務取締役の深野氏にお話を聞いた。
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代表取締役社長
中野 朋之 氏
■(株)タムラ製作所から独立
当社は(株)タムラ製作所から独立した子会社で、表面実装用の自動ソルダリングシステム(リフロー装置)を開発・製造するなど、一貫してはんだ付けに携わる装置を手がけています。タムラ製作所としてのはんだ事業はそれまでに40年ほどの歴史と実績があり、フラックスもいち早く手がけるなど成果を挙げてきました。ただ、やはりタムラ製作所の主力である電子部品とはんだ付け関連部品には違いがあったため、部門に特化した新会社を作り、独立採算を目指していこうという機運が高まり、同じ事業部からタムラ化研(株)という子会社が独立していた先例もあって1995年に立ち上げました。現在では、国内は狭山市の本社及び工場、山形工場の2工場が稼動しており、海外にはシンガポール、中国の深 、蘇州の3工場が、さらに事業所もタイ、マレーシア、インドネシア、上海、大連、韓国、サンディエゴ、チェコに設けており、現在インドにも代理店を準備中です。
■鉛フリー化に伴なう厄介な問題の発見
タムラグループの強みは、はんだ材料から装置に至るまでを手がけているという点です。材料メーカーが機械を手がける、または機械メーカーも材料を扱う、そのような形態をとる会社は今でこそ数多くありますが、当時はこのような企業はほとんどなく、その先駆けであったといえるでしょう。材料から装置に至るまで、その品質を保証するという体制をもち続けてきたことで、時代を先取りし、ニーズを先読みした開発を実現しています。 当社の主力製品であり、大きくシェアを獲得した鉛フリー対応のリフロー装置ですが、その開発を始めたのは1997年ごろで、初号機を完成させ発表したのが1999年です。その取り組みに先立つ『今後は鉛フリーが主流になる』という考えの念頭には、企業の理念としてもっていた当社の環境に対する配慮がありました。加えて、手がけているはんだ材料を通じて、今後の流れを読み、早くから鉛フリーの研究に携わってきたことがあります。
実は当初、はんだそのものが鉛フリー化されても、はんだ付けの装置自体は従来品のままで、ただその温度だけを上げればいいのではないかと思っていたのですが、そうではないことがあるテスト結果からわかりました。ある時、プリント基板の任意の数個所に熱センサを付けてリフロー装置に流し、その温度を測ったところ、部品の位置によって20℃以上、場所によっては30℃程の温度差があったのです。これは我々もユーザーも知らなかった現象でした。載っている部品の大きさも違えば、材料も違うわけですから同じ温度になりづらいことは分かっていましたが、ここまで大きな差がつくとは思いませんでした。ですから、鉛フリーはんだは融点が高いから装置内の温度をその分だけ上げればいいと思っていた前提を見直す必要が出てきました。実装されるそれぞれの部品の耐熱温度は変わらないわけですから、高温によって損傷を与えないように配慮をしなければなりません。以降、当社では『Δt』を合言葉に、温度差の1桁化を目指した開発を行ない、他社に比べて1年半ぐらい先んじて、温度差を1桁に抑えたリフロー装置を完成させました。問題をいち早く発見し、対応したことがシェア拡大の成功要因でした。ただその時点でオンリーワンでも、すぐに追いつかれてしまいますから、『次はどこに目を向けていくか』を念頭に置いて、製品開発をしています。
■鉛フリー対応機種は第4世代へ
国内の鉛フリー対応に向けた市場は、その特需も落ち着きを見せており、現在ではもう一巡したと捉えています。最初はまず、テクニカルな面、鉛フリーのはんだ付け技術を習得するための装置であったものが、実生産が軌道に乗っていくと、当然、機械のコストダウン要求があります。また材料の進歩も目覚しく、はんだ材料も進歩していきます。当社ではそれらのニーズに見合った開発し続けており、今ではバージョンとして第4世代目に差し掛かっているという認識があります。
第1世代の頃はとにかく鉛フリー対応のはんだ付けをという面でしたが、そこから次世代に移行するにあたって解決すべき課題は、多様化するプリント基板への対応でした。車載や携帯電話用の基板など難しい高度な基板へ鉛フリーの裾野が広がっていったことで、さらに高加熱力をもつ装置が必要になり、それまで以上に高加熱のリフローを実現したのが第2世代です。
次の第3世代になると、省エネの問題、またフラックス回収ユニットの開発など、はんだ付けそのものとは少し違った、どちらかというと二次的な部分が要求として上がり始めました。そして今、第4世代として開発をしているのは、省エネ・省スペースなどの面で、省エネがCO2の削減につながるといった点や、揮発性有機化合物(VOC)対策に業界がどう動くのかを見きわめているといったように、環境保全の方向へ繋げていっています。 さらに、装置本体にフラッシュメモリを搭載することで、ハードディスクレス化を図る、という製品を開発しています。生産設備においてハードディスクの故障は実に多く、修理の注文もこれに起因するものが結構あります。リフロー装置自体には問題がなくても、ハードディスクが壊れてしまうと当然使えなくなってしまいます。たとえ1時間でも止められない、そういう気持ちでユーザーの方は使っているわけですから、ハードディスクレス化の実現によって障害の原因を少しでも取り除くことができるのではないかと考えています。
■オンリーワンの視点をもちうる秘訣
他社とは違うオンリーワン製品の展開で差別化をしていかないと、市場での生き残りは難しいでしょう。リフロー装置では当初、瞬く間にシェアを獲得できましたが、技術的にすぐに追いつかれてしまいました。他社との差別化を図るためには、省エネや省スペースなど、色々な点に目を向けていかないといけません。もう技術的にはなかなか変えようがないですからね。
さらにオンリーワンの視点や発想を行う上で重要なのは、繰り返しになりますがやはりはんだ材料を手がけていることが大きいです。この業界は何といってもまず材料ありきですから、材料の開発も行っているという価値は大きいです。普通は逆で、つまり設備を考えてから材料を考えますが当社はそうではありません。ですから、鉛フリーのはんだの方がはるかに早くできていて、そこから装置開発で試行錯誤し、たとえば温度をどれだけ上げればいいのではないかなどをクリアしていきました。
リフロー装置の開発によってシェアを拡大したということはつまり、今までもっていた他社の製品を当社の製品に替えてもらったということです。そして今度は、我々の製品を今後も使い続けていただくようにしなければなりません。ですから、先に述べたハードディスクレスなどの機能転換による買い替え需要も、我々のターゲットの一つです。そのためには、たとえばハードディスクを止めるとか、従来よりも電気容量が25%ぐらい少なくなるなどの新しい提案をしていきたいと思います。
具体的な新製品としては、先のインターネプコンで出展した当社と古河電気工業(株)が株主であり、サラマンダブランドのリフロー炉を展開している(株)タムラ古河マシナリーとの技術シナジーによるN2リフロー装置が、すでに大きな反響を得ています。当社と(株)タムラ古河マシナリーの総合技術を良い所取りした製品で、主に日本のEMS向けに開発をしたものですが、台湾EMSからも引き合いが来ているなど受注も好調で、2月中の納品を目指しています。他に新製品としてVOCフリーフラックス対応ディップ式はんだ付装置も出展しました。こちらも今後の市場を睨む製品として製造した、当社では初のセル生産対応機です。
また、韓国、ヨーロッパ、シンガポール、マレーシア、タイ、台湾など年10回ぐらい展示会に出展しており、今年はさらに深 でプライベートショーを開催する予定です。またベトナム、インド、ロシアの展示会にも初めて出展します。中でもロシアはショーの開催が初めてという国ですので、そこにおいて広く製品を紹介・展開していければと思います。海外市場においては日系企業だけでなく、純粋な海外企業もユーザーとして取り込んでいく、これも目標の一つです。
エレクトロニクス実装技術2008年2月号掲載

