【インタビュー】ユーザーの要望を的確に捉えた製品づくりを目指す
日本アントム株式会社
1976年に設立され、遠赤外線を用いた小型のリフロー装置を始め高い信頼性を誇る製品を展開する日本アントム(株)。他にノズルディスペンサ、基板反り防止治具、コンベア、ディスクリートリフローを製造している。同社の歴史から今後の挑戦と展望まで、開発部部長の廣瀬稔氏と工場長の森谷廣幸氏に伺った。
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開発部 部長 廣瀬 稔 氏
■メンテナンス会社としてのスタート
当社は1976年に設立されました。当初は、カナダ・エレクトロバード社のはんだ付け装置のメンテナンスサービス会社としてスタートしました。その後、同社のワイヤストリッパなども扱いながら、独自に基板反り防止治具を開発し、これが第1号の製品となりました。起業時から、はんだにまつわる自動化装置とツールを扱おうという目的をもっていたので、1983年に同社とOEM契約を締結し、ノックダウン方式ではんだ槽の製造を開始しました。自社で部品を調達し、日本製として売り出すことも考えましたが、他社と対等に勝負することは時期尚早との判断から、OEM契約を一つの防御策として市場を開拓していきました。
その後、1986年に遠赤外線エア独立循環方式のリフロー装置を開発し、生産・発売を開始しました。ただこの頃は、リフロー装置のプロペラなどの部品はほとんど市場にありませんでしたので、すべて自社で製造していました。このリフロー装置の開発が当社にとって大きな転機となりました。
■リフロー装置に遠赤外線を採用した理由
我々がリフロー装置を手がけ始めた当初は、ちょうど国内でリフロー装置が出始めた頃でした。一方、海外には数社リフロー装置メーカーがあり、加熱方式がエア主体の所と遠赤外線主体の所があったのですが、当社が遠赤外線を選んだ理由には、第1に『小型の装置が良い』という社長の考えがありました。エアだけの加熱ではどうしても時間がかかり、また上下からの加熱も必要なので、その分装置が大きくなります。しかし遠赤外線を使用すれば、エアと同じプロファイルを取るのに、3分の2から半分ぐらいの装置サイズで済みます。この省スペース・高効率の小型機で他社と差別化を図ろうという考えは、現在も当社が製品作りにおいて継承している姿勢となっています。
なお、OEM契約は1993年に解消しましたが、その背景には、はんだ槽の製造は止め、今後はリフロー装置にターゲットを絞ろうという社の方針がありました。はんだ槽はサイズが大きく、部品点数も多いことに加え、1台1台がユーザーの要望に合わせたほとんどオーダーメイドといって良いものでした。特に噴流機構などは当社の独自設計だったため、技術的なフォローやメンテナンスに手間がかかり、販売後も手を加えなければならない点が問題でした。これに対して、リフロー装置は操作が容易で誰でも簡単に扱えること、また、新しい分野の製品であったため、こちらに特化するに至りました。
その後、1999年には鉛フリーはんだ対応の第1号機を、2003年にはN2に対応する超小型鉛フリー対応装置の生産・発売を開始しました。
■製品の省スペース化が強みに
はんだを扱う作業はその性質上、周りが汚れてしまいますし、薬品も使うので臭いも発生して環境に悪かったため、昔は、土間のようなコンクリート敷きの、半分屋外の現場での使用が主でした。最近では、電子部品もクリーンな環境下で製造するケースが多くなっています。部屋の中で作業をする以上、やはりスペースへの配慮という考えが出てきます。その流れも、製品の小型化を重視する当社の姿勢に有利に作用していると思います。さらに現在では、室内での使用を考慮し、リフロー自体からもごみを出さないように心がけています。クリーンルーム内での動作を完全に保証するリフロー装置となると値段が大きく変わるため、気軽に導入できる装置として展開をしています。
また現在、クリーンルームに完全に対応する装置を開発中です。これまでの製品とはまったく違った発想で取り組んでおり、断熱材作りから、使用する金属の変更、塗装ができない点などを考慮する必要があります。当然コストはかかりますが、クリーン度の実現を優先事項として開発を進めています。
■ユーザーのニーズを的確に汲み取る姿勢
当社が展開する製品の強みの一つに、小型という点があるため、その使い勝手の良さを重視されるユーザーで、リフロー以外の使い方をされる企業も増えてきました。様々な加熱状態を調整し、独自にアレンジした使い方をしたいという要望があるため、これに対して当社もヒート・アレンジメント・システム(HAS)で対応しています。これは、乾燥、硬化、エージング、スクリーニングなどの加熱作業全般を、多ゾーン構成でアレンジできる装置です。
ユーザーからの温度に対する要求はやはり多く、5℃でも10℃でも高く実現する能力が求められています。このため、現行機以上に強いヒータを搭載した高温対応機を、近々生産しようと考えています。この小型の高温対応製品も、今後当社の重要な製品になってくると思います。
近年、ユーザーからの要求は本当に高くなりました。以前は小型化や、使い勝手に関する要望が多かったのですが、昨今は装置の信頼性という意味で、すべてのトレーサビリティが欲しい、取れるデータは全部残したい、などの要求が増えています。また、どんな流し方をしても同じ結果が出るようにしてほしい、という意見もあります。熱を使用しますので、まったく同じ結果を出すことは難しいのですが、やはり絶対値で管理したいという要望が多く、それにどう応えていくかが今後の課題です。
さらに、当社が今後、技術的に構築していきたいと考えているのが、はんだ付けをΔtに基づいて評価するのではなく、はんだ付けの状態そのものを見て、良し悪しを評価するシステムです。今、現場の方が困っているのは、鉛フリーはんだ付けをしたけれど、1年後に剥がれてしまったり、クラックが入ったりと、基板が不具合を起こすケースが多くあることだと思います。
たとえばΔtに基づいてエア方式でプロファイルを取ったとします。そこで問題がなかったため、その設定で行おうとしても、実装の際にチップが飛んでしまって、結局、風速を下げなければならないことがあります。この場合、本来のデータの意味がなくなってしまい、その製品の品質を評価することはできません。こうしたことから、きれいにはんだ付けできているという確認が取れる判断基準を、Δtに替わるもので設けていきたいと思っています。数字は出ているけれどなかなか良くならないと悩んでいる現場の方は多いと思いますから、それを新しい方法として紹介していきたい、と考えています。
UNIシリーズ最上位機種で大気・窒素雰囲気で
使用できる『UNI-6116H』
エレクトロニクス実装技術2008年4月号掲載

