【インタビュー】独自の強みを活かしたジャストフィットな製品開発
ヤマハ発動機株式会社
ヤマハブランドのマウンタが誕生してから、今年でちょうど20周年を迎えたヤマハ発動機(株)。マウンタの出荷台数が2万台を突破したニュースも記憶に新しい。加藤敏純カンパニープレジデントに、同社の歴史と今後の展望について伺った。
★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★
IMカンパニー
カンパニープレジデント 主管
加藤 敏純 氏
■『モジュール思想』を提唱
当社は1955年に設立され、オートバイを中心とした商品展開を行ってきました。技術的なコアは小型エンジンにあり、そのエンジン技術を使って船外機や発電機、ゴルフカーなども開発してきました。
社内カンパニーであるIMカンパニーは、1984年に設立されました。1980年代前半に、社内から自社のエンジンを自動組み立てする小型組み立てロボットを開発して欲しいという要望があり、それに応える形で、組み立てロボットを開発したのがそもそもの始まりです。その後、国内のあるメーカーから、XYロボット式のマウンタの開発依頼を受けました。当時のマウンタは、大型のロータリ式高速機が主流だったのですが、当社はOEMで約2年間、XYロボット式のマウンタを開発・製造していました。
そして、1987年からヤマハブランドでのマウンタを開発・製造・販売し始めました。XYロボットをベースの機構とし、ロボットの汎用コントローラを搭載して、新たにチップ部品を掴むためのメカチャックを開発しました。当時、マウンタ市場の9割は大型のロータリ型高速機で、当社は残り1割の市場に参入したんです。
その頃から、チップ部品の小型化がどんどん加速していきました。一方で、半導体や異形部品など、これまで挿入実装だったものが表面実装に変わってきたのです。
メカチャックでチップ部品を掴む方式は、高精度というわけではありませんでした。メカニカルな位置合わせをしていたため、チップ部品が大きい時には問題にならない程度の少しのずれでも、部品自体が小さくなると大きなものになってしまいました。さらに、1608チップ部品が普及し始めた頃から、チップ割れが起こり始めました。このような経緯があり、1992年、チャックレスで全部品を吸着し、カメラで認識、搭載するフルビジョン方式を開発しました。これが、技術的なターニングポイントだったと思います。
1996年には、現在でも主力となっているモジュール型マウンタYV100を開発し、『モジュール思想』を打ち出しました。それ以前のマウンタのライン構成は、ロータリ型高速機と異形機の組み合わせが主流だったのですが、当社は小さいマシンを3連結、4連結にすることを提案したわけです。そこで、段取り替えロス、部品補充ロス、ラインバランスロス、マシン空転ロスの『4大ロスの削減』を提唱しました。
■国内では車載基板がメイン
当社のマウンタ市場でのシェアは、台数ベースで年平均17~18%を確保しています。出荷状況を地域別に見ると、中国が断然多いです。2000年にITバブルがはじけて以降、量産は一気に中国一極集中になりましたが、最近では外資企業に対する優遇税制がなくなったり、人件費も上がりつつあり、中国で生産をするメリットは徐々に薄れてきたのではないかと感じています。とはいえ、当面は巨大市場であることは間違いありません。
一方、国内では車載関係が多いです。当社の調べでは、国内で生産されている車載基板のうち、約40%は当社のマウンタで生産しています。また国内向けに出荷しているマウンタの約40%は、何らかの車載基板を生産しています。カーナビ、カーオーディオなど自動車に搭載される機能が増えるに従って、車載基板もどんどん増えています。
近年、設備メーカーに対する価格要求がますます厳しくなってきています。これは、高機能なエレクトロニクス機器の市場が、先進国オンリーから世界的に広がり、ものの価格が下落しているからだと考えられます。セットメーカーは市場シェアを取るために価格を下げますが、そのためには設備投資を安く済ませなければならないからです。
■『四つの強み』をさらに強化
IMカンパニーとしての旗印は『ジャストフィットソリューションNo.1』です。要は、それぞれの顧客に合わせて対応していく、ということです。
当社マウンタの一番の特徴は、オフラインソフトが充実していることです。メカの部分だけではできないこと、いかに前段取りを削減するかということに視点を置いて開発しています。最初は、それぞれの顧客に合わせて特注で対応し、顧客の要望を聞きながら一緒に進化させていきます。それを横展開して、ラインアップを拡充していっています。こうした動きが『ジャストフィットソリューション』に繋がっていると思います。
当社独自の強みは四つあると考えています。
一つ目は、製販技一体ということです。開発、製造、営業、サービス、調達、管理、全部含めて同じ場所で一緒にやっています。これによってユーザーの要求に素早く対応でき、事業のスピードを速く保つメリットがあります。
二つ目は、マウンタは様々な技術の複合体といえますが、そのコア部分の技術を自社内で開発していることです。
三つ目は、受注の増減に柔軟に対応できる体制が整っていることです。
四つ目は、販売・サービス網の強さです。外販を始めて約20年になりますが、これまでずっと同じ代理店に販売をお願いしています。代理店は増えてはいますが、1社も離れてはいません。海外は1ヶ国1代理店で、サポートサービスもお願いしています。
この四つをさらに進化させ、磨きをかけていくことがこれからの課題だと思っています。
■サービス力で顧客満足度を向上
よりコンパクトで、より早く、より高機能、より安いマシン。今後、求められるのはそういうマウンタだと思います。それぞれの顧客、それぞれの製品に対して、どこまで多様なニーズに応えていけるかということが、先に述べました『ジャストフィットソリューション』に繋がると考えています。
実装業界では、マウンタメーカーがトレンドを作るのではなく、部品メーカーの進化に合わせて装置側が進化して、そこに一つのトレンドができるという傾向が強いと思います。近年、SMTに半導体製造が融合してきていますので、我々マウンタメーカーにはさらなる進化が求められるでしょう。
現在、中国の深 、上海には営業サービス拠点を置いています。また、現在タイには営業しかおりませんが、年内にはサービスも置きます。さらに、ベトナムにも来年初頭までにサービス拠点を置く予定です。ベトナムではすでに当社のマウンタが100台くらい稼動しているので、そのサポートと、今後の顧客の設備計画に対応するつもりです。代理店だけではカバーしきれない部分を、現地拠点を作ってサポートしていこうと考えています。
やはり、大切なのは市場でのサービス力だと思います。どんなに優れた機械でも、不具合や故障がゼロということはありえません。とはいえ生産がストップすれば甚大な支障があるわけで、復旧までのサポートをいかに行うかという部分で、サービス力が問われます。ここが強くなければ、勝ち残っていけません。最終的に必要なのは、顧客の満足度をいかに高められるか、ということだと思います。
エレクトロニクス実装技術2007年11月号掲載

