【インタビュー】高周波帯域のノイズに対応するグランディング対策と自動実装対応
北川工業株式会社
電磁波環境対策部材を開発し、情報化社会という概念が始まる以前から電磁波問題へのソリューション技術を提案してきた北川工業(株)。高周波帯域のノイズ対策に対応するグランディング製品、さらに基板への自動実装に対応したグランディングパーツについて池田 浩之 EMC営業部長代行に話を伺った。
★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★
■20数年前から電磁波問題への技術を提案
当社は1963年に設立し、エレクトロニクス機器や部品のコンポーネントの製造販売を行っています。EMC関連、熱関連、振動・衝撃関連、ファスニング関連の部材、機能性材料の開発を行い、ユーザーの様々な機器の企画、設計段階での提案から解析まで、トータル的なサポートを提供しています。
1984年からは電磁波環境対策部材を開発し、情報化社会という概念が始まる以前から電磁波問題へのソリューション技術を提案してきました。今は、電磁波環境コンポーネントが当社の中心的な製品となっています。ノイズ対策製品はフェライトコアを中心としたフィルタリング対策部品、グランディング対策部品、シールディング対策部品が三つの柱となっています。今回はオンボードコンタクト(自動実装対応)を含めたグランディングの製品について話してみたいと思います。
■高周波帯域のノイズ対策に対応するグランディング対策
今日のノイズ対策でユーザーが困っておられるのは、高周波化に対する対策です。従来は500MHz以下で問題になるケースが多かったのですが、最近では500MHz以上で困られるユーザーが非常に増えてきています。これは、CPUの高速処理がさらに進んできたことと、装置の中に無線機能をもった部品を搭載することが多くなってきたためです。機器が自分で出したノイズを自分で拾ってしまう、自家中毒とか内部干渉といわれている現象です。
EMC(電磁環境両立性)問題は、VCCI、FCCなどの規格により対策が行われてきました。EMCは、機器からノイズを出さない対策をするEMI対策と、ノイズを受けても誤動作を起こさない対策をするEMS対策があり、シールディング、フィルタリングでの対策が主になります。しかし、機器が自分で出したノイズを自分で受ける障害は、外に出さない、外から受けないという対策とは違った対策をとる必要があります。
そこで注目されているのがグランディング対策で、回路の信号線に共通電位を与え、回路の動作安定を図る目的で行います。具体的にはシグナルグランドをフレームグランドとなる筐体に接続し、ノイズレベルを全体的に抑える方法です。それにより、シグナルグランドを流れる帰路電流が低インピーダンスでかつ短距離の経路となることにより、グランドの電圧を安定させる方法です。無線など、高周波帯域の部品を使うときは、このグランディング対策を行ったうえで、フィルタ対策、シールディング対策を考えられたほうが早い問題解決につながっていきます。
グランディング対策は昔からあり、グランドへの接地配線は導線を使う方法もありますが、基板を筐体に留めるための金属のスペーサや板金を折り曲げたものを、ねじで留めることにより導線の代わりを果す方法も行われてきました。ところが、ねじを使うと作業性が悪く部品点数が増えますので、樹脂製の基板の固定具・スペーサが使われるようになりました。基板にワンタッチで差し込め、筐体の穴にワンタッチで留めるものです。これは、当社が44年前に日本に紹介したのが始まりで、改良・開発したものを製品化しました。しかし、このスペーサは樹脂製ですので電気的な導通が取れず、グランディング対策にはなりません。そこで、樹脂製スペーサに金属を取り付け、グランディング機能を加えたものが、『FGスペーサー』です。
グランディング対策において、できるだけ基板から多点で接点ポイントを取ることにより、基板のインピーダンスが下がり、効果的なノイズ対策となります。なお、接点を取るときは、太く短く接続する方がより効果的です。当社では、接点を取るためのグランディング対策部品として、基板の中央部でも容易に取り付けられ、作業性がよい樹脂製の『FGスペーサー』があります。また、基板レールにグランディング機能を加えた『FGガイドレール』、金属メッシュを絶縁皮膜で覆い、高周波数帯域でのインピーダンス特性に優れた『FGメッシュ』、金属箔を皮膜で覆い、柔軟性に優れ狭いスペースでの使用ができる『FGストラップ』、本体が樹脂製で導電部に銅箔を使用し、ケーブルを傷つける心配のない『FGクランプ』などがあります。
■グランディング部品を自動実装対応
グランディング対策の発想の中に、基板と部品、または基板と基板の導通を取るという考えがあります。たとえば、筐体に近い基板ともう一つ内側の基板と導通させることにより、内側の電流を筐体に逃がすという考えです。当社は、以前から色々なガスケットを扱っていますが、スポンジに導電性の布やアルミ箔を巻いたもの、ワイヤメッシュや芯を入れたワイヤメッシュなどのガスケットがあります。それを、基板と基板の間に挟むことで、導通を取ることに使います。一見、シールディングしているようですが、使う側はグランディング対策を意識し、10、20cmに切って使われます。また、シールディングとして使っているつもりでも、結果的にグランディング対策になっていることもあります。
これは基板に付けて使われるものですから、基板に自動実装できるようにと考え開発したものが『オンボードコンタクト』です。今は金属のばね状のものですが、最初の発想がガスケットでしたので、その名残として今の商品にもオンボード・ガスケットのOGが使われています。当初は、テーピングしてしまえば実装できるだろうと思っていましたが、実際にはそれほど単純ではなく開発には苦労しました。一見すると構造部品でばねの形状などのメカ的な技術だけのようですが、EMI対策で使われるので、電気的な要素が必要となってきます。電気的なところは、当社もEMI製品を作っておりある程度の知識と経験がありましたので、それなりのところはクリアしました。しかし、基板上に実装しますので、実装するためのノウハウというものが必要でした。マウンタメーカーによって搭載する方法などが違っていたり、同じメーカーでもマウンタの種類によって性格が違うものです。マウンタは四角い部品を搭載するために作られていますので、マウンタメーカーからすれば異形部品になります。当社もできるだけ四角に近い形を考えたり、接点の角度を考えたりマウンタに関してはずいぶんと勉強しました。
オンボードコンタクトの開発がスタートしたのは約10年前で、携帯電話用として実用化したのは5、6年前になります。
その間に、小型化の要求もありましたが、小型化は単純に寸法を詰めれば良いというものではなく、ばね性なども考えなければいけません。そういうサイズ的なところとか、先ほどの実装性の面とかの細かい改良を繰り返し、コンセプト的には今のもので4世代目です。オンボードコンタクトのほかに、はんだフラックスによる接点不良の問題を解消し、基板のFG強化の際や、接点部での信頼性を確保する『オンボードラグ端子』があります。今後の展開としては、シリーズの幅を広げ、他の装置にも使えるようにしていきたいと思っています。今までもある程度はシリーズ化していましたが、接点の広さ、背の高さ、接点の圧力などいろいろな種類をもち、ユーザーの要求に応えていきたいと思っています。現状、これが一番要求に近いというものを使っていただいていますので、今後も数を多くもつことにより、より要求に近いものを使っていただきたいと考えております。
グランディング製品については、今後もますますユーザーの要求が高まっていくと思います。当社も数多くの種類を製品化する過程で、様々なノウハウをもつことができます。
ユーザーの要望は製品ごとに違い、数多くあります。EMC対策でのポイントは、何が有効かという確実なデータは存在しませんので、いろいろな対策手法を試みて、もっとも効果が得られるやり方を模索するというのが一般的です。そのため、当社ではサンプルの提供を行っており、ユーザー製品の効果を試していただいています。サンプルの提供は当社のウエブブサイトからも受け付けており、ご好評をいただいております。
エレクトロニクス実装技術2007年8月号掲載





