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2009年9月28日 (月)

【インタビュー】部品搭載以外の作業を限りなくゼロに

シーメンス株式会社

★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★

Jisso000
自動制御ドライブシステム事業部
電子生産システム部
部長 矢野 信彦 氏

■総合電機メーカーが作る実装機

 独シーメンス社は、情報通信からオートメーション&コントロール、交通、電力、医療、照明にまで及ぶ、電機・エレクトロニクス分野におけるグローバルメーカーです。世界190個所に拠点を置き、2006年期(当社決算期での2005年10月~2006年9月)の売上高は873 億ユーロ、従業員数は連結ベースで4 7 万5,000人となっています。
 オートメーション&ドライブグループ(A&D)は、生産・プロセス産業と電気設備産業向け汎用製品、工作機械や自動車生産工場及び化学工場の全工程のオートメーションなどすべての産業のシステムソリューションの事業を行っています。この他、生産プロセス最適化のための生産管理ソフトウエア(統合ITソリューション)も提供しています。A&Dは世界に7万528人の従業員を擁し、2006年期の営業利益は15億7,200万ユーロ、売上高は128億4,800万ユーロ、受注高は141億800万ユーロとなりました。電子生産システム部はA&Dの一部門で、実装機『SIPLACE』を製造し、その斬新な共通プラットフォームと高速モジュラ実装のコンセプトを通じて業績を上げています。SIPLACEは、基本的にドイツ国内で開発、製造が行われ、世界中に出荷しています。
 シーメンス㈱は、独シーメンス社の日本法人で1887年に日本に最初の事務所を開設以来、情報・通信、自動制御システム、エネルギー、医療機器、照明などの分野に事業を展開してきました。1990年代半ばにこれまで当社が入り込めていなかった日本の実装機市場を本格調査し、携帯電話のバブルが始まったばかりで弱電業界がまだまだ伸びるであろうという予測から、自動制御ドライブシステム事業部電子生産システム部を1999年に開所し、高速モジュラ実装システム、生産の最適化を図る洗練されたソフトウエア、マシン保守サービス、トレーニング、部品保守の他、最適解を提案する技術サポートを日本国内及び海外日系のクライアントに行ってきています。また日本では、自動車産業や通信事業のクライアントを中心に実装機を提供しています。

■実装機の市場動向

 世界の実装機の市場規模は、アジア全体のシェアが約7割、欧米が約3割と推定されています。2005年期(2004年10月~2005年9月)から2006年期にかけての成長率が世界全体で約20%伸長し、欧州と米国での伸び率が平均より高かったと把握しています。その他アジアでは、インド市場の伸びが顕著でした。しかし、2007年期(2006年10月~2007年9月)の市場全体の成長は昨年ほど高くないと予想しています。
 シーメンス社の世界の地域別販売実績は、次世代プラットフォームSIPLACE Xシリーズ及び昨年発表した新しい標準モデルSIPLACE Dシリーズが好評を得て、全体に良い結果となりました。特に欧州、中国、東南アジアなどで好調な受注がありました。2007年はインド、東欧などの新しいマーケットでの伸びに期待しています。

■堅牢なシーメンスの実装機

 シーメンス社は、1990年代初めより現在業界で主流になっている高速モジュラタイプの実装機を開発、販売しています。これは、ハード・ソフトとも革新的なコア技術を継続して開発する組織が自社内にあることが大きな要因となっています。特徴は高いモジュラ性で、ヘッド及びガントリを生産要求によって最適に構成し、生産要求の変化に応じて再構成することができることです。またもう一つの大きな特徴が機種間の共通性であり、実装ヘッド、フィーダ、ソフトウエアなどに互換性があり、在庫の低減、トレーニングの短期化を実現することができます。業界に先駆けてリニアモータを駆動軸に採用し、装着時の加圧制御、デジタル式の高解像度部品認識システムに代表される機能で装着精度を高め、実装品質の向上を達成しています。そして、カーボンコンポジットという軽材料を使用することにより、ヘッド駆動の速さと搭載精度を上げています。最先端の素材、技術を追い求めることにより、搭載精度と高速性が実現するのです。さらに、ラインコントロールと連動する自動オフラインビジョンデータ作成装置と最適化ソフトウエアなどにより、迅速な新機種立ち上げをサポートしています。多品種小ロット生産に有用なジョブのクラスタリングソフトウエアやデュアル搬送生産、バイパス生産を可能にするコンベアシステムなど生産性を最大限に高めるオプションも用意されています。
 SIPLACE Xシリーズは、1時間当たりの最高実装点数8万個という実装速度を達成していますが、シーメンス社では実装速度の表記において、いわゆる最適条件での理論値ではなく、可能な限り実生産に近い形で実装した実測値をカタログ、仕様書に記載しています。このため、カタログ値と実生産数との差が少ないこと、加えてシミュレーション精度が高いことがクライアントから非常に評価されています。

■部品搭載以外の作業をゼロに

 製品メーカーからの要求は、『軽』『薄』『短』『適』というトレンドに動いています。
 『軽』『薄』は製品の小型化です。本体の小型化により微小部品、低背型の電子部品を高密度、狭隣接、多重に実装する対応が必要となっています。より実装精度が高く、実装圧制御やセンシング技術の優れたマシンへの要求が増えていますが、これらの微小部品の搭載はリワークを行うことが非常に難しいため、実装不良を防ぐ機能が求められています。
 『短』『適』は製品ライフサイクル及びデリバリのトレンドです。製品サイクルの短期化にともない、製品垂直立ち上げの要求が高まっています。また、適量を最適なタイミング、コストで納品することを求められているため、生産現場では多品種小ロット生産に対応しなければなりません。部品データ作成をより短時間で行い、段取り替えのしやすい実装システムや、厳しいデリバリや生産コストの削減に対応する状況下でも操作が容易で、オペレータが習得しやすいマシンの要求が高まっています。
 実装機を作る上でもっとも重要なのは、機械の剛性と考えています。短時間に加減速を繰り返す機械は、本体がしっかりしていないときちんと動きません。当社のデモセンターでは、新しい装着部品や基板デザインにともなう実装評価などを行うことができます。以前、クライアントとSIPLACEのデモを行った際に、実装機の上に500円玉を立てたまま実装を行ったことがあるのですが、実装後も500円玉が倒れないことにクライアントがびっくりされていました。このように堅牢な駆体と確かな制御技術により、搭載精度が成り立ち、ここで高速性も発揮されることになります。
 当社は、『軽』『薄』『短』『適』といった製品メーカーの要求を念頭に、今後の開発を進めていく所存です。高性能な実装機を作ることはもちろんですが、実装機の仕事は部品をプリント配線板に載せることなので、それ以外の作業を限りなくゼロに近づけることが究極の目標です。

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実装技術2007年4月号掲載

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