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2009年9月18日 (金)

矢野経済、2009年世界の太陽電池市場に関する調査を公表

~2008年世界の太陽電池生産量は6.5GWと前年から大きく成長も、2009年は足踏み状態、「作れば売れる」から「いかに売るか」へ~

株式会社 矢野経済研究所

【調査要綱】
株式会社矢野経済研究所は、次の調査要綱にて世界の太陽電池市場の調査を実施した。
1.調査期間:2009年4月~7月
2.調査対象:太陽電池セル・モジュールメーカー、製造装置メーカー等
3.調査方法:同社専門研究員による直接面談ならびに文献調査併用

<太陽電池市場とは>
本調査における太陽電池市場とは、結晶Si太陽電池、薄膜Si太陽電池、CdTe太陽電池、化合物系(CIS・CIGS)太陽電池、色素増感太陽電池の主要5分野を対象とする。

【調査結果サマリー】
■2008年世界の太陽電池生産量は6.5GWと前年から大きく成長も、2009年は足踏み状態、「作れば売れる」から「いかに売るか」へ
 2008年秋を分岐点に太陽電池市場の様相が一変している。発火点はスペインのフィードインタリフ制度(FIT)の大幅な見直しであったが、同時期に米国発の金融危機が表面化した。世界的な景気低迷の波が徐々に太陽電池市場にも波及し、需要をさらに冷え込ませる要因となった。
 2009年世界の太陽電池生産量は下期の状況次第ではあるが、8.3GWの見込みである。太陽光発電システムの導入量はこれを下回る水準になるものとみられるが、工場の稼働率をある程度確保すべく生産量を増やす傾向にあり、太陽電池メーカー間の価格競争が激化している。

■本格的な需要拡大が期待された薄膜Si太陽電池、2009年は計画を大幅に下回る500MW前後の生産量に止まる見通し
 薄膜Si太陽電池は、Si原料の使用量の少なさからポリシリコン価格が高騰していた2006年頃より注目度が上昇、製造装置メーカーのターンキーシステムの市場投入と相まって参入メーカーが急激に増加した。しかし、金融危機以降、太陽電池の需要が停滞、それまで逼迫化していたポリシリコンの需給バランスが軟化したことにより、ポリシリコンの価格が急落している。これに伴い、結晶Si太陽電池の価格も半値近くにまで下落、変換効率の劣る薄膜Si太陽電池は市場での競争力が低下している。

【 調査結果の概要 】
1.市場概況
1-1.結晶Si太陽電池
 2008年の結晶Siセルの生産量は5.6GWと推計した。この2年で市場は2.5倍程度にまで膨らんだが、2009年上期は太陽光発電システムの導入量が伸び悩んでいることから、これまでのような伸びは期待しにくい状況にある。
 また、2008年秋以降、需要停滞に伴い高騰し続けていたポリシリコン価格が急落、結晶Si太陽電池メーカー間の価格競争が激化している。実際、2008年9月の時点まで3.5米ドル/W前後のレンジにあったセル価格は2009年春に2.0米ドル/Wを下回るレベルまで落ち込んでおり、結晶Si太陽電池メーカーの収益が悪化している。そのため、結晶Si太陽電池メーカーでは変換効率の向上、低コスト化に向けた取り組みをこれまで以上に強化している。
 セルの高効率化としてはバックコンタクト方式(注)の適用や表面テクスチャの改良、電極の細線化などが主だった取り組みとして挙げられるが、このほか、中国、台湾メーカーを中心に研究開発が進められているN型基板を使用した「Nタイプ」も浮上しており、高効率化に向け、どういった技術を選ぶかといった点が今後の焦点となりつつある。
(注)通常は表裏に配置されている電極が裏面のみに配置されたセル

1-2. 薄膜Si太陽電池
 薄膜Si太陽電池はポリシリコンの需給が逼迫化した2007年頃を境に、そのSi材料の使用量の少なさから参入メーカーが増加、生産量も2007年165MW、2008年357MWと順調に拡大していた。しかし、2009年は500MW前後に生産量が止まる見込みである。
 薄膜Si太陽電池と結晶Si太陽電池の価格差が縮小する傾向にあることに加え、相次いで導入されたターンキーシステム(注1)の稼働が遅れていること、さらには、期待されたタンデム(多接合型)の量産も立ち遅れていることが要因として挙げられる。
 薄膜Si太陽電池が今後確実に市場に定着できるのかについては業界でも大きな関心事となっている。
 Cdの安全性やTeの有限性を指摘する声は根強いが、市場でプライスリーダーのポジションを確立した米国大手が太陽電池メーカーにとって一つのベンチマークとなりつつあるのも事実で、特に薄膜Si太陽電池メーカーにとっては変換効率の向上をはじめ、歩留りの改善や部材コストの削減などメーカーとしての力がまさに問われる局面となっている。
(注1)装置メーカーが出力等を保証した薄膜Si太陽電池の製造ライン一式

1-3. 化合物系(CIS・CIGS)太陽電池
 CIGS太陽電池の生産量は2007年20MW、2008年50MWと推移した。2009年はこれまで中心であった欧州需要は低調であるが、参入企業の増加などにより180MW程度に拡大する見通しである。
 CIGS太陽電池は研究レベルで20%近い変換効率を実現しており、ポテンシャルを含めた変換効率の高さから結晶Si太陽電池と競争できる太陽電池として注目が高まっている。トップランナーである国内大手が追加的な工場設立計画を明らかにするなど、増産に向けた動きも活発化しているが、結晶Si太陽電池などと競合していく上では安定かつコスト安な量産技術の確立が急がれる。

1-4. 色素増感太陽電池
 色素増感太陽電池は、塗布・印刷工程が中心のため製造コストが低い、室内など光量が少ない環境下でも安定して発電することができるといったメリットから次世代太陽電池の1つとして注目を集める。2009年3月にはスイスの研究グループが12%を超える変換効率を達成するなど、小面積セルで高効率が進んでいる。一方、耐久性や大型化の点では未だ課題を残しているため、発電用としての実用化は2015年頃になるものと予測する。

2. 将来展望
 現在の市場環境は世界的な景気後退の煽りを受けた一過性のものと言うことができる。今後も地球温暖化対策を目的とした自然エネルギーへの転換の一手段として、太陽光発電の導入が積極的に図られていく潮流にあり、市場も引き続き拡大していくことが予測される。しかし、これまで順調にシェアを拡大してきた大手が苦戦し、競合の追随を許すなど、2009年はメーカー間の競争が激化してきている。
 市場は「作れば売れる」から「いかに売るか」へと一変している。メーカーもただ原料を確保し、生産能力を拡大するのではなく、今後太陽電池事業をどのように拡大していくのか、その戦略が極めて重要性を持つようになっている。今は技術や生産規模だけでなく、事業領域やプロダクトミックス、設備投資、技術ポジションなどを多面的かつ戦略的に判断することが求められる。

http://www.yano.co.jp/press/press.php/000527

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