【試験機の絵本】‘09からの発信 ー第9回 スリンガー方式の定荷重疲労試験機ー
本試験機は、Sling(投石)から来る名前の通り、遠心力や求心力を利用して定荷重疲労試験を行う機械である。
機械本体は図1のような縦型のフレームで、正面中央部のロードセル、試料、下部内部にあるアンバランスな回転体とで荷重系を構成し、試験機の上下動が試料に作用することで繰り返し試験を行う。図2は機械の一部分で、軽合金を主体とした枠体でできている起振部。内部に回転軸をもつ左右4個のローラで支持され、錘が左右に移動することによりアンバランスの状態を作る。図3は、ねじ送りによるアンバランス設定を表した表。Aとは左右のバランがとれた0の常態であり、Bの場合は離心量最大のアンバランス量となるが、これと接続された延長軸のモータ駆動と計測制御盤(図4)の設定速度によって、サイン波は図5 ①~⑥、図6のような波形で上下方向の成分を扱うことになり最終的には自動停止する。
ところで、このような疲労試験機は機械の振動が多いので、他械への影響を避けるため防振の基礎工事をお勧めしたい。図7はその例で、コンクリートフロアの一部にプール状の穴を掘り、機械のベースに大形のコンクリートブロックを取り付け、穴とブロックの間に砂を詰めて防振する方法。計測ワゴンは独立移動式で、機械とはケーブル接続となる。
■設計について■
このような試験機を計画する場合には、試験目的についてユーザーと綿密な打ち合わせが必要である。この機械の場合、試験機の試料と起振部分がサイズ的に直接繋がっているため、振動が干渉して伸び(変形)の大きな試料に適していないこともある。
試験に適した試料としては、プリント基板、はんだ付けをした金属板、接着/圧着/圧接(スポット溶接)かしめなどの半接続の部品、モールド(埋め込み)、リード端子、ボンディングなどであるが、いずれも小型部品が多いので、取り付けには治具を用いて引っ張り、圧縮、曲げの試験に準じて行う。
また逆に、ソケットとコンセントのような組み合わせで行う部品を一体として試験することや、光学/磁気の無接点スイッチや機械的なマイクロスイッチなど広範な使用目的がある。
■試験機の仕様■
試験項目 引っ張り、圧縮、曲げ、定荷重繰り返し疲労試験機
試料形状 長さMAX150mm
荷重 MAX±15kg
回転速度 1000rpm
電源電圧 AC100V 200W
計測方式 ①X-Y-T ペン書き記録計
②サイン波サイクルカウンタ、振動計
③ロードセルによる荷重計測
④速度設定及び計測と自動停止
■操作について■
この試験機は、引っ張り(図8)、圧縮(図9)、曲げ(図10)の3種類を基本とするサイン波の繰り返し疲労試験機で、治具を用いて広範囲の試験に適応することができる。試料を含む全長の違いは上のハンドルと微調ロックナットで調整し、この系統が繋がった状態で静的な調整の後に起振部(図2)と計測制御盤(図4)の操作を加えるとサイン波で増幅でき、荷重も±両方向に設定できるようになっている。
図8
図9
図10
・起振部
アンバランスの設定をする場合には、起振部のマスクを外し、錘はねじ送りで一体のまま移動してAの0バランスの状態からBの離振間隔最大まで連続的設定できるので、表から求めてロックしておく。更にマスクを取り付け延長軸と自在ジョイントで接続された外部のモータの動きを点検しておく。
・計測制御盤
計測制御盤からモータの電源を入れると、図5 ④のサイン波がRUN状態となり、荷重系統に入れられたロードセルとアンプにより力(荷重)計測が可能になって、必要があればレコーダのX-Y-Tに記録される。これが試験機の正常運転の状態で、試験にはカウンタのリセットをしてから入る。
・運転/停止
この試験では、正常な状態よりも破断などの異常に到る時間や回数が重要な試験データとなるため、荷重検出回路に入れたコンパレータのオーバー時には信号を出して試験終了となり、回数カウントが残る。
歪み計測:本機の場合はmmオーダーの計測するものとして作動トランス方式とした
振動計:機械部に異常が生じた場合独立振動センサが必要で停止信号を出す
試料の動作に異常が生じたときに計測信号を出す
著者:飯野 純夫






