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2009年8月17日 (月)

【企業レポート】現代の名工に聞いた 『ものづくり』を支える 確かな技術

 ソニーマニュファクチュアリングシステムズ(株)モールドデバイス部部長・尾崎勝氏は、2008年度の『現代の名工』として42歳の若さで選出された。
『現代の名工』は『卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者』を表彰する制度。42歳の尾崎氏は今回の最年少受賞者で歴代7位の若さである。授賞理由は『金属工作機械工として、工作機械製造の面で幅広く優れた技能を有している。特に、フライス盤においては、自ら高精度特殊刃具を製作し、精密・高精度な切削を行うなど、高度な技術を有している。また、ソニーの『ものづくり』後継者として、後進の育成にも尽力している。』というものだった。

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尾崎 勝 氏

 尾崎氏が働くソニーマニュファクチュアリングシステムズ(株)は、ソニー(株)の原点であるものづくりの精神を継承しながら設備機器や超精密金型、光学デバイス、計測機器などの開発・製造・販売を行う会社で、ソニーグループのものづくりのサポートを担う存在。そしてその開発の中枢で活躍するのが尾崎氏のような技術者である。 尾崎氏は同社に入社後、製造ラインに配属されたが、秀でた技術力を発揮し、試作課(現・モールドデバイス部)へ異動となり、そこで切削工具や特殊な刃物、製品の試作や量産に用いる特殊な金型の作成を手がけるようになった。そしてここでも器用さが評価され、27歳の時に統括係長に就任する。
 上長として指導にあたるため、様々な加工を覚えなければならないということで努力をし、旋盤、フライス盤、平面切削盤、工具研削盤それぞれの1級技能士を取得。中でも工具研削盤の試験においては2級、1級のいずれも埼玉県内で唯一100点満点を取り、県から金賞を受けた。「自分に特別なセンスがあるとは思っていません。ただ妥協はしたくない。試験に向けた練習の際も常に100点をとれるよう挑戦しています。こんなものかと思うとそこで終わってしまうので、どこが悪いか突き詰め練習を積み重ねる。目標をもったら絶対にそこまでやると決めるなど自分の甘さに負けず、とことんやるようにしています」。そのたゆまぬ努力がこのたびの『現代の名工』の受賞に結びついたのである。
 尾崎氏は、最近ではブルーレイディスクの超精密金型製作も行なった。
 金型を削り出す際には、何もないただ丸い材料をマシニングセンタで加工を行なうが、表と裏に加工を施す必要があるため、金属ひずみが生じてしまう。それを解除しながら作業を行なうことが重要なポイントだ。「小さな狂いと思っても、プロセスを経るうちに最終的には大きな累積公差となる。だから例えば刃の切れ味が鈍くなってきた時には、どんなに忙しくても急がば回れで刃物や工具をメンテナンスすることが大切です。そのような姿勢が技術者としての、引いては会社のもつ技術の差異に繋がっていくと思います。」
 尾崎氏は現在も製造現場の第一線で働きながら、さらに国内外で後進の育成にも尽力している。「最近はエナジー事業、バッテリ関連への技術サポートのために特に中国によく行きます。このように各生産拠点と交流し、お互いに技術を共有化することで、ソニーのものづくりの体制をより確かなものにし、今後の開発に結び付けていきたいと考えています。先ほど妥協という話をしましたが、これは人材育成も同じで、ここまで言っても無駄かなと思ってやめてしまうと、その人の成長はそこで終わってしまいます。だから常に指導や教育を継続していくことで、いつしかそれが標準となり文化になっていく。そうやってものづくりの姿勢が継承されていくのだと思います。」 尾崎氏のお話とその考え方が、同社並びにソニーグループのものづくりに対する取り組み方と、確かな品質に対する姿勢の真摯さを改めて感じさせてくれた。
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エレクトロニクス実装技術2009年3月号掲載

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