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2009年8月14日 (金)

【試験機の絵本】‘09からの発信 ー第8回 多連式試験機とBUILT-INの顛末ー

 「試験機というのは多品種少量生産だが、自動車や電化製品のような大量生産の体制を見習って、量産方式で作ることはできないだろうか?」というアイデアを元に、今回取り上げるBUILT-IN方式の試験機の設計がはじまった。しかし試験機とは、精度と安定性が最優先されるものであり、どのようにして多くの物理量データを取り出すかが設計の鍵である。そのため、精度と安定性を落とさず量産できるものを作るという点がポイントであった。それを念頭に置いて本体の設計に取り掛かり、出来上がったものが図1であったが、本体が大きすぎて納入時の運搬にてこずることになった。そこで次なる段階として小型化を目指し、輸入された外国の同等品(図1右側)を参考にしたのが、BUILT-IN方式誕生のいきさつである。

Zu1_0984_2図1

 BUILT-INとは「組み込みの、内蔵の」といった意味をもつ言葉で、製作していく中でいつの間にかついた名前であった。機械の試作を行う場合によく用いられるテーブルトップのサイズを統一し、共通の架台を作ることで試験機の量産できる点が特徴である。

BUILT-IN構成の内容は下記の通り
■ピン/Vブロック(軸受け対応形)試験機 図2
 ASTM D2670またはファレクスとメーカー名で呼ばれていた試験機。
計測は歪みゲージによるロードセル、トルクセル、アンプ/レコーダによる面圧用で、油膜の強度や焼き入れなど表面処理の強度テストに適している。

Zu2_0984_2図2

■軸受け(内接)試験機 図3
 軸とリングの組み合わせで、小さいリングが大きなリングに内接回転しているという変わり形の試験機。ミニチュアベアリング試験をする目的のドライとウエットの兼用で、空圧負荷とベンデンセルによるトルク計測をしている。

Zu3_0984_2 図3

■ローラー/チップ試験機 図4
 ローラーの円筒外周面にチップを押し付けてローラーを回転させる形式で、高面圧のテストができる。
型名 ASTM G77-91

Zu4_0984_3 図4

■往復動摩擦摩耗試験機 図5
 カード状の板にピンかチップを押し付けて直線の往復動を行う試験機で、試料形状、荷重、振幅などに標準がなく、種類も多い。微振幅のものはスクラッチ磨耗と呼ばれている。
型名 ASTM F732-82

Zu5_0984_2 図5

■ボールオンディスク試験機 図6
 アメリカでボールオンディスク試験機と呼ばれていた名前を日本でもそのまま採用した。高面圧の摩擦磨耗試験を行うことができる。インプラント社のISC2000PCがこれに近い仕様でASTM G99と呼んで、セラミック用としてはJIS R-1613に相当する。

Zu6_0984_2 図6

■ピンオン、リングオン/ディスク(TRY-S小型)試験機 図7
 このシリーズの中核となる製品で、下側の回転するディスクに対してピン、リング、ボールを接触させ、ドライかウエットの摩擦磨耗試験や、潤滑油トライボロジー試験用として油の冷却/加熱をすることもできる。
セラミック JIS R1613 に相当
型名 ATSM D2738-71
D2267-6

Zu7_0984_2 図7

■BUILT-IN試験機に応用 図8、9、10
 試作試験機ごとにケースをデザインするのは工程の支障となるため、本体を作った。
この機械は図7のピンオン、リングオン/ディスク(TRY-S小型)試験機をベースにした試験機で、まず個々の試験機は図8のような単体で組み立てられ、その詳細は図9のような機械部と電気計測部とで成り立っている。
 架台としては3~5台搭載可能で、試験機を操作しやすい高さに設計するが、各試験機の取り外しが効くようそれぞれに防振措置を施してある。図10は5連式の試作3連分である。

Zu8_0984_2 図8

Zu9_0984_2 図9

Zu10_0984_2 図10

著者:飯野 純夫

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