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2009年8月17日 (月)

【インタビュー】新たなモータ冷却方式と センサレス・ブラシレスモータの組み合わせにより 高精度高耐久性のスピンドルを実現。

新たなモータ冷却方式とセンサレス・ブラシレスモータの組み合わせにより高精度高耐久性のスピンドルを実現。

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ミニター株式会社
代表取締役社長 藤木 早敏 氏

■ミニターの沿革についてお聞かせください

藤木 : 当社は、電子計測機器の製造販売を目的として1962年に関東機器株式会社として千葉県の松戸市に設立いたしました。その後、歯科技工用のグラインダを工業用に転用できないかとの発想から、より使いやすく、より高い耐久性をもつグラインダの開発に着手、1969年に工業界では初となる精密電動グラインダ『ミニター(MINITOR)』を世に送り出しました。これが現在の『ミニター株式会社』の原点です。
 精密電動グラインダをはじめ、超音波研磨装置『ポリター』、前後揺動研磨機『レシプロン』、左右揺動研磨機『ラブロン』などの金型用研磨機器、ホビー用、彫金用、印章用などの幅広い分野での精密電動機器の開発、業界初となる手元スイッチを搭載した『ミニモ(Minimo) 7(セブン)シリーズ』を展開するなど、以来40年精密電動工具のトップブランドとして高い評価を得ています。
 お蔭様で現在では、日本のみならず、世界各国においても精密電動グラインダといえば『ミニター』『ミニモ』と代名詞となるまでに育てて頂きました。

01 ミニモ

■ミニターの総合カタログについてお聞かせください

藤木 : 1990年に、従来には無かったグラインダには欠かせない消耗工具を中心とした『センタンツール総合カタログ』を第15回JIMTOF大阪(国際工作見本市)に合わせ発刊しました。
 その当時、本当に欲しいセンタンツールをお客様が入手するためには、手間でも商品ごとに異なるカタログを入手し、それを元に検討、購入されるのが一般的でした。現在ではインターネットなどの普及により、比較的簡単に欲しいものの情報が手に入りますが、当時は今のようにはいきません。仕方なくお客様は、いつも使われる工具で何とか工夫してその場を凌ごうとされる現場も数多く目にしました。
 このことから『センタンツール総合カタログ』の制作においては、加工現場で必要と思われる消耗工具をできる限りたくさん網羅し、また商品も原寸大のイラストや写真を用いできるだけ見やすく、レイアウトも種類や形状、サイズや粒度ごとに系統立て選びやすくなるよう取り組みました。
 完成までには約1年半を要しましたが、それらをすべて踏襲し約4,000種類のセンタンツールで構成されるA4版380ページのカタログを1990年のJIMTOFでリリースすることができました。当時非常に大きな反響があったことを今でもよく覚えています。
 以降『ミニター総合カタログ』と名称を変えていますが、毎年内容について吟味を重ね、単に商品を見せるだけではなく、機器と工具の相性であったり、ノウハウであったり、切削、研削、研磨の技術など、より見やすく、より選びやすいカタログを目指し、現在では約6,000種類のセンタンツールを取り扱っています。

■ミニターの強みについてお聞かせください

藤木 : わたしたちは、精密電動工具、センタンツールの長年の開発、製造、販売により培った技術と知識により、単に精密電動工具やセンタンツールを販売するのではなく、どのように削り、どのように磨き、どのように加工すれば効率化できるのか、それら加工全体のノウハウでの提供に強みがあると考えています。
 また、2007年には、それまでのハンドユースで培ってきた技術から、市場のニーズである自動化、省力化分野に『産業用機器装着用モータースピンドル スフィーダ(SFIDA)』を投入しました。今後は、『精密電動工具ミニモ Minimo』と『精密研削研磨工具センタンツール』に加え、新たに『スフィーダ (SFIDA)』の3つのブランドで切削、研削、研磨、穴あけ加工をトータルでサポートさせて頂けると考えています。
02 センタンツール

■スフィーダの開発の話、特徴などについてお聞かせください

藤木 : 『スフィーダ』とはイタリア語で『挑戦をする』という意味で、常にチャレンジ精神をもち従来の常識にとらわれずに挑戦していこうという気持ちを込めています。
 すでに機械装着用のスピンドルは競合他社から発売されており、当社は後発となりますが、実は開発に着手したのは完成の6年前の2001年からでした。我々の従来からの主力製品である、ハンドユースのミニモとの大きな違いは、その耐久性と安定性にあると考えました。自身で手に持ち作業する場合には、機器の調子を肌で感じることができ、自然に力を加減して使用していただけます。しかし、工作機械や装置に組み込んだ場合はどうでしょうか。機器の調子は、実際に加工を行った後のミスや加工時の工具破損として現れます。ハンドユースのように加工時に音の調子や感覚では判断することはできません。そのために、スピンドルにおける安定性や耐久性をいかに上げるかを念頭に開発をいたしました。
 当初はモータの開発から着手し、完成までには時間を費やしてきました。この製品の中には私たちの培ってきた経験と技術が凝縮されています。
 スフィーダは、センサレスブラシレスモータを採用しています。このセンサレスモータの採用は他社と大きく異なる点です。一般的なブラシレスモータには磁極位置検出センサを付けていますが、磁極位置検出センサは、細かい振動や熱に弱く、過酷な条件下で使用するとセンサの故障によるモータトラブルの原因となることがあります。その場合、モータユニットを丸ごと取り替えなければならなくなることも起こりえます。つまりセンサレスにすることで、この要因を少なくできると考えたわけです。
 ただ、磁極位置検出センサがないため、モータの位置情報が不足し起動時の動きに課題が残りました。しかし、それをクリアする技術を開発し、起動時の動きはセンサ付きのものに限りなく近くなっています。この誤差は、機械装着用のスピンドルとすればそれほど大きな問題ではなく、センサレス方式を採用するメリットの方がはるかに高いと自負しています。
 スフィーダのもう一つの大きな特徴として、ジャケット冷却方式を用いていることが挙げられます。スピンドルは高速回転にて加工を行うものですので、常に発熱をする要因を多くもっています。しかし、この発熱と耐久性も常に隣り合わせに存在するのです。耐久性を上げるために駆動部分を冷却しなければなりませんが、ベアリングに直接冷却エアを入れてしまうと、グリスを吹き飛ばすことにもなりますし、冷却エアがクリーンでないと、ベアリングや駆動部に損傷を起こす原因ともなってしまいます。これを克服するために取り組んだのがジャケット冷却方式です。当初はジャケットではなく、シャフトの中やベアリングの中に空気を通すことを考えていたのですが、耐久性を劣化させるリスクを伴うため、それならばベアリングの外側に空気を通すことで冷却をしようと考えたわけです。
 ただし、冷却効率が落ちてしまうこともあり、その冷却エアの取り回しに苦労しました。ベアリングのあるスピンドル部とモータ部をユニット化して、その外側に冷却用の空気を通し、まさにスピンドル駆動部が空気のジャケットをまとうようにしたのです。この仕様により、ベアリングの清浄度が保たれベアリングの耐久性は大幅に向上しました。ジャケット冷却方式を採用しているのは、φ30のモータースピンドルではミニターのスフィーダだけです。
 その他スフィーダの特筆すべき点は、スピンドルとモータを一体構造とした点です。他社の機械装着用のスピンドルは分割型になっていますが、スフィーダは、モータとスピンドルが分かれていない一体構造にしました。一体化することでモータ出力軸を短くすることができ、ねじれによる破損が起こりづらくなります。また、スピンドルに使われているベアリングとベアリングの幅、ベアリングピッチを延長することで加工時の軸受けへの荷重配分が分散されることにより、ベアリングへの負荷が低減されベアリング寿命を延長することが可能となりました。
 発熱・軸破損・ベアリング損傷など、小型スピンドルの故障因子を徹底的に『カイゼン』することにより、従来のスピンドルに比べて格段に耐久性を向上させています。
 ただ、お客様のご要望の中には分割型を希望される声があり、分割型にもジャケット冷却方式を採用した、新製品を開発し昨年のJIMITOFに発表しました。
03_2 スフィーダ

04 穴あけ専用

05 バリ取り機

06 マシニングセンター

07 コントロールパック CSF601


■開発で難しかったことは何ですか

藤木 : モータの開発に関しても、試行錯誤の連続でした。ある程度の理論はありましたが、そこから以降は実際に作ってみて試験をすることの繰り返しでした。巻線するコアの厚み、材質、巻線の仕方、それとマグネットとコアのギャップの問題などです。これら細かな仕様や仕上げによって、発熱を抑えたりトルクを増大させることができました。
 コントロールにおいては、センサレスモータの駆動回路が課題でした。センサレスモータは、起動時のトルクが非常に弱く、その制御に関して多くの時間を費やしました。
 製品を構成するパーツについても試行錯誤しました。部品点数が多いと、当然ながら壊れる可能性とメンテナンスを要する部品数が多くなってしまうからです。
 開発段階でいかにシンプルな構造で信頼性や堅牢性を実現するかが課題で、これまで培ってきたノウハウを駆使し開発にあたりました。
 わたしたちは、これまでの経験からスピンドルにおけるトラブルの原因が何であるかを理解し、それをどうすればクリアするかを考えて開発していきました。その結果として、安定してスピンドルをコントロールする高機能電源パックと、高出力・高回転で耐久性のある高精度なモータースピンドルが開発されたわけです。

08
スピンドル構造の違い

■アプリケーションはどのようなものがありますか

藤木 : たとえば、ロボットにスフィーダを付けてバリ取りに使用したり、数多くの穴をあけるといった、単純だがつらい作業などの自動化、省力化に使うなどが考えられます。また、主軸が8,000〜10,000回転のフライス盤やマシニングセンタなどでは、回転数不足により小径の加工を得意としません。小径の加工ができる特殊な工作機械も作られていますが、とても高価なものとなってしまいます。
 今使われている工作機械にスフィーダを装備することで、汎用機でもスフィーダの能力である60,000回転の加工ができることになります。すなわち、高価な装置を導入しなくても、お手持ちの汎用機に簡単な設備をするだけで精密なお仕事が安価な投資で可能になるわけです。

■最後に今後の展開をお聞かせください

藤木 : スフィーダに関しては、ロボットや旋盤に直接取り付けるストレートスピンドルと、マシニングセンタなどに付けるテーパシャンクの機械付けのスピンドルがあります。ゆくゆくは、後付けのスピンドルばかりではなく、機械メーカー様とタイアップし工作機械に組み込めるもの、機械に標準搭載されているという形を目指していきたいと考えています。
 機械装着用スピンドルの『スフィーダ SFIDA』、あらゆるニーズに応えるために進化し続けてきたハンドピース『ミニモ Minimo』、様々な加工シーンを想定した約6,000種の『センタンツール』。これまで多くのお客様からいただいた信頼と培ってきた経験が今日の製品ラインナップを築いてきました。わたしたちはこれからも、お客様の要望、ニーズに敏感に対応できる経験と技術力で、他社との差別化を図っていきたいと思っています。

メカトロニクス2009年3月号掲載

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