【インタビュー】統合によるシナジー効果でビジネス拡大に邁進
株式会社タムラ古河マシナリー
10月1日に設立された(株)タムラ古河マシナリー。(株)タムラFAシステムが70%、古河電気工業(株)が30%出資し、資本金1億円で設立された合弁会社である。国内の鉛フリー特需が落ち着き、海外企業の提携などで競争激化が予想されるはんだ付け業界。対抗策としての合弁会社設立だが、今後、業界にどんな影響を与えるのだろう。深野隆司代表取締役社長に展望を聞いた。
★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★
代表取締役社長
深野 隆司 氏
■リフロー装置シェアナンバーワンへ
合弁会社の話は古河電気工業(株)(以下:古河)から㈱タムラFAシステム(以下:タムラFA)にもちかけられたものです。両社の強みを活かしたシナジー効果で、世界ナンバーワンのメーカーになる目的で(株)タムラ古河マシナリー(以下:TFM)を設立しました。古河の産業機械分野の1事業部とタムラFAの一部が合併した形で、タムラFAは引き続き、はんだ付け装置部門の、はんだ付け装置・そのほか周辺装置の開発・製造を行いますが、古河はリフローはんだ付け装置の事業部すべてがTFMに統合された形です。当面、TFMでは古河のリフローはんだ付け装置の製造販売を中心にタムラFA製品の販売も行っていきます。TFMで扱うタムラFAの製品と古河の製品は競合する部分もありますが、タムラFAはコンパクト機種、古河は大型機種を扱っており、棲み分けができている部分がほとんどですから今後は双方の得意分野を活かした製品を販売していこうと考えています。
合併によって、国内のリフロー装置だけでいえば、タムラFAとTFMを合わせてシェアナンバーワンに、また、世界シェアについてもトップクラスに位置していると思います。欧米系のメーカーや、最近では中国系メーカーも進出してきて、それらの企業が売上げ数としてカウントされないぐらい小規模な関連設備を販売している可能性もありますから、販売数を把握するのが難しいこともありますが、それらの要因を含めて、すぐにはナンバーワンにはなれないと感じています。トップの座には徐々に昇っていく感じでしょうか。
■目標ははんだ付け装置事業の売上げ150億円
タムラFAの場合は複合製品としてはんだ付け装置、リフロー装置のほか、周辺機器も販売していますが、古河はリフロー装置だけに特化されていました。売上げを見てみますとタムラFAが約100億円、古河が約30億円ということです。タムラFAは100億円のうち約7割がリフロー装置、約3割がはんだ付け装置・そのほかになります。
はんだ付け装置業界を取り巻く環境は、今年7月ヨーロッパのRoHS指令により、大手日系メーカーは既に対応済みで国内市場は一巡した見方もあり、2007年3月、中国でのRoHS指令を控え、中国・東南アジアを中心に市場が成長しています。このようなことからから海外メーカーとの競争が激化するなど予断を許さない状況ですが、両社の強みを相互補完することで、一層の事業拡大、体質強化を図っていきます。来年度から始まる3ヶ年の新中期経営計画の最終年度はんだ付装置全体で売上げを150億円にしたいと思っています。
■古河ユーザーにタムラ製品を販売
TFMは古河のリフロー装置『サラマンダ』主体に販売しますが、将来的にはタムラFAと古河の強みを活かした装置を開発していくことも考えています。リフロー装置だけの古河が保有していたユーザーにタムラFAのはんだ付け装置、そのほか検査製品などを早期に販売し売上増を図っていこうと考えています。
なお、生産工場は古河の中国・蘇州工場、国内は埼玉県狭山工場と、山形県の工場の3工場となります。
技術面では古河の『サラマンダ』にタムラFAの技術を融合させ高品質の製品としていきます。
サービス面ではきめ細かなサービスを提供できると考えています。現在、社員は営業、技術を含め約50名がおりますが、合併によってサービスマンも人数的には倍以上になり、より効率的に顧客を回れば、細かいサービスが提供できます。サービスマンに両社の装置の仕組みを相互に教育して体制を整えたいと考えてます。
今後、販売に力を入れていく製品は、国内ではRoHS対応の製品需要が一段落したので高品質製品の販売にシフトしていきます。海外ではRoHS対応の需要が伸びると見ておりまして、特に東南アジア、欧米に展開していこうと考えています。ただし、欧州で販売する製品にはCEマーク※(以下:CE)が不可欠です。タムラFAはすべてCEを取得した製品をチェコの営業所で販売していますが、古河は製品にCEを取得していないため、販売実績がありません。今後、TFMは、海外においても古河ユーザーの要望に応えるため、CEマークを取得しているタムラFAの製品を販売していこうと考えています。
一方、タムラFA、古河両社に実績がないブラジルやインドを含め、TFMの人員だけで世界をカバーするのは難しいため両社が係わっている代理店や商社を活用します。
新たな販路については車載用機器や製品に需要があると見ています。現在、RoHSに適用されているのは電気・電子機器だけですが、徐々に車載用機器へ適用されていくと思われます。もちろん、タムラFAも古河もこれまで、車載用機器への対応をしておりましたが、とくに古河は社内に自動車機器事業部があるなど自動車業界に強く、TFMでは車載市場を重要市場と位置付け営業展開したいと考えています。
■資材調達を合理化
同じ製品を作っている会社の合弁なので、装置を製造するために必要な資材は同種類のものを購入している部分があります。合弁したことによって仕入れ先を共通化し、コストダウンを図りたいと考えています。実際には、購入先は違っていたのですが、できるだけ、同種のものは購入先を一つにしようと考えています。こうしたコストダウンも合弁による効果の大きな柱です。
製造コストを下げていくという動きは、業界内では、(社)電子情報技術産業協会(JEITA)主体で取り組んでいますが、はんだ材料の部分でコストダウンが図られる要素があります。材料が変わると、装置もその変わった材料に対応するために変わっていかなければなりません。基本的に装置の転換が先で、材料がその後ということはありませんから、装置を作る側としては材料の変化を待っている状態で、先が見えないところもあります。現在考えられる材料のコストダウンは、鉛フリーはんだに含まれる高価な銀を削減することです。研究開発は進んできていると思いますが、TFMでは電子化学材料事業を行っているタムラのグループ会社であるタムラ化研㈱を通じて情報を得て対応します。
今後、はんだ付け関連の装置は材料を含めてますます高度化していきます。現状では、鉛フリー技術はほとんど確立されましたが、2001年から始まった、鉛フリー技術を搭載した装置の稼動実績はまだ5年です。10年先はどんな材料の変化や技術の転換が起こっているか分かりませんし、それによって技術的な知行も変わってくると思います。我々はんだ付け装置を提供する企業は、半永久的に技術の進展を図っていかなければなりません。
※CEマーキング: EU指令の基準を満たす商品に付けられるマーク
実装技術2006年12月号掲載



