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2009年7月 6日 (月)

【インタビュー】光学機器の設計、評価から製造、販売まで

─ 技術集団で設立から開発製品の売り上げをはかる ─
株式会社オプセル

 大学のシーズ、複数のレンズを光軸を安定させ温度変化に強いシュリンクフィッタレンズを中心に光学機器開発受託を開始。レーザ応用、光学機器の設計、開発製造販売まで行っている株式会社オプセル 代表取締役 小俣 公夫 氏に話を伺った。

★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★

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代表取締役
小俣 公夫 氏

■御社の設立についてお聞かせください

 小俣:平成10年に科学技術振興機構(JST)のプレベンチャー制度の第1期に、新潟大学の新田先生と一緒に応募しまして採択されました。この制度は大学の先生の技術を転用し製品開発をして起業しなければならないという制度です。研究開発し製品化がみえてきて設立したのが平成13年です。
 普通の補助金などは使い道が決められているのですが、この制度はすごく良くて、決まった総額の中から人件費、設備、運転資金の使い道をプロジェクトマネージャーが決めて、JSTに申請して許可が出ればOKというものでした。
 応募のテーマは、シュリンクフィッタという機械要素を用いた「焼きばめ」によるレンズ締結方法です。各レンズの光軸を一致させ、広い走査幅にわたってビームを微細に絞り込むことが可能で、温度変化に強く安定性があり、振動に強いレンズを作ります。
 鏡筒はアルミでできており、これを熱で膨張させプラスチックスとレンズを熱で広がった鏡筒に入れ冷めてくると締まっていくようになっています。このようにシュリンクするのでシュリンクフィッタと新田先生が名づけました。このようなものが入ってない従来のクランプナットによる組立方法ですと、衝撃や温度変化でレンズに緩みがくることがありますが、それに対しこれは焼きばめしているので衝撃や温度変化に強くなっています。また、通常に締めると膨張があったときレンズを押してしまいレンズが歪んできますが、側面にスリットを入れることにより応力を逃がすことが新田先生の特許になっています。
 この特許がJSTから出ていましたので、それを実用化しようとこのレンズ設計とレンズの組立、このレンズを使うための装置の開発を目指して起業したわけです。

■プレベンチャーの時はどのような状況でしたか

 小俣:まずシュリンクフィッタレンズの製品化までが大変でした。鏡筒を熱で膨張させるのですが、膨張率は僅かなものであり誤差を決定していくためにプラスチックスを精密に削らなければなりません。最初はうまく入らなかったり、レンズの性能が出なかったりしてこの開発だけで1年半ほど掛かっています。
 シュリンクフィッタレンズの開発は新田先生が新潟でやっておられ、私どもはレンズ設計と光学系や電子回路の技術をもとに埼玉でレーザ直接描画装置の開発をやっていました。1年半したときに私どもの装置もできてきましたので、先生のシュリンクフィッタレンズとドッキングしレーザ直接描画装置を商品化していくことにしました。プレベンチャーの開発期間が2年半か3年ありましたので、ちょうど良い時期にドッキングし商品化を図り起業に持っていくことができたわけです。  設立以降、半導体レーザとYAGレーザを使った光学機器をやっています。最近ではシュリンクフィッタ付きレンズの需要も見えてきましたので、このレンズの量産化を考えています。シュリンクフィッタにレンズを締結させ性能を出すためには多くのノウハウがありますので、シュリンクフィッタ樹脂だけでは売れません。また使う樹脂の信頼性もありますが、私どもは7、8年も新潟大学で信頼性の試験をやっていただいており材質には自信を持っています。
 プレベンチャー制度はベンチャーキャピタルが入る状況が多いのですが、私どもはベンチャーキャピタルを入れないで自分たちでやっていこうとしていました。それでシュリンクフィッタレンズだけでは立ち行かない場合が出てくるだろうと考え、光学機器の開発にも力を入れていったのです。光学機器の開発をやっているところは今でもそう多くはありませんので良かったと思います。
 私どもは開発受託もしますが、レンズの設計、評価、そしてレンズを組み立てることもできます。最近では私どものホームページを見て、光学機器の評価ができるところとして来ていただけるお客様が増えてきています。

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■設立からいままではどのような状況でしたか

 小俣:山あり谷ありではありましたが、当社は設立からぎりぎり黒字できています。
 設立の頃はDVDの出始めで、DVDのレンズは小さいのですが評価が必要であり、その評価用の機械が結構売れました。
 会社は初めマンションで2、3年やっており、そのあと蕨にあった工業試験所の一角を借りていましたが試験所がいまのところ(埼玉県総合技術センタ SAITEC)に移ることとなったので、申請をして一緒に移ることになりました。ここはインキュベーションの棟になっていて、創業間近な企業の方を入れるようになっており、期間は3年です。
ここは下が工業試験所で、そこの機器が使えますから設備が全部揃っているようなもので、セキュリティーも含め環境的には整っています。
 いままでは受託中心に仕事があり毎年黒字できていましたが、これから大きくしようとすると受託だけではいけなくて、特製ブランドか、OEMで流していくようなものを目標にしなければならないと思っています。
ここは下が工業試験所で、そこの機器が使えますから設備が全部揃っているようなもので、セキュリティーも含め環境的には整っています。
 いままでは受託中心に仕事があり毎年黒字できていましたが、これから大きくしようとすると受託だけではいけなくて、特製ブランドか、OEMで流していくようなものを目標にしなければならないと思っています。

■光学系の技術者の方が多いとお聞きしましたが御社の技術についてお話ください

 小俣:私どもには私ともう一人レンズの設計者がおり、二人とも色々な会社の経験があるので大概のレンズが設計できます。設計に基づいて研磨できるところがこの近くにあり、レンズを作ることに関しては問題が無いというのが強みになっています。
 最近のものはレーザ光線を使った機器を多く扱うようになっていますが、そのレーザを取り扱うアナログ回路の技術者が1人おり、さらにそれをコンピュータに取り込んでいくデジタル回路の技術者も一人います。企画を考える人や部品の資材を担当する人もいます。
 メカに関しては私の昔の仲間が独立してやっていますのでそこに協力していただいており、当社は光学機器の総合力が結構有ると思います。
 また、プレベンチャーのときに買った設備が残っており今は有償で借りていますが、SAITECの装置もあわせると性能評価など大概のことはできますので、設備費はほとんど掛かっていない状態です。
 光学機器の開発には総合力というものが大切だと思います。いままでの光学機器は、レンズはレンズ、装置は装置、そして制御は制御というように分かれていて連携が取れていなかったと思います。
 私の考えでは、レンズにしかできないこと、たとえば本来の焦点を結ぶということに集中してレンズを作ればよいのです。電子回路はレンズの悪い点をカバーする回路にしていくという発想で作っていくとコストダウンができるわけです。
 レーザ直接描画装置においてはレーザを振っていく、スキャニングの技術が大切なのですが、私どもではそこは優位に立てると思っています。レーザをスキャンする技術というのは30年くらい前から起こってきた技術で、私ともう一人の技術の人はその開発当初からレーザを振っていくという技術を開発してきたメンバーで、そのときには部品が悪くてできなかったアイデアというのは、いまの部品ではできるようになってきています。昔実現できなかったアイデアが、今は使えるだろうという目星をつけることができるわけです。
 これは、開発スピードのアップという形で返ってくるものですが、受託をしても2.5ヶ月とか3ヶ月で試作品を出すというような短納期でできるというところが強みになっています。

■御社の製品についてお話ください

 小俣:最初のころは仕様の検討からやっていましたが、今はベースとなる製品が何機種かできつつあるのでこの製品をカスタマイズするという形でも製品化しています。そうしますと試作の製品ももっと早くできます。
 カスタマイズして作っていくという製品は現在「レーザ走査イメージャ」「レーザ直接描画装置」「高精度レーザオートコリメータ」「レーザ走査変位計」「大サイズ用テレセントリックレンズ」の5つがあります。
 シュリンクフィッタはレンズの芯を通すというのが目的なので、どれくらい通っているかを測定することが大切です。これはレンズを回して光を入れていくと光が回っていき、どれだけずれているか分かるもので「レンズ偏芯測定機」といいます。昔は大きなレンズに対して測定していましたが、3、4年前からデジカメのレンズ用偏芯測定機の需要がおきてきました。しかし世の中にはあまり出ていないようなので、最近「微小レンズ用の偏芯測定機」を作り商品化しました。
 小さくなればなるほど偏芯の微小な変化を求められてきて、数マイクロメータの偏芯が見えないといけません。普通の光ですとレンズが小さすぎて光が通っていきません。そこでレーザを使ったものが出てきていますが、当社は最初からレーザでやってきていますので、応用製品的に開発できたわけです。

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■今後の展望をお聞かせください

 小俣:来期はレーザ直接描画装置をメインのひとつととらえシリーズ化を考えています。
 レーザを振るためには、1つにミラーを回転しながら振っていく機構があり当社では最初はこれを作りました。2つ目に光を固定しておいて、ものの方をX、Yステージで動かす方法がありますが、その2つは当社も持っています。しかし、レーザマーカ的な微細加工装置を持っていませんのでそれを作ることによりシリーズ化して、どの用途にも対応できるような形にしたいと思っています。
 レーザマーカのスポットは0.1mmほどなので1mmに10個しかドットを打てません。ところが1mm角に打ちたいという要望もでてきており、今までのではマーキングではできなくなります。 私どもは0.01mmのスポットのレンズを作っていますので、小さいところにもマーキングできるようになります。そのようなマーキングがなぜ必要かといえば、トレサビリティということが今重要になってきており、1つ1つにマーキングが必要になってきているからです。
 この3つができると色々なお客様にも対応することができますので、これを組み合わせるというのが来年の目標になります。 次に来期で目指すものは、先ほどいいましたシュリンクフィッタレンズの単品の商品化、量産化です。
そしてもうひとつはレーザ走査イメージャです。直接描画装置が書き込みであるのに対し、走査イメージャは画像を読み取りするものです。そのソフトウエアがもう少しで完成しますので、商品化していこうと思っています。これによりレーザによって書き込みと読み取りの二つのことができるようになります。
 読み取りはCCDでもいいのではないかということもありますが、小さいものを読んでいくとCCDの倍率を上げなければなりません。倍率を上げることにより読むことはできますが見る範囲が小さくなってしまいます。レーザを使うと同じ倍率でも見る範囲が大きく見えます。この特徴を出していこうと思っています。
 昔もレーザイメージャというものがありましたが、昔の技術では精密な装置ができなかったのです。今の技術を使うと走査も早くなり、光学部品の精度も上がってきており、できてくるわけです。昔あった機器がよみがえってくることになります。
 製品的にはそのようなところですが、全体としては少量でも流れていく商品を作りたいと思っています。
 それ以外に大学の技術を商品化したいという思いがあります。今でも10大学ほどと関連を持っているのですが、先生方はいい技術を持っておられます。商品化するまでには大変ですが、かなり多くあります。そこに先生方が使えるような独自な光学機器を提供するということをしていくと、先生方の考え方や技術がいつの間にか製品になるかもしれないと思います。
そのような形で大学の研究成果を社会に還元するための貢献もしていきたいと思っています。

■本日はお忙しい中ありがとうございました。

メカトロニクス2006年10月号掲載

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