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2009年7月15日 (水)

【インタビュー】メカトロニクス技術をコアにソリューションを提供

—モーションコントロールにおけるCS(お客様の満足)向上を目指す—
 安川電機は、1915年に設立され、筑豊炭鉱地域において炭坑用粉塵防爆モータなど炭坑用電動機から出発している。同社が最初のDCサーボモータ『ミナーシャモータ』を作ったのは1960年で、ACサーボモータにおいても、1990年台に『Σシリーズ』の小型高性能な製品を開発、現在でもNo.1シェアを達成している。今回は同社のメカトロニクス技術について、モーションコントロール事業部に話を聞いた。

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モーションコントロール事業部
営業企画部 部長 今福 正教 氏

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モーションコントロール事業部
営業企画部 部長 今福 正教 氏


■モーションコントロール事業部についてお話ください

 桑村:当社には三つの事業部があり、モーションコントロール事業部では、半導体、液晶、電子部品を代表例として高速高精度を要求される市場に主に適応されているサーボアンプにモータ、およびモーションコントローラを提供しています。次に、サーボモータの技術を活かし、多関節ロボットを開発、自動車産業や半導体・液晶関連産業向けを中心にロボットを展開しているロボット事業部があります。また、鉄鋼業界の高炉用システム電気品では100%のシェアをもっているシステムエンジニアリング事業があります。
 モーションコントロール事業部は、半導体/液晶製造装置、電子部品実装装置、工作機械や一般産業機械などにおいて、自動化を支えるサーボ、コントローラおよび省エネや機械効率化に使用されるインバータ、機械の駆動部であるモータ・アクチュエータなどのメカトロ機器とモーションテクノロジーを提供しています。機械に必要な電機製品が全て揃っており、よりメカに近づいたモーションコントロール制御を得意としています。同じようなマシンコントローラメーカーは、シーケンサ関係を基礎としているところが多いのですが、当社はメカからモーションコントロールを考えているため他社とは考え方が根本から違っています。
 当社のロボットに使われているモータ、ドライバ、コントローラの技術は、全て我々の事業部が開発した技術で成り立っており、ロボットはアプリケーションの一部と捉えることができます。モーションコントロールの用途の一つがロボットであり、その製品や技術は、当社のロボットにも使われています。当社のロボットが評価されるのは、ロボットの基本技術であるモーションコントロール技術の要素を自社内にもっているからだといえます。当社のロボットは、同じ仕事をするロボットが小型軽量化されていくのに、短い時間で格段の進歩をしています。これは、モータの小型化、軽量化を我々が追及してきた結果であり、モータ、アクチュエータが変わればマシンが変わる象徴だと思います。これは、お客様が作られる機械にも同じことがいえるので、我々のモーションコントロールにおける高性能、高精度の追求が、お客様の製品の高性能、高精度につながっていくと思います。

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7軸アーク溶接ロボット MOTOMAN-VA1400

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新世代産業用ロボット MOTOMAN-SDA10

■メカトロニクスをどのように捉えられていますか

桑村:『メカトロニクス』という言葉は、1968年に当社が提唱し、1972年に商標登録しています。会社としては、そのころからメカトロニクスへのシフトを目指しており、その表れの一つがロボット分野への取り組みです。モーションコントロールにおいて、ユーザーの付加価値を高めるトータルソリューションを提供していくコアの技術を、メカトロニクスと捉えています。
今福:お客様との接点の中では、ソリューションの提供によってお客様の満足(CS)の向上が図れると思いますし、それが究極のメカトロニクスの形であると考えています。単にコンポーネントを提供するだけでなく、コンポーネントを提供することによりお客様がその分野で、ナンバーワンになる、お客様の機械が高性能になり、その結果として業績が上がるなど、満足していただける電機品を提供するのが当社の使命だと思います。
 当社がもっているメカトロニクスの技術を基に、CSの究極としてソリューションを提供することによりお客様のCSが上がっていくと捉えています。そのためには、お客様の課題を引き出し、それに対するベストのご提案をしていきたいと思っています。

■御社のACサーボモータについてお話しください

桑村:お客様の要求に応じて、普通に回転するパーツとしてのモータから、よりメカ側に寄ったモータ・アクチュエータへと広がっています。ダイレクトにテーブルなどを回すダイレクトドライブモータ(DD)、ダイレクトに直線駆動するリニアモータなど、よりメカに近い方向にACサーボモータを展開させています。
 回転モータからリニアモータに変えることで、ボールねじを使わなくなることから、ダイレクトに駆動し、高速化や消音やクリーン化が図れます。そのため、「機械の高速化を追求したい」、「静かでクリーンな機械を作りたい」、といったお客様からの要求に応えることができます。また、ダイレクトドライブモータにすることで、テーブル駆動や旋回軸の機構がシンプルになるため機械の小型化や精度の高い機械を作りたいというお客様の要求に応えることができます。
 今福:また、FPDにおける液晶ガラスは大型化してきており3mを超えるものもあり、ボールねじは2点で保持しているため長くなればどうしてもたわみができ使用できないなどの課題があります。しかし、リニアモータは10mくらいまで繋ぐことができるので、その課題が解決可能であり、液晶製造に採用されています。リニアモータは回転モータより高価ですが、そのような付加価値が認められれ、機械のリニア化が進められています。
 現在、液晶業界で使用されているリニアモータの当社のシェアは4割を超えており、装置メーカーを通じてほとんどの液晶メーカーで使用されています。
 今でこそ、リニアモータのラインアップを進めているメーカーもありますが、ACサーボモータのメーカーでDDやリニアモータをラインアップしていたのは当社だけでした。メカトロニクスにこだわり続けたからであり、豊富なラインアップが当社のポイントの一つといえます。
桑村:今も話に出ましたが、3mを超える液晶を動かすときにはそれに対応するリニアモータが必要であり、その要求から大推力の製品を現在開発しています。このように推力を上げるといったようなニーズに合わせて、従来なかった製品のラインアップを広げていっています。
 また、リニアモータはメカに近いので、回転モータよりカスタマイズ性が強いため、お客様の要求に応じて提供しているケースがあります。リニアモータの標準の品揃えは、大きく分けてコアレス形、コア付きF形、コア付きT形、スティック形の4種類があり、それをベースにして対応しています。お客様の用途により、力を出したいとか高速位置決めをしたいという要求があり、それに応えられるベースを選んで個別対応などを行っています。
 昨年4月には、DD、リニアモータを含め駆動することができる『Σ-Vシリーズ』を発表し、最高レベルの速度応答性と、制御の安定性を両立し、しかも使い易いという評判をいただいております。使い易いというのは、最高の性能をいかに簡単に引き出すかということです。サーボモータを使うときに一番重要なポイントは、整定時間です。整定時間とは、指令に対し、いかに早く追従するかいうことです。整定時間が短ければ短いほど、機械が素早く次の動作に入ることができ、タクトタイムが短くなります。特に半導体メーカーでは、タクトタイムの短さへの要求が強く、Σ-Vシリーズでは速度周波数応答は1.6kHzであり、従来の600Hzから3倍近く早くなっています。エンコーダの分解能は、20ビットと高いエンコーダを搭載しているため、より精度の高い位置決めができます。サーボ調整においても、繋げば動く調整レス機能を新しく搭載しているため、誰が扱っても究極の調整が行えます。モーションサポートも、トレース機能を始め豊富に揃えております。

■『MECHATROLINK』とはどういうものですか

今福:通常サーボモータを回すために、一台ずつに配線をして指令を出していますが、お客様から配線が多いので少なくしたいとか、多軸を動かすときに制御が難しいので簡単にしたいという要求がありました。それに応えるため、多くのモータの動きを簡単に制御できるコントローラΣ-Vシリーズを作りました。それも一つのソリューションであり、CSの向上を目指した結果だと思います。
 そして、さらに作業を効率化したい、省配線化したいというお客様からネットワーク化の要望があり、高速モーションネットワーク『MECHATROLINK』を世の中に出しました。これは、コントローラと各種コンポーネントを接続する、オープンフィールドネットワークであり、高速な通信と同期性の保証により、システムの高速化、高機能化を実現するものです。
 お客様からはI/Oが欲しい、センサが欲しい、PLCが欲しいなど、いろいろな要望がありますが、当社の製品は、コントローラ、サーボモータが中心となっています。そのようなときに、MECHATROLINKを採用していただいていれば、各企業の多くの製品の中から選択することができ、システムを構築することができます。
 2005年にMECHATROLINK協会を設立し、現在300社を超える企業が会員となっています。
 2008年の10月からは、MECHATROLINK-IIIという、より高速、高機能な通信仕様のネットワークを出しました。具体的には、物理層にEthemetの技術を利用することにより、100Mbpsの高速通信を実現し、モーション制御に必要な高速サイクリック通信と、大容量メッセージ通信を実現しながら、62スレーブにおける完全同期をASICで実現するものです。ノード間距離は100mで、最小局間距離は20cmですので、大規模システムから小規模システムまで対応できます。
桑村:ネットワークを導入すると、システム構築が自在に行え、シンプルなケーブルの接続によりシステムの省配線、小型化などが可能になります。例えば、5mの機械装置に、モータなど数台のアクチュエータ、スイッチ、リレー、センサなど10の製品が使われていた場合、ネットワーク化になる前は、コントローラはアクチュエータ用のドライバ、リレー、センサ用のI/Oと、個々にアナログの電気信号を送る線が束になった太いケーブルで繋がっていました。コントローラには、10本の太いケーブルが集まることになり、装置の中はケーブルが這い回る状態で非常に邪魔になります。ネットワークを導入すると、電話線ほどのコードで、コントローラとドライバ、I/Oを並列に繋ぐだけで配線は済みます。また、デジタル通信なので、デジタル・アナログデータを乗せることができ、デジタル放送と同じような通信をすることができます。すなわち、コード一本でコントローラからモータを動かす信号を送るとともに、モータがどのような動きをしているかなどのモニタリング情報をコントローラに送ることもできるわけです。
 MECHATROLINKはオープンなネットワークですので、仕様の適合性を保証された様々なデバイスを自由に組み合わせて使用することができます。お客様は、複数のメーカーの中から、造ろうとする機械装置に合わせてコントローラ、ドライバ、アクチュエータ、センサ、I/Oなどの製品を選ぶことができ、それらを一本のコードで接続していくことができるわけです。モーション系のネットワークでオープンにしているのは、MECHATROLINKだけです。
 また、ドイツ支部、米国支部、韓国支部、中国支部の海外支部もあり、会員の半分近くは海外企業です。相互運用性を確認された海外メーカーの製品を使用してシステムを組むことができる、ワールドワイドなネットワークになっています。
 SEMI規格E54.19スタンダード対応を実現していますので、半導体/液晶の機器にさらに組み込み易くなっています。

■今後の展開についてお話しください

今福:高速通信については、MECHATROLINK-IIIで行えるようになりましたので、それに対応する製品の品揃えと高速性の追求をさらに行っていきたいと思います。また、高速通信を活かすために、コントローラなどの製品における高速/高性能化を図っていきたいと考えています。Σ-Vシリーズにおいては、お客様の求める性能や機能を聞きながら、さらにそれらを追求していきたいと思います。上位側のコントローラも、ネットワークの高速化に伴った性能アップ機能アップを進めていきたいと考えています。
 MECHATROLINKネットワークは、かなり世の中に認知されてきたと思いますが、よりそれを広げていく活動も必要だと思います。今までの10MbpsだったMECHATROLINK-IIIから、100MbpsのMECHATROLINK-IIIを提供しましたので、より興味をもっていただけるユーザーメーカーが増えてくると思っております。また、海外への認知も力を入れていきたいと考えています。

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パネル一体形マシンコントローラMP2500

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MECHATROLINK-III対応Σ-V

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MECHATROLINK-III対応マシンコントローラMP2000シリーズ

メカトロニクス2009年2月号掲載

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