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【工場レポート】創生期を抜け出したMEMSの方向を握るメムス・コア

(株)メムス・コア

★ご好評をいただいた記事を再掲載いたしました★

 (株)メムス・コアは、センサやアクチュエータなどMEMS(Micro ElectroMechanical System)をいち早く研究・開発してきた東北大学大学院 江刺正喜教授と、長年に渡り半導体製造装置の開発を手がけてきた(株)ケミトロニクスによって、2001年12月に設立された。現在はアイデアを形にするために、江刺教授の35年のMEMS研究とケミトロニクスグループ各社が25年に渡って蓄積してきた装置技術を機能的に活用し、新世代MEMS製品の開発・製品化を進めている。
 MEMSは、半導体集積回路の製造技術を基本として、電子、機械、光、材料などの多様な技術を融合した微細加工技術で製作される。主要部分は半導体プロセスを用いて作製されるが、半導体集積回路が平面を加工するプロセスで作製されるのに対して立体形状を形成する必要があり、半導体集積回路の作製には使われない犠牲層エッチングと呼ばれる可動構造を作製するプロセスが含まれる。MEMS技術はあらゆる産業のシステムに付加価値を与えるだけでなく、これまでにないまったく新しいものを生み出す重要な基幹技術として期待されている。現在、プリンタヘッド、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、DMD(プロジェクタ)などが製品となって市販されている。
 同社では、三つの柱を立ててMEMSビジネスを進めている。主体はMEMSの自主開発。ウエハを均一に薄くする技術、シリコン貫通技術、貫通孔に電極を入れる技術、がMEMSの基礎として非常に重要である。そのため、重点的にこの要素技術の開発を行い、付加価値の高い製品の開発に役立てている。
 また、部分的なMEMS加工、ウエハ数枚での試作なども行っている。シリコンとガラスを陽極接合してできる空洞の中に、カッパや導電性タングステンなどを入れて真空封止すると、半導体パッケージになる。これをシステムLSIにすれば、これだけで高性能なデバイスを開発することもできる。
 そして、自主開発を行う資金を得るために、MEMSデバイスの共同開発、開発受託と特殊なMEMS加工を可能にするMEMS専用装置の研究開発・販売を行っている。
 MEMSは市場規模がまだ小さいにも関わらず、インフラに巨大な投資がかかる。同社はベンチャーという会社規模を考えて、様々な提携を行いながらビジネスを進めている。また、自主開発はゼロから行わず、大学などの研究成果を製品化することに徹している。
 その例として、東北大学新妻教授の高感度加速度センサの試作がある。これは、センサ部のSiおもりをMEMS技術で形成された薄いばねで支えることにより、数μGの微小な振動を検出することが可能なもので、地下弾性波計測といった地震検出などに用いることができる。また、装置の開発においても、積水化学工業⑭と貫通孔内への絶縁膜形成を可能とする大気圧プラズマCVDを共同開発するなど、企業と共同で開発を行っている。
 同社は二つの工場を有している。宮城県秋保にある本社工場では、3.5インチ試作ラインでの製造、MEMS製造装置開発を本格的に行っており、フォトマスクCAD・作成装置・酸化拡散炉・露光装置・蒸着装置・スパッタ装置・犠牲層エッチャなどの製造装置を所有している。
 また、泉パークタウンにあった元(株)日立国際電気の研究所を、泉工場として2004年11月に開設し、現在4、6インチ製造ラインを立ち上げ中である。ここには江刺研究室の分室も併設しており、研究から製造まで一貫して行うことができるようになる。

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 さらに、泉工場内に2005年11月にはMEMSデザインセンターを開設した。_ここではMEMS搭載を検討する企業に向けた設計・生産支援や、MEMS技術セミナーの提供を行っている。米Coventor社製MEMS設計解析統合システム『Coventor Ware』の2006最新バージョンを10台揃えており、これを活用することで設計上のリスク低減・開発期間短縮・開発費圧縮が可能となる。 MEMSはLSIと同じような製造方法を取るが、機械的な動作を行うため材料の厚さなどによって設計に違いが出てくること、などから設計が難しい上、設計システムが高額である。これらを開放することで、同社、利用者双方にメリットを見出すことができる。
 泉工場ではMEMS製造用として中古の半導体製造装置を購入し、これをMEMS用とすることで、装置改良を行っている。現在のMEMSは半導体ほど微細ではないため、中古の設備でも十分製造が可能である。『中古の設備、中古の工場、中古の技術者』によって開発コスト、製造コスト低減を行っている。
 (株)メムス・コア社長の本間孝治氏は、(株)ケミトロニクスを始め29の会社を設立しているが、同社は23番目に設立した会社である。MEMSは3次元加工技術が主力のため、半導体プロセス以上に難しく、専用装置とプロセス開発が必須な巨額なインフラを必要としている。そのため、ケミトロニクスグループに支えられ、また同社が支えることによってビジネスを成り立たせている。また本間社長は、大手メーカーと技術などの点で協力することによって、資本提供をしてもらうことがビジネスを拡大させるのに理想だと話されていた。
 MEMSビジネスを成功させるには、地域との連携・強化も必要であり、同社では『MEMSパークコンソーシアム』を設立している。現在では110社ほどが参加して、それぞれ連携してMEMSビジネスを行っている。
 泉工場は、江刺研究室を始め様々な研究機関、メーカーなどと協力し合って、研究からデザイン、試作、評価まで一貫したサービスを提供できる場へと変身している。同社は、創成期を脱したMEMSビジネスが日本で花開く鍵を握っている。

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実装技術2006年12月号掲載

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