印刷方式による有機ELパネルを開発
大日本印刷株式会社
大日本印刷株式会社は、グラビア印刷技術を用いた有機ELパネルを開発した。文字などの可変情報を表示できる薄型の電光表示パネルとしての開発を進め、新しい情報発信の提案を行っていく、としている。
【開発の背景】
有機ELは、自発光、省電力といった特徴があり、次世代ディスプレーとして薄型テレビやPCモニタなどの用途にむけた活発な開発が進められている。しかし、ディスプレー用途としては、液晶など生産性の高い製造技術が確立されていることから、コスト面での競争力が課題となっている。
同社は、印刷技術を応用した製造技術が活用できることや、プラスチックフィルムを基材としたフレキシブルパネルや透明パネルを作製しやすいという点に着目し、有機材料をインキ状にすることが容易な高分子系有機ELについて、高精度グラビア印刷技術を活用する製造技術の開発に取り組んできた。そして今回、300mm角のガラス基材にグラビア印刷で、高分子系有機EL材料を数ナノメートルの膜厚精度で塗布した有機ELパネルの開発に成功した。今後は、新たな情報発信ツールとしての製品展開を進めていくという。
【試作品の概要】
今回試作した有機ELパネルは、厚さ0.7mmのガラス基材上に、同社が開発した専用のグラビア印刷機と高分子系有機ELを独自に加工した特殊インクを用いて、約60nmの正孔注入層、約20nmの正孔輸送層、約80nmの発光層の3層の有機EL層を形成した。これら3層の膜厚は、それぞれ±4%以内のばらつきに抑えられており、輝度ムラもない。12Vの駆動電圧で、輝度100cd/m2の発光により、鮮やかな可変文字情報を表示できる。
【今後の展開】
今回開発した有機ELパネルは、必要に応じて表示する文字や絵柄の情報更新を無線シリアル通信や無線LANにより、瞬時に行うことができる。さらに、プラスチックを基材にすることにより、軽くて薄いフレキシブルなディスプレーが可能となり、ポスター・POP・販売台などの販促物への組み込みや設置が容易になる。このように、印刷方式の有機ELパネルは、多くの用途への応用が考えられる。 今後同社は、独自に開発した印刷法を活かし、有機ELの明るく、薄く、軽いディスプレーという特徴を活かした製品開発を進め、2010年の実用化を目指すとともに、2012年度までに約12億円の売上を見込んでいる。
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2009/090723.html