【インタビュー】フレキシブル配線板用両面検査機「マイクロプローバー」を開発
ヤマハファインテック株式会社
携帯電話、デジタルカメラや薄型TVの製造に必須となっているフレキシブル配線板(FPC)。需要も伸びてきたため、FPC用の専用機が望まれつつも、これまで多くはリジットプリント配線板用の生産設備が共用されてきた。楽器用の独自生産設備技術をもとにFPC用パンチャを開発、さらにその技術を発展させてFPC用ステップ&リピート方ベアボードテスタと、フライング方式も開発した。
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■楽器から車、FPCへ
当社は、ヤマハ(株)生産技術部で蓄積した独自の技術をもとに、グループ会社以外へも積極的にビジネスを開拓するべく、金型&マグネシウム部品事業とFA(自動化設備)事業を展開しています。FA事業部は、グループ企業向けの専用設備、鋳造部品などを研磨/研削する仕上げロボット、自動車部品や家電部品などの気体・液体の漏れを検査するヘリウム式リークテスタ、FPC用穴明けパンチャなどのプレシジョンマシン、それと今回ご紹介するベアボードテスタ『マイクロプローバー』の五つの商品ユニットを扱っています。好況な自動車産業やデジタル家電産業を背景に、今後も成長が見込まれます。
■FPC専用機の開発
当社が参入した1995年頃は、FPC業界には専用の生産設備というものがまだ少なく、リジット基板用の生産設備を流用してFPCを生産するという状況が多く見られました。そこで当社は、FPCの特性を活かした工程であるロールトゥロール(roll to roll:素材を裁断せずにロール状のまま連続加工する)方式の全自動穴明け機、フィルムパンチャを開発して参入、その後、裁断済みのシート状材料を加工するシートバイシート(sheet by sheet)方式のフィルムパンチャを開発しました。その後もラインアップを追加し、500台以上の販売実績から業界のデファクトスタンダードと認めていただけるまでに至りました。フィルムパンチャの開発を通して昇華させた、正確に回路パターンを読み取ってパンチ目標位置を検出する画像処理技術、検出したパンチ目標位置に対して高精度にパンチヘッド部を位置決めする技術、そして薄くて扱いにくいFPCを確実に把持、ハンドリングする技術は、ユーザーに高く評価されました。やがて市場からは、FPC用『導通検査機』のニーズが寄せられるようになりました。
■ステップ&リピート方式
FPCの製造過程においては、1枚のシート上に同一製品を多数個面付けすることが一般的です。その1個1個を早く正確に検査することをコンセプトとして開発したのが、ステップ&リピート方式の『マイクロプローバー』です。同機は、従来のように複数個分を一括コンタクトする大きな検査治具を固定して、それに対してシート状ワークを位置決めして検査するのではなく、あらかじめセットしたシート状ワークに対して製品1個分の小さな治具を動かして、次々に検査する方法を採用しました。ここで先に述べた、フィルムパンチャで培ったすべての技術が有効に活かされています。
当社の『マイクロプローバー』は多くのメリットがあります。検査治具が小さいので、高精度な治具を安価に用意できます。また、1回にコンタクトする領域が小さいので、素材の収縮によるずれ影響も小さくなります。治具のコンタクトは1個製品ごとに回路パターンを画像処理検出し、高速・高精度にX、Y、θ成分を補正して位置決めされるので、従来のガイドピンによる位置決めに比べて、回路パターンと検査治具との位置ずれによる誤検査を減らし、歩留りが向上します。回路パターンがファインなFPCの場合、従来では検査コンタクト用に回路ピッチや幅を広げた専用テストパターンを回路周辺に配置する必要がありましたが、『マイクロプローバー』なら狭ピッチのファインパターン部に高密度ファイン治具を直接、正確にコンタクトさせることができるので、そのような専用テストパターンは不要になります。その結果、テストパターン部での断線やショートによる不良が減る上に、テストパターン部をなくしてシート上のむだな領域を減らすことで大幅な材料コスト削減も可能になります。また、薄物ハンドリング技術を活かして、ワークを裁断することなく大きなシートのままで工程を流せるので、工程効率の向上にも貢献します。
このようなメリットにより、液晶モジュール基板など高精細FPCの量産工程において、大きな収益向上効果をもたらしています。また、最近は両面や多層回路の抵抗値を正確に測定したいという要望も増えており、その点でも高精細プローブをファインな回路に確実にコンタクトさせる接触信頼性と、4端子測定という高信頼性の測定手法を備えた『マイクロプローバー』は評価を得ています。
最新の『マイクロプローバーMR502』は、ロールトゥロール方式にも対応できます。治具の着脱がワンタッチ化され、治具交換後の位置補正機能も自動化しました。さらに、RFIDチップによる治具・データ管理システムも導入しました。シリアル番号や形状データ、コンタクト回数、製造メンテ日付などを記録したRFIDチップが検査治具に埋め込まれ、取り付けたとき自動的にデータを設備側に入力したり、取り付け間違いを警告したり、定期メンテナンスを呼びかけたりする仕組みになっています。
■フライング方式
当社は2006年、JPCAショーでFPC用の治具レス両面導通検査機『マイクロプローバーMF1』を参考出品として紹介しました。同機は1本1本の回路にプローブを順番に当てていく、いわゆるフライング方式の検査機です。治具式と比べて工程速度が遅いため量産品には向きませんが、治具コストがかからないので試作や少数ロット品などの生産には有効です。
フライング方式検査機はリジッド基板用が大半で、FPCの場合は片面からのみコンタクトする容量検査方式の設備を使うか、FPCを1枚づつ枠治具などに貼り付けてリジッド基板用の設備に投入するしかありませんでした。『マイクロプローバーMF1』は枠治具などを使用せずにFPCワークを把持し、上4ヘッド、下4ヘッドが両面からコンタクトして抵抗値測定をする、8ヘッド接触式抵抗検査機として開発されました。これにより、両面や多層のFPCを少量多品種で生産する多くのメーカーに、治具コストをかけずに信頼性の高い抵抗検査を実施できる、というメリットを提供することができます。
また、8ヘッドで効率的に検査するために最適なプログラムを、設計データから自動的に生成するアルゴリズムを開発しました。低抵抗を精度良く測定する4端子測定機能や、テンションを付加して薄いFPCを固定する独自の把持機構は、ステップ&リピート方式のコンセプトを踏襲しています。
同機は今も開発中で、ユーザーの声を聞きながら商品の完成度を上げたいと思っています。ステップ&リピート方式に加えてフライング方式が完成すると、試作から量産までの幅広い要望に対応することができます。
■FPC配線板の行方
当社のプレシジョンマシンの需要は、日本国内が3割、輸出が7割になっています。国内メーカーでは今後も最先端の技術が開発されてきているので、当社もそのニーズを満たす高機能、高付加価値の技術を開発してまいります。また、高速化、高信頼性、低コスト化による高生産性を追及し、ユーザーの利益に貢献すると共に、現状工程の問題点を解決する手法の提案や特注対応など、メーカーのパートナーカンパニーとして共に歩んでいきたいと思ってます。
当社は、常にFPCの生産工程に最適化した設備を提供することに努力し続けてきましたし、今後も新しい革新的な提案を続けてまいります。業界に求められる技術要素を積極的に開発し、有益なコンセプトを提案できるナンバーワンベンダーと自負し、業界と共に事業を発展させたいと願っています。
実装技術2006年9月号掲載


