【試験機の絵本】オーケストラの雇われ指揮者 —ダイスによる棒線加工について—
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■はじめに
鋼材を製品に加工する過程において、ダイスによる伸線加工が用いられることがある。この加工機械は重要な設備だが、我々のような試験機メーカーでもほんどお目にかからない現場用である。ダイスとは、図1のように高硬度の材質をもっていて中にテーパ穴の開いたつば状のもので、この穴を通すことで減面/伸線(細くして伸ばす)加工ができる。試験機としては加工に必要な力や速度を計測することになるが、機械の形状によっても大きく違うのでその例を2つ示す。
1.ホイール型伸線加工機
この機械の運転は、図2のように、片手で非常停止ボタンを押す用意をしながら、試料の進入に合わせてリモコンボックスを操作し、スロースタートさせる。まずモータを起動し速度を設定しておき(クラッチは切)、入り口側から試料を挿入して、1段ごとにクラッチをインチング(寸動)して押し込む。各ステップに入れた圧力制御を少し下げて押さえ、4ステップ目で試料がホイールに押し付けられていることを確認できたらダイスケースに向けて進め、進行がつかえた場合はバックしてやり直す。この押し出し方式はスタート時の慣れが必要である。試料の棒線は、図3のように溝つきのメインホイールの半周分と4基の油圧バイス(万力)で掴む。ホイールと油圧バイスは共に高硬度の焼き入れ処理を施しており、ホイールは刻み目のある入れ歯(ティース)つき、油圧バイスは表面が滑り加工となっている。ダイスに押し込まれる加圧力はロードセルで計測され、ホイールの回転角はパルス信号としてとりこまれて、加工長を表す。
2.連続棒材押し出し加工機
この試験機は、試料棒材を押し出してダイスを通し、減面加工を行って減面率/送り速度/加工抵抗を求めるもので、試料はφ7〜9mm、減面率30%、送り速度は6m/分、加工抵抗は10tが目標値である。原理は、プレートチェーンの2組を同一の駆動源でドライブし、その間に試料を挟んで送り出しを行ってダイスに押し込むようになっている(図4/5)。試料はチェーン移動を妨げないようにローラーを介しており、プレートチェーンの対面荷重計測が可能。チェーンの下側には、押し上げのための複数個の油圧シリンダと力計測用のロードセルがあり、押し付け力の計測ができる。また試料に接する側にはティースが取り付けられている。対する上側は固定サイドとなるよう、強固なアングルにローラー列を並べている。このような機構の中で棒線材はダイスに押し込まれ、出口にある10tのロードセルでは加工抵抗が計測される。駆動用の電源は3相200V22kW、モータは直流形式の無段変速に加え大幅減速と電磁クラッチによるインチング(寸動)やパウダクラッチによる半クラッチなど、広範囲の運転ができる。
■まとめ
この2例とも、試料棒線の導入、加速部、ダイスケース、加工力計測部、駆動系、油圧ユニット、操作盤で構成されている。年代としてはホイール型が先となり、3年ほど後に連続棒線押しが作られ、2台は縦つなぎ(タンデム)にすることも考えられた。ホイール型(図6)は回転するホイールに試料棒線をそえて、その外側から放射状に設置した複数の油圧バイスを押し付け、半周回してからUターン状にダイスケース方向へ押し出す。ホイールと試料はティースを介しての噛み付き、油圧バイス側とは滑り関係の状態となる(図7)。この方法は機械としてはコンパクトだが、ダイスへの挿入時に無理があるため、加工した線に加工傷やカールが残ることがある。そこで連続棒押し出し形式のプレートの場合は向かいあった2連のチェーンを同期して進ませ、試料の線もこれに合わせるとダイスへの押し込みもスムーズに進行する(図8)。ただし試料の蛇行や、座屈、プレートの離れ際、ローラーの踊りなど数々の機械的問題もあるので、調整には多くの時間が必要になる。
著者:飯野 純夫
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