【試験機の絵本】’09からの発信 —第2回 トルクメータの応用—
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電気などの動力により回転する機械では、トルク計測が必要となる。図1はその説明をしたもので、回転の中心からlの距離をもった重さwの重量や力N(ニュートン)の作用を受けた時のモーメントをトルクとし、最近では実用レンジとして9.8N-m(1.0kgf-m)〜49kN-m(5tf-m)までに拡大されている。トルク計測は重要なテーマでありつつも方法が確立しないままに進んできた歴史の浅い試験分野で、初期の試験機として製作されたのは図2に示すような金属材料の強度を試験するためのトーション(ねじり)用だった。丸棒などの試料は両端の掴み部で取り付けられ、片方(右)から手動または電動で回転され、逆側(左)の軸に取り付けられた振子の振り上がる角度をトルク値として読み取って、その値を記録筒にペンで書き込んでいた。しかし計測範囲の狭さ、正味のねじり角を求めにくい、駆動側と計測側の位相にズレが生じ動的な計測に不向きであるといった欠点をもっていた。また、試験の対象となる試料には鉛筆の芯のような小さいものからはじまって、巨大船舶のスクリュー軸のように大きなものまであるが、その対象ごとに試験機を作るのも非現実的である。
そんな中で救世主のように現れたのがひずみゲージを中心とした計測技術だった。エレメントは小さいものだと米粒以下、大きいものでも10mm内外のシール状の薄片(図3)で、試験対象に貼り付けて歪みを測ることにより、材料の性質、応用開発の方法/設計/施行/管理などのデータを試験体にあまり影響を与えず得ることができる。ロードセルは機械に単体として実装して実績を上げていることは知られているが、ひずみゲージ式トルクメータも実装の際の便利さは引けをとらない。
トルクメータを単体として動力系に組み込むと、実用を妨げることなく制御系として役に立つ。その実例として図4に示すのが機械動力循環の歯車耐久試験機で、原理は図5となる。これは機械的にトルクが循環し歯車の耐久試験をするもので、2軸の両端に歯車4枚を取り付け、その中の2枚(左)が試料ギヤになっている。軸の一方はトルク蓄積用のトーションバーと連結フランジで、他の軸が循環トルクを計測するトルクメータである。連結フランジを外し、レバーと重錘を取り付けトーションバーにねじりを与えて試験を開始する。実装がうまくいったコンパクトな機械であり、15kWモータの約4倍の循環トルクを出して猛烈な音を出して動き続けた。
図6は同じ歯車耐久試験でも電気動力循環の場合を示すもの(原理は図7)。モータは2.2kWの2台を用いて軸を向かい合わせに設置し、片方のモータを位置固定・速度一定のリード側、他方は位置可変・変速モータとして、両方の軸に歯車を取り付けた上で噛み合わせを調整する。歯車に負荷されるのは両モータの速度差によるトルクで、両モータは共通電源で接源に接続されることにより動力が循環することになり、一台の動力で運用される。また、機械/電気動力循環に関係なくいずれの試験についても噛み合い部の潤滑が重要であることも補足しておこう。
ところでトルクメータには、回転を伝達するための回転軸を特徴として、スリップリング型、回転トランス型、開放型などがある。図3は軸が通り抜けており、すべてのポジションに実装できる回転トランス型で、アンプは交流型であるが特別な調整を必要とする(日計電測談)。図8は大型専用台に試験体を乗せたものであり、構成(図9)は試験体と計測系とが分離されているため、ユーザーの目的によって、自動車のプロペラシャフト、バイク、自転車のフレームなどが取り付けられる。計測系にはプログラムコントローラやX-Yレコーダがあり、ヒステリシスカーブを描くこともできる。トルクの範囲は±1kN-mで、回転は2rpmのためモータは 200Vの400Wという静かな機械だった。
図10は、以前に金属材料試験をしていた頃の名残で試料が中間にある形式(図11)。トルクメータは台車に乗って移動し、左側に取り付けられたエアシリンダにより横方向に軸力をかける。この試験機は、ユーザー待望の複合試験を可能にした。
著者:飯野 純夫
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