【試験機の絵本】’09からの発信 —第4回 計装化アイゾット衝撃試験機の誕生—
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デリケートかつタフな試験機、すなわち、細かなデータが取得でき、かつ試験機自体が頑丈な耐久試験機や疲労試験機の製作は、我々にとって永遠のテーマである。そんな中でアイゾット衝撃試験機を計装化する依頼が自動車メーカーからあったことは、永遠のテーマにチャレンジするチャンスとなった。チャレンジは成功したのか、この試験機は1号機を納めた後もいろいろな分野から数台の注文が続き、地味ながら実用的な試験機として長く重宝された。
機械全体は図1で、別置きの制御盤(図2)により空圧と電気でリモートコントロールされる。実際には何台か作るうちに変更やオプションが次第に増えていき、ユーザー側で多用なカスタマイズが加えられ使用された。試験目的は交通機関、道路、レジャー施設など広い範囲に渡り、具体的にはエレベータ、ケーブルカー、クレーン、フェンス、リフトなどの設計のために、ギヤ、チエン、ケーブルなどの衝撃試験を行った。加工品検査の場合もあり、鋳物、各種溶接、接着、合成、電着、スポットウエルド、プレス加工などの試験に使われた。
●本体部分の主な仕様。
形式 ペンジュラム(振り子)単方向スイング、
衝撃容量 max4,000kg ハンマ速度max3.4m/秒
ハンマ 重量140kg ペンジュラム長さ1,200(mm)
振り上げ角 max60度 電動ウォームギヤ送りデジタル設定
機械のサイズ 幅1,500×奥行き1,000×高さ1960(mm)
計測方法 ロードセル→アンプ→3ch高速メモリ
●機械の説明
強固な鋳物定盤上に、4本の支柱に支えられたタワーを立ち上げ、その上部にもち上げアームの回転軸とハンマヘッド軸を設けた。アームの回転軸とハンマヘッド軸を一定の高さまで吊り上げた後、フックを外して落下させる。ハンマヘッドを下の試験体に衝突させ、破壊に至る過程を力計測で求め高速メモリに集録し、更に欠損した現物との照合ができる。このシステムを用いたギヤ(歯車)噛み合わせの衝撃試験の実例が図3であり、図4は試験用の治具の説明である。図5は試験後に照合するサンプルで、Dカットにしてある方が倒れ側、他方は一定の軸間で拘束されており、倒れ側をハンマで叩くと両ギヤの歯が損傷し噛み合いが外れて試験を終了する。
●この装置を設計する上で下記の注意をしている
定盤は重量のある鋳物を用い振動を吸収させるように考えている。
ハンマは片振り式で通過後にショックアブソーバで受ける。
二度打ちを防ぐため、戻りの通過時にブレーキを作動させる。
ハンマを振る方向にガードがあり安全である。
もち上げは電動で、角度をプリセットすると自動で停止する。フックは空圧シリンダ方式で確実な動作とした。
スタート時には2個のボタンを同時に押すと、警報ブザーが鳴る。
高速メモリは力/変位/速度の3chで1024wardをμ秒オーダーで取り込み、読み出しの場合は時間軸を10,000倍に拡大できる。記録データは図6のようになるが、参照信号はロードセルに組み込んだ一定重量から発することにした。
ハンマヘッドはロードセルスペアやダミーへ交換ができる。
位置エネルギーはハンマ重量×落差で決まるため、以前はこの機械部分だけで検定を受け(図7)、海事協会の認定図(図8)のもとに材料試験に用いられていたこともあった。
ハンマの通路に入れた安全バーは、作業中は差し込んでおき終了後に抜き取ると次のスタートができるようになっている
まとめ
計装化されたアイゾット衝撃試験機の誕生は1986年頃のことであるが、アイゾット衝撃試験機自体はこのはるか以前から作られ活用されていた。しかし、位置エネルギーを応用していたため、力の減衰があり一定の負荷を持続することができないことや、試験データの計測ができないのが欠点であった。我々が開発した計装化された衝撃試験機は、m秒、μ秒など高速の間に試験体に加えられる力と歪みのデータを詳しく解析でき、鎖、チエン、より線ケーブルなどの実務に直結する答えも得られている。試料に合わせた治具の開発が必要という欠点があったものの、フルに能力を発揮した。しかし、計装化を行うと破壊試験としての再現性はよいが、試験ごとにギヤ1組を使い捨てにするため、高コストになってしまうという欠点もある。そのため、試料のダミーを用いたり、試験機を他の簡易のものに変更するなどもあったようである。
著者:飯野 純夫
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